
「テンバガー(10倍株)や100倍株は、特別な人だけが見つけられるものだ」と思っていませんか?
本書『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』は、そんな固定観念を覆す一冊です。
著者・渡部清二氏は、20年以上にわたり「会社四季報」をすべて読み続けてきた“読破の達人”。その圧倒的な実体験をもとに、誰でも使える「成長株発見の原則」と、四季報の読み解き方を丁寧に解説します。

本書の魅力は、難しい金融理論ではなく、四季報という誰でも手に取れる情報源を駆使して、成長株を見つけ出す方法が体系的にまとめられていること。
さらに、実際に株価が10倍以上に化けた企業の事例も多数掲載されており、読みながら「自分にもできる」と感じられる構成になっています。
「株の初心者で、何から手をつけていいかわからない」
「会社四季報を買ったけれど、読み方がわからず積読している」
そんな方にこそ、本書は“次の一歩”を教えてくれるはずです。
企業を“数字”ではなく“物語”として読み解く視点を学び、未来のテンバガーをあなた自身の目で見つけてみませんか?

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書籍『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』の書評

この本は、株式投資の世界で「テンバガー(10倍株)」や「100倍株」といった夢のある成長銘柄を現実的に見つけ出すための具体的な方法を、20年以上にわたり四季報を読み込んできた著者が明かした実践的なガイドです。特に、株式投資初心者から中級者にとって「四季報をどう使えば良いのか」という大きな壁を、実例と理論でやさしく突破させてくれます。
このセクションでは、以下の4点に整理して内容を紹介します。
- 著者:渡部 清二のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
それぞれ詳しく見ていきましょう。
著者:渡部 清二のプロフィール
渡部清二氏は、日本を代表する証券会社・野村證券で23年間勤務した経歴を持つ、実力派の金融・株式アナリストです。中でも特筆すべきは、在籍中の12年間を“機関投資家営業”として過ごした点です。これは、年金や投資信託など数千億〜数兆円を運用する「お金のプロたち」に対して、日本株を提案・販売する極めて専門的な職務です。
彼が他のアナリストや投資家と一線を画すのは、四半期ごとに刊行される『会社四季報』(全約2,000ページ)を、1998年から現在に至るまで、毎号全ページ読み続けているという圧倒的な実行力です。その数は2022年時点で100冊を超えています。
現在は独立し、経済・投資教育の普及を目的に「複眼経済塾」を共同設立。自ら塾長を務め、全国の個人投資家に向けて講演・執筆・メディア出演などを通して情報を発信しています。NHKや日経新聞、テレビ東京などへの登場経験も豊富で、企業分析や投資教育の分野で高く評価されています。

本書の要約
本書は、著者である渡部清二氏が20年以上にわたり四季報を読破してきた経験をもとに、「テンバガー(株価が10倍になる銘柄)」や「100倍株」と呼ばれる超成長株を見つけ出すための具体的な方法を解説した一冊です。特徴は、単なる株式投資のテクニック紹介にとどまらず、誰でも手に入れられる情報を使って、誰でも再現できる銘柄選定手法を紹介している点にあります。
本書では、過去に著者自身が四季報から発見し、実際に急成長を遂げた企業を多数取り上げています。たとえば、アパレル業のTOKYO BASEや健康関連で有名なRIZAPなど、実在のテンバガーをもとに「どのページのどんなコメントや数字が鍵だったのか」が詳細に解説されています。つまり、成功事例が理論の裏づけとして機能しており、読者は理論と実例の両方から学ぶことができます。
さらに注目すべきは、テンバガーに共通する要素を抽出し、それらを誰もが四季報から見つけられるよう整理していることです。特別な分析ソフトや金融知識がなくても、「増収率が高い」「営業利益率が高い」「オーナー経営者が筆頭株主である」「上場5年以内」といった具体的かつ明確な基準に沿って銘柄をスクリーニングする方法が示されています。これは、これから投資を始める初心者にとっても、経験者にとっても有用なアプローチと言えるでしょう。

