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2021年の経常収支は15兆4359億円の黒字!内訳を解説

2021年の経常収支は15兆4359億円の黒字!内訳を解説

財務省が2022年2月8日発表した国際収支統計(速報)で、2021年通年の経常黒字は15兆4359億円となり、20年に比べて2・8%減ったことがわかりました。

新型コロナウイルス禍や原油高を背景に、貿易収支や旅行収支の黒字が縮小したことが響きました。

海外子会社からの配当金をはじめ直接投資収益は安定的な黒字を維持しており、企業による投資が経常黒字を支える構図が鮮明です。


メモ

経常収支とは、国の国際収支を表す基準のひとつで、経常勘定ともいいます。貿易・サービス収支、海外からの利子、配当金などの第一次所得収支、政府開発援助(ODA)のうち医薬品などの現物援助などの第二次所得収支から構成されます。



貿易収支は1兆7538億円の黒字

貿易収支は1兆7538億円の黒字

経常黒字の縮小は4年連続で、貿易収支の黒字が41・7%減の1兆7538億円となったことが主因です。

輸入は原油などエネルギー価格の高騰を受けて25・1%増の80兆5186億円でした。

輸出は82兆2724億円で過去最高でしたが、コロナ禍による自動車部品のサプライチェーン(供給網)の混乱などの影響で22・1%増にとどまります。


メモ

貿易収支とは、財貨(物)の輸出入の収支のことをいいます。輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字といいます。



サービス収支は4兆2793億円の赤字

サービス収支は4兆2793億円の赤字

サービス収支は4兆2793億円の赤字で赤字幅は拡大しました。

うち訪日客の消費から日本人の海外旅行での消費を差し引いた旅行収支は2081億円と6割超減少しました。

訪日客数の低迷が続いており、2・7兆円の黒字だった19年の1割にも届いていません。


メモ

サービス収支とは、国際収支のなかで、国内居住者と非居住者との間のサービスの取引(輸出入)を計上する勘定です。

具体的には、①輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払、②旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払、③金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払、④知的財産権等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払、などが含まれます。



第1次所得収支は20兆3811億円の黒字

第1次所得収支は20兆3811億円の黒字

貿易や旅行の黒字が縮む一方、第1次所得収支は20兆3811億円の黒字で6・4%増えました。

けん引役は10兆5886億円の黒字と1割超拡大した直接投資収益で、M&A(合併・買収)などによる海外子会社からの配当金の受け取りが伸びています。


同じ第1次所得収支の内訳でも、債券や株式投資などの証券投資収益は8兆5786億円の黒字で5%超縮小しました。

世界的な低金利にコロナ下の金融緩和が追い打ちをかけ、債券投資の利回りが低下したことが背景にあります。

債券との利回り格差で直接投資が増えています。

現地企業の利益がそのまま再投資されたことで、直接投資は残高も増えています。


近年は直接投資の黒字が証券投資の黒字を上回る状態が続き、企業の長期投資が経常収支を支える構図が固まってきました。

日本経済研究センターは35年度の第1次所得収支は24・5兆円になり、経常黒字は21・5兆円に達すると予測しています。


メモ

第1次所得収支とは、国際収支における経常収支の一項目で、居住者と非居住者との間の生産要素(労働、資本)の提供に対する報酬の収支であり、雇用者報酬、及び、対外金融債権・債務から生じる利子・配当等からなる。



まとめ

まとめ

2021年の経常収支は15兆4359億円の黒字でした。


経常黒字の縮小は4年連続で、貿易収支の黒字が41・7%減の1兆7538億円となったことが主因です。

サービス収支は4兆2793億円の赤字で赤字幅は拡大しました。

貿易や旅行の黒字が縮む一方、第1次所得収支は20兆3811億円の黒字で6・4%増えました。


日本経済研究センターは35年度の第1次所得収支は24・5兆円になり、経常黒字は21・5兆円に達すると予測しています。



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