2023年6月27日、総務省はふるさと納税について、寄付額の5割までとしている経費に、寄付金の受領証の発行費用などを加えると発表しました。
更に、返礼品として認める地場産品の基準も見直されました。
寄付総額が増えるにつれ、これまで経費に含めていなかった費用もかさみ、実質的な経費が5割を超える事態も表面化してきたことから制度を改めます。
詳しく解説していきます。
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2021年度の寄付総額は過去最高の8302億円
ふるさと納税は、自治体に寄付した金額のうち、2千円を超えた分が翌年の住民税や所得税から控除されます。
寄付をした者には返礼品が贈られ、実質的に2千円で特産品などをもらえます。
2021年度の寄付総額は過去最高の8302億円を超え、増加傾向にあります。
隠れ経費も対象に含まれるようになる
総務省は、返礼品の調達にかかる費用の割合を寄付額の3割以下、送料や事務費なども含んだ経費の総額を5割以下とするルールを定めています。
少なくとも半分以上は寄付を受けた自治体のために活用されるべきだとの考え方に基づいています。
ところが、5割ルールの対象とする経費のほかにも、総務省が把握していない費用が膨らんでいることが明らかになりました。
寄付金の受領証の発行や送付、住民税の控除に必要な情報の自治体間での共有にかかる費用など、主に寄付を受け取った後にかかる経費です。
このため、総務省は今回、こうした「隠れ経費」も対象に含め、報告を求めることにしました。
2021年度の全自治体の経費率は、46・4%と既に高水準です。
隠れ経費を含めると、5割を超える自治体もあります。
返礼品の基準見直し
総務省はあわせて、返礼品として認める地場産品の基準も見直しました。
加工や製造の主要部分を自治体内で行っていれば原則として認めますが、「熟成肉」と「精米」については、原材料についても同一の都道府県内産であることを求めます。
いずれも、「付加価値のある加工」がされたか見極めにくいためです。
同じ返礼品を受け取るのに必要な寄付額が増える
「5割以下ルール」・「返礼品の基準見直し」、こうした変更を受け、各自治体は今後、経費や返礼品の中身、総額を見直すことになります。
経費を圧縮できなければ同じ返礼品を受け取るのに必要な寄付額が増える可能性もあります。
松本剛明総務相は6月27日の記者会見で、「今回の改正によって、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるものと考えている」と述べました。