本書の目的
この書籍の最大の目的は、読者に「自らの目で企業を選ぶ力」を身につけさせることにあります。多くの人が証券会社のレポートやSNS、ネット掲示板の噂に頼りがちな中、本書はそうした受動的な投資スタイルに疑問を投げかけ、「情報の海に溺れず、自分の頭で考える投資」を提唱しています。
渡部氏は、株式投資を通じて、単に利益を追い求めるだけでなく、企業の本質を見極める喜び、社会や経済の動きを知る興奮、さらには人生そのものが豊かになる感覚を伝えたいと語っています。これは単なる成功例の羅列やテクニックの解説ではなく、著者自身が投資の現場で感じてきた「企業を見るとはどういうことか」という哲学そのものです。
とりわけ印象的なのは、TOKYO BASEへの投資に際して、実際に同社の店舗に足を運び、店員の様子や商品の品質に触れたうえで「この企業には将来性がある」と判断したエピソードです。このように数字だけでなく、自らの五感を通じて企業の可能性を見抜く姿勢は、机上の知識だけでは決して得られない経験知に裏打ちされています。
さらに、四季報を隅から隅まで読破するという極端とも言える手法を紹介しつつも、本書では「忙しい人でも要点を押さえて読めば十分」といった現実的なアプローチも併記されています。これは、すべての読者に「自分にもできる」と感じさせるバランスの取れたメッセージでもあります。

人気の理由と魅力
多くの読者から高い評価を得ている理由は、難解な金融理論やテクニカル分析に頼らず、実在の企業と数字を通じて“リアルに使える投資手法”を伝えている点にあります。読み終えた直後から「自分でも実践してみよう」と思わせる力があり、机上の空論にとどまらない実用性が際立っています。
本書は、「成功者の自慢話」や「奇跡の1銘柄」を紹介するのではなく、継続的に使えるノウハウに重きを置いています。読者が「四季報をどう使うか」という実践知を手に入れられるように、手順・視点・思考の流れが丁寧に解説されており、たとえ四季報を開いたことがない人でも「こうすればいいのか」と直感的に理解できる構成です。
四季報オンラインとの併用や、スクリーニング機能の活用法など、現代の投資環境に即した情報も充実しており、単なる紙の読破だけに頼らない柔軟性も魅力の一つです。つまり、伝統的な方法とデジタルの利便性を融合させる“今の時代の投資書”として完成度が非常に高いのです。

本の内容(目次)

この書籍は、「会社四季報」を活用して株価が10倍・100倍になるような成長株を発掘するための、理論と実例、そして読み方の技術をバランスよく体系化した内容になっています。単なる知識の詰め込みではなく、「実際にどのような視点で銘柄を見つけ出すのか」「それを再現するには何が必要なのか」を具体的に学べる構成です。
特に以下の5つの章立てにより、経験のない投資初心者でも段階的に理解できるよう工夫されています。
- 第1章:【事例編】四季報から見つけた10倍株・100倍株
- 第2章:【実践編】10倍株探しの4つのポイント
- 第3章:【事例編】10倍株はこうして見つけろ
- 第4章:お宝銘柄をみつけるための常識・非常識
- 第5章:四季報を読む&使うための技術
以下に、それぞれの章の内容についてわかりやすく解説します。
第1章 【事例編】四季報から見つけた10倍株・100倍株
この章では、著者・渡部清二氏が「会社四季報」を通じて実際に発掘したテンバガー(株価が10倍以上に跳ね上がった銘柄)の実例をもとに、どこに注目すれば成長株を見抜けるのかを紹介しています。どの銘柄にも共通しているのは「転換点をいち早く捉えた」ことです。たとえば、過去最高益の更新、事業の急拡大、株主構成の変化など、企業にとっての大きな変化のタイミングを読み取ることで、投資チャンスを掴んでいます。
中でも印象的なのが、1964年の東京オリンピックに絡んだ銘柄の例です。当時の日本経済はインフラ整備が進み、その波に乗った企業が急成長しました。つまり、社会や経済の構造変化が企業成長の起点となることがよくあるのです。また、ある銘柄では、株主優待を目的に購入したところ、その後10倍に成長したという事例も紹介されています。これは、生活の中の「なんとなく良さそう」にも、投資のヒントがあることを教えてくれます。
事例の多くは、「四季報に書かれていたほんの一言」や「前年との小さな違い」に気づいたことから始まっています。情報は誰の目にも平等に与えられている。だからこそ、「どの視点で見るか」が大きな差を生むのです。

第2章 【実践編】10倍株探しの4つのポイント
この章では、四季報をどのような観点で読めばテンバガー候補を見つけ出せるか、その具体的な判断軸が示されています。著者が実際の投資活動のなかで見出してきた「10倍株の共通点」を体系化し、初心者にも理解しやすい形で提示しています。大きく4つの視点があります。
まず「増収率が高い」ことは、企業の事業規模が拡大している証であり、将来的な利益の伸びにつながる可能性があります。次に「営業利益率が高い」企業は、ビジネスモデルが強固で、価格競争に巻き込まれにくいことを意味します。3つ目は「経営者が筆頭株主」である点で、これは会社と株主の利害が一致し、長期的な視野で経営が行われやすいというメリットがあります。最後に「上場から5年以内」という要素は、まだ注目されていない若い企業が成長する伸びしろを表しています。
さらに、本章ではPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)など、一般的に使われる“割安指標”に対して「それほど重要ではない」という逆張りの立場をとっています。これらは、過去の業績に対する指標であり、将来の成長性を測るには適していないと著者は述べます。だからこそ、まだ利益が出ていないが売上が急増している企業や、市場で過小評価されている企業に目を向ける必要があるのです。
また、投資判断において「買いは分散、売りはストーリーで決める」という考え方も紹介されており、出口戦略の重要性にも触れられています。

第3章 【事例編】10倍株はこうして見つけろ
この章では、より深掘りした具体的事例として、TOKYO BASEやRIZAP、ソニー、トヨタといった企業がどのようにして成長し、大化けしたのかを検証しています。中でもTOKYO BASEは、著者が2015年秋号の四季報を読んでいるときに見つけた企業で、たった9店舗だったショップ数が翌期に8店舗も増加するという劇的な拡大に注目したことがきっかけでした。
著者はその後、実際に店舗に足を運び、接客態度や商品クオリティを自身の目で確認しています。さらに、株主総会にも出席し、経営者のビジョンや理念に触れたことで「この会社は伸びる」という確信を深めたといいます。数字だけではなく、現場の空気や経営者の言葉から未来の成長を読み解くというアプローチが非常に印象的です。
一方で、RIZAPやソニーなどの大企業も、再成長期に入るときには四季報のコメントや業績数値に兆候が現れます。たとえば、RIZAPはM&Aによる急成長の局面で大きく株価を上げ、ソニーは構造改革の成功により再評価されました。こうした変化を見逃さず、四季報のデータから気づけるかどうかが、リターンの差に直結します。

第4章 お宝銘柄をみつけるための常識・非常識
第4章では、投資の世界で「常識」とされていることが、実は思考停止を招いているケースが多いことに警鐘を鳴らしています。たとえば、「PERが低いから割安でお得」と思い込むことで、成長余地の少ない成熟企業ばかりに目が向いてしまい、将来性の高い企業を見逃すという誤りが起こり得ます。
ここで紹介されているのは、あえて“空白の時間”を狙う戦略や、業績が一時的に落ち込んだ「右肩下がりの企業」から将来性のある銘柄を発見する逆張りの視点、さらに政策テーマや国策に沿った「大相場の初動」を見逃さないコツなどです。これらの考え方は、一般的な情報に惑わされず、自分の目で情報を分析し、判断する力を養うことにつながります。
「常識に従う投資」ではなく、「常識を再検証する投資」が重要であり、誰も注目していないときこそ最大のチャンスが隠れているという発想が一貫して語られています。

第5章 四季報を読む&使うための技術
最終章では、実際に会社四季報をどのように読めばよいのか、時間のない人でも実践可能な読み方と、オンライン版を使った効率的なスクリーニング技術が具体的に解説されています。
たとえば、「四季報は全部読む必要はない」と明言しつつも、「業種別に関心のあるセクターだけを重点的に見る」「チャート欄や【特色】【業績】の記述から注目銘柄を抽出する」といった実践的なテクニックが紹介されます。また、会社四季報オンラインの検索機能を使えば、「売上成長率が高い」「営業利益率が10%以上」「上場5年以内」などの条件を設定し、一瞬で候補銘柄を一覧化することが可能です。
ただし、オンライン検索は効率的である一方、ピンポイントにしか銘柄を見ないため、「気づき」の幅が狭くなるという欠点もあると著者は指摘します。だからこそ、紙の四季報による俯瞰と、オンラインによる深掘りを併用することで、視野を広げながら効率的に絞り込む戦略が有効です。

対象読者

本書『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』は、株式投資に対する知識や経験のレベルを問わず、幅広い層の読者に向けて書かれています。
特に以下のような読者層にとって、実践的かつ再現性の高い内容が大いに役立つでしょう。
- 株式投資を始めたばかりの初心者
- 10倍株や成長株を効率的に探したい中級投資家
- 四季報を読んだことはあるが、使いこなせていない人
- 四季報オンラインのスクリーニングを有効活用したい人
- 個別株に興味があり、銘柄選定の勉強をしたいビジネスパーソン
それぞれの読者が本書からどんな知識を得られるのか、具体的に見ていきましょう。
株式投資を始めたばかりの初心者
株を買ってみたい、投資に挑戦してみたい。でも「何から手をつけていいのか分からない」——そんな方にこそ、本書は最適です。
四季報は、上場企業の情報が詰まった信頼性の高い情報源ですが、初めて見る人にとっては、まるで“辞書”のように感じてしまうかもしれません。しかし本書では、著者がテンバガー(10倍株)や100倍株をどう見つけてきたのか、具体的な誌面やデータをもとに丁寧に紹介しているので、初学者でもスムーズに理解できます。
たとえば、「増収率」や「営業利益率」といった専門用語も、意味や読み方だけでなく、「なぜそれが株価の上昇につながるのか」という背景から解説されているため、ただの数字ではなく“ストーリー”として企業を見る力が身につきます。

10倍株や成長株を効率的に探したい中級投資家
一定の投資経験を積み、銘柄分析や売買のタイミングに慣れてきた投資家の次なる課題は、「いかに大化け銘柄を効率よく見つけるか」です。成長株をピンポイントで見抜く力は、投資成果を飛躍的に高めてくれますが、そのための基準や視点は意外と体系化されていないのが現実です。
本書では、著者が実際に10倍株・100倍株を見つけてきた具体的なケースと、共通して見られた特徴を明示しています。特に「増収率の高さ」「営業利益率の向上」「上場間もない企業」「オーナー企業か否か」など、再現可能な条件が豊富に盛り込まれており、チェックリストのように活用することができます。
加えて、四季報の記者コメントの行間を読むテクニックや、時価総額の見方なども提示されており、単なる理論ではなく“使える技術”として体系的に学べます。

四季報を読んだことはあるが、使いこなせていない人
四季報を手にしたことはあるけれど、途中で読むのをやめてしまった──そんな方は決して少なくありません。理由は明確で、情報量が膨大すぎて「どこを見ればよいのか」が分からないからです。
本書では、その“読めない・使えない”という壁を取り払う方法を紹介しています。具体的には、「売上や利益の推移をまずチェックする」「記者コメント欄から業績の変化をつかむ」など、実践的な読み進め方を段階的に説明。すべてを読む必要はなく、要所を押さえて効率的に読むことの重要性が強調されています。
さらに、「一冊まるごと読まないと意味がない」という先入観を捨て、「選んで読む」ことで十分にテンバガー候補を見つけられるという考え方も、読者の心理的ハードルを大きく下げてくれます。

四季報オンラインのスクリーニングを有効活用したい人
紙の四季報に加えて、最近では「会社四季報オンライン」も広く使われるようになっています。スクリーニング機能を使えば、増収率や自己資本比率など、複数の条件に合った企業を瞬時に抽出できます。しかし、数字だけを追いかけても、“真に価値ある銘柄”を見つけるのは難しいという壁に直面しがちです。
本書では、オンラインスクリーニングと紙面の読み合わせこそが最強の組み合わせであると説きます。データで絞ったあとに、紙面のコメントや企業の沿革を参照することで、数字の裏にあるストーリーや変化の背景を読み取ることができるからです。
さらに、著者が実際に使っている条件設定や、四季報オンライン上でどのように成長企業を“発掘”しているかの実例も紹介されており、即実践できる内容となっています。

個別株に興味があり、銘柄選定の勉強をしたいビジネスパーソン
投資経験の有無にかかわらず、「会社を見る目」を養いたいと考えるビジネスパーソンにとっても、本書は極めて有益です。著者は企業の財務状況や成長戦略を“読み物”として楽しむ視点を大切にしており、実際のビジネスでも応用可能な情報分析の訓練になります。
四季報は単なる投資ツールではなく、「企業というプレイヤーがどのように社会と向き合い、成長を遂げているのか」を可視化する貴重なデータベースです。財務数値や業績コメントだけでなく、株主構成や役員情報、沿革欄など、細かな項目に目を通すことで、経営の構造や意思決定の癖まで読み取れるようになります。
本書を通して、株を買うかどうか以前に、「企業を見る力」「ビジネスを読み解く視点」が養われ、仕事にも活きる視野の広さが身につきます。

本の感想・レビュー

四季報は「読む」ものだった!
投資歴3年目のサラリーマンです。これまで『会社四季報』は、気になる銘柄を調べるための「辞書」だと思っていました。正直なところ、四季報を“読む”という発想すらなかったのです。でも本書に出会って、その固定観念がガラガラと崩れました。
著者の渡部さんは、四季報を2000ページすべて読み通すという、常人離れした読み方を20年以上続けてきたそうです。それを「長編小説のように読む」と形容しているくだりには衝撃を受けました。銘柄の一行コメントや数字の変化を“物語”として読み解く姿勢は、自分の投資スタイルを根本から変えてくれました。
これまではニュースやSNSの話題性ばかりを追っていた自分が、いかに表面的な情報に頼っていたかがよくわかります。「四季報を読む」という行為が、こんなにも豊かな発見と楽しみに満ちていたとは、本当に目からウロコでした。
数字の裏にある“物語”が見えてくる
数字に苦手意識がある自分にとって、これまで四季報は“数字の羅列”という印象が強く、正直あまり好きになれませんでした。でもこの本に書かれているように、数字は単なるデータではなく、それぞれにストーリーが宿っているのだと気づかされました。
特に印象に残ったのが、著者がTOKYO BASEという銘柄に注目したエピソード。たった数店舗の出店数の変化から、将来の成長を読み取ったその観察眼に圧倒されました。数字の裏側には必ず企業の意思や環境の変化があり、それを「感じ取る」ことが大切なんだと教えられました。
一見して退屈に思える数字の羅列も、読み方次第で物語になります。この本のおかげで、四季報のページをめくる手が重くなくなり、むしろ“発見の宝庫”として楽しめるようになったのは自分でも驚きです。
10倍株に共通する4つの条件が具体的
投資の世界で「10倍株」とか「テンバガー」という言葉をよく聞くものの、実際にそれをどう見つければいいのかは曖昧なままでした。しかし本書では、過去の実例とともに「10倍株に共通する条件」が明確に示されていて、非常に納得感がありました。
成長性、収益性、経営者の姿勢、上場からの年数といった具体的な観点が丁寧に解説されており、しかもそれが単なる理論ではなく、実際の四季報誌面の記述と照らし合わせながら示されているのがありがたい点です。
これまではなんとなく「勢いのありそうな会社」に投資していた自分にとって、銘柄選定の基準が明確になったのは大きな進歩。特に、数字を見る際の“見るべきポイント”がはっきりしたことで、投資がより戦略的になったと実感しています。
“割安=良い株”の常識を疑えという視点
私は長らく「PERが低い株=割安で良い株」と信じて投資してきました。言ってみれば、教科書的なファンダメンタル投資をそのまま実践していたわけです。しかし、この本を読んで、そんな自分の価値観が根底から揺らぎました。
本書では、「PERやPBRの低さばかりを重視するのは思考停止と変わらない」とする著者の言葉に、強烈なリアリティを感じました。著者が重視するのは「成長性」や「営業利益率」など、企業がこれから伸びていく力を示す指標です。今現在“安いかどうか”ではなく、“未来にどれだけ拡大する可能性があるか”という視点です。
四季報のコメントや数字に表れる企業の勢いを感じ取るには、割安指標では測れない部分がたくさんあることが、具体的な事例とともに丁寧に語られています。これまで自分が頼りにしてきた常識が通用しない局面もあると知り、投資の考え方が一段深まりました。
テンバガー発見のプロセスが追体験できる
投資初心者として最もありがたかったのは、「どうやって銘柄を見つけたか」という道筋が具体的に描かれていた点です。四季報の中からテンバガー候補を見つける過程が、まるで一緒に旅をしているかのように追体験できる構成になっています。
STUDIOUS(現TOKYO BASE)の例では、コメント欄の「出店数」に着目し、前期との変化を調べ、そこから成長性を読み取っていく。この一連の思考の流れが本当にリアルで、「ああ、こうやって考えるのか」と膝を打つことばかりでした。
単に“テンバガーの特徴”を列挙するだけでなく、「どう見つけたのか」に重きを置いている点が本書の魅力。プロの思考プロセスに触れられるという意味で、投資初心者にとってはまさに教科書的な存在です。
株式投資に「ワクワク」が戻ってくる本
投資歴は10年以上になりますが、最近はどうしても義務的に感じることが多く、銘柄選びもルーティンのようになっていました。そんな中でこの本を読んだことは、まさに原点回帰。株式投資を始めたばかりの頃の「企業を知る楽しさ」「これから伸びるかもというドキドキ感」を思い出すきっかけになりました。
著者が企業の変化に気づき、実際に店舗へ足を運び、経営者の言葉に心を動かされる——そのプロセスを読んでいると、投資が単なる数字合わせではないことを再認識させられます。企業を“応援したくなる”という気持ち、これは近年忘れていた感覚でした。
また、四季報を「物語」として読むという姿勢には心を打たれました。企業の現在地と未来を描く一冊の小説を読むように四季報をめくる、その発想だけで、投資がぐっと人間味を帯びて感じられるようになったのです。
四季報オンラインとの併用方法が実用的
私は普段、パソコンでの情報収集に慣れていることもあり、紙の四季報にはやや敷居の高さを感じていました。ただ、本書を読んで「四季報オンラインと紙の四季報を組み合わせて使う」方法を知り、その便利さと説得力に非常に納得しています。
特に印象に残ったのが、四季報オンラインで条件検索を行い、そこから抽出された銘柄を紙の四季報でさらに深掘りするという流れです。著者自身もこの併用方法を実践しているということで、説得力がありました。オンラインで効率化しつつ、紙で全体を俯瞰する——この両輪があるからこそ、情報の偏りや思い込みを避けることができるのだと感じました。
これまでは、画面の中だけで完結する情報に頼りがちだった自分にとって、本書で提示されたハイブリッドな使い方は非常に実用的で、すぐにでも取り入れたくなりました。
読むだけで銘柄選びの視野が広がる
私は株式投資をはじめたばかりの初心者ですが、この本を読んでから「気づく力」が明らかに変わってきたと感じています。以前は、大手企業ばかりに目が向き、中小型株は難しそうだと敬遠していました。けれど、著者が紹介するテンバガー銘柄は、むしろあまり注目されていない企業の中に多く潜んでいます。
本書を読み進めるうちに、これまで見過ごしていた四季報のコメント欄や数字のちょっとした変化が気になるようになりました。そして、その違和感や引っかかりを丁寧に追いかけることで、自分なりの考察ができるようになってきたんです。
なによりうれしいのは、「自分にも見つけられるかもしれない」と思わせてくれるところです。プロでなくても、情報源としての四季報をきちんと使えば、誰にでも可能性があるというメッセージが伝わってきて、心強く感じました。
まとめ

本書を通じて得た知識や気づきは、単なる情報収集で終わるのではなく、次の行動につなげてこそ価値が深まります。
最後に、読者が本書から得られること、読後に取り組むべきこと、そして全体を振り返りましょう。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
それぞれ詳しく見ていきましょう。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、読者が本書を通じて手に入れられる具体的な価値について詳しく解説していきます。
自力で銘柄を見つける力が養われる
投資の世界では、情報に振り回される人と、自ら情報を使いこなす人に分かれます。本書は後者になるための思考法と分析法を具体的に提示しています。四季報という誰でも手に入れられる情報源を使いこなす術が体系的に解説されているため、初心者でも“情報の目利き”になれる力が自然と身につきます。証券会社の推奨銘柄に頼るのではなく、自分で判断し、自分で意思決定できる投資家へと成長できるでしょう。
四季報の読み方に明確な指針ができる
会社四季報を初めて手にしたとき、多くの人は情報量の多さに圧倒されてしまいます。本書では、四季報のどの欄に注目すべきか、どのような視点で読み進めるべきかが具体的に解説されています。とくに「増収率」「営業利益率」「オーナー経営」など、10倍株に共通する要素が明確に示されており、これをもとに読むことで、四季報が単なる情報の羅列から“読み物”へと変わります。
テンバガー銘柄の実例から再現可能な投資法を学べる
机上の空論ではなく、実際に10倍・100倍に化けた銘柄の事例が豊富に紹介されている点も大きな魅力です。著者自身が投資した企業の成長過程を、過去の四季報記載内容とともに追いかける形式になっているため、「どんな兆候があれば注目すべきか」「見逃しがちなポイントはどこか」といった実践的な目線を養うことができます。投資経験のある人にとっても、新たな発見が得られるでしょう。
知識ゼロでも“勝てる型”が身につく
四季報読破というハードルの高い手法を、誰にでも取り組めるよう分解して解説している点も特筆すべきです。「成長株」「割安株」「低位株」などの分類や、PER・PBR・PSRといったファンダメンタル指標の本質的な使い方など、初心者が迷いやすいポイントをかみ砕いて説明してくれます。これにより、“型”を知ったうえで市場に向き合えるようになるため、情報に踊らされることなく、一貫性のある投資行動がとれるようになります。

読後の次のステップ
本書を読み終えた後は、単に知識を得て満足するのではなく、実際の行動に移していくことが重要です。10倍株・100倍株を自分の手で見つけ出すためには、学んだ内容を実践しながら、少しずつ自分のスタイルを確立していく必要があります。
以下では、すぐに取り組める具体的なステップを順に紹介していきます。
step
1四季報を1冊手に取って「読んでみる」
最初の一歩はシンプルです。書店やネットで最新の『会社四季報』を購入し、ページを開いてみましょう。本書で紹介されている「注目ポイント」にマーカーを引きながら、少しずつ読み進めるだけでも十分です。すべてを読む必要はありません。1ページ目から順にではなく、気になる業界や好きな会社からで構いません。数字の意味がわからなくても、まずは目を通し、感覚を掴むことが大切です。
step
2四季報オンラインでスクリーニングを試す
次のステップとして、デジタルツールの活用に挑戦しましょう。『会社四季報オンライン』では、売上成長率・営業利益率・ROEなどの条件を入力するだけで、条件に合った企業を抽出できます。これにより、数千社ある上場企業の中から、可能性のある銘柄を効率よくピックアップすることができます。抽出された企業を紙の四季報でさらに掘り下げて確認する、という組み合わせが特に有効です。
step
3気になった企業の店舗や商品に触れてみる
データで可能性を感じた企業を、実際に“体感”することも忘れてはいけません。本書の著者自身も、TOKYO BASEという企業を実際に訪れて、その空気感やサービス品質から将来性を確信しました。あなたも、気になる企業の商品を使ってみる、サービスを受けてみる、店舗を訪れてみるなど、五感を使った調査を行ってください。机上の数字では見えない“肌感覚”が、意外な発見をもたらしてくれるはずです。
step
4自分なりの「チェックリスト」をつくる
本書で紹介された「10倍株の条件」は、投資判断の軸として非常に有効です。これをもとに、自分だけのチェックリストを作成しておくことで、複数の銘柄を比較検討する際のブレを防ぐことができます。最初は著者のやり方をそのまま真似しても構いません。投資を続けるうちに、自分に合った判断軸や優先順位が見えてくるようになります。再現性のある手法を、実践の中で自分の武器へと変えていきましょう。

総括
『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』は、単なる株式投資のノウハウ本ではありません。本書の本質は、著者が20年以上かけて四季報を読み続ける中で得た知見や感性を、誰でも実践可能な形にまで落とし込んでくれている点にあります。だからこそ、本書は初心者にとっては「最初の羅針盤」となり、ある程度経験のある投資家にとっては「再現性ある検証マニュアル」として機能します。
株価が10倍、100倍になるような銘柄を探し出すのは、運や偶然ではありません。成長性、収益性、経営体制、上場年数など、注目すべき指標を適切に読み取る力と、それを日々の情報収集にどう活かすかが問われます。特に、四季報という膨大な情報を前に、どこをどう見て、何を読み取り、どのように判断するかという“投資家としての目”を養うには、体系的な指導と実例が必要不可欠です。本書はまさにそのニーズに応えてくれる実用書です。
また、読み進めるにつれ、四季報そのものに対する見方が変わるでしょう。単なる「銘柄検索の辞書」から、やがては「企業ストーリーの宝庫」として読むようになり、経済や産業、企業の成長過程を自分の目で追う力が養われていきます。この力は、たとえ短期的な投資で成果が出なくても、長期的には必ずあなたの資産形成に寄与する“知的資本”となるはずです。

投資で成功するには、感情に流されず、論理に基づいた判断を繰り返す姿勢が求められます。その点で、本書が提示するテンバガー・100バガーの見つけ方は、数字と実践の裏付けがあり、誰にとっても納得感のある内容です。
そして何よりも、「自分で企業を見つけ、自分で判断し、自分の投資ストーリーを描いていく楽しさ」を教えてくれます。
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