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韓国、輸出管理品目のフォトレジストを国内生産へ

韓国、輸出管理品目のフォトレジストを国内生産へ

日本政府が対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ 、
EUV用のフォトレジストが韓国で生産されるようになるかもしれません。

世界シェアの90%以上を日本企業が握っていた半導体フォトレジスト市場はどうなるのか。


詳しく解説していきます。

輸出管理の強化

日本は2019年7月に安全保障上の理由をあげて、大韓民国向けの半導体素材の輸出管理を強化しました 。


企業ごとに一定期間包括的に許可する方式から、契約ごとに個別審査する方式へと切り替わりました。

輸出管理の品目

輸出管理の品目は、半導体の基板に塗る感光材の「レジスト」、半導体の洗浄に使う「フッ化水素」、ディスプレイパネルの素材となる「フッ素化ポリイミド」の3品目が指定されました。

支援と誘致

日本の対韓輸出管理強化を受け、韓国政府は半導体生産を安定させるため、素材・部品・装備の国産化を積極的に支援する方針を決めました。


また、短期間での技術国産化が難しい品目については海外企業を対象にしたM&A(合併・買収)や投資誘致にも取り組む方針を示しています。

デュポン社が韓国でフォトレジスト生産へ

グローバル化学材料企業のデュポン社(米国)が、韓国にEUV(極紫外線)用フォトレジスト(感光液)の生産工場を建設すことになりました。

EUV用フォトレジストは昨年7月に日本が韓国に輸出管理の強化をしていた半導体の主要な材料3品目の一つです。


韓国の産業通商資源部は、米国シリコンバレーでデュポン社のジョン・ケンプ社長とソン・ユンモ長官が面会し、「EUV用フォトレジストの開発および生産施設の構築に向けて韓国に投資することを確定し、大韓貿易投資振興公社に投資申告書を提出した」と発表しました。


韓国政府は半導体材料の国産化を掲げ外資企業の工場誘致を促しており、韓国政府や自治体がデュポン社の土地の取得費用を負担し、税金免除などでも優遇することになりました。

投資額・工場の稼働時期は

【投資額】
デュポンは韓国中部の天安市にある既存工場を増設するのに、 投資申告書に明示した投資金額は2800万ドル(約30億円)です。

【工場稼働時期】
2021年にも量産投資に踏み切る計画を発表しました。
(なお、素材業界では開発を完了して商用化するのに3〜5年はかかると見ている。)


EUV用フォトレジストとは

フォトレジスト

EUV用のフォトレジストですので、
そもそもの「フォトレジスト」とは何か?ということからわかりやすく解説します

フォトレジスト とは

フォトレジストとは、感光性耐食被膜のことをいいます。

金属,「半導体」などに微細加工を施す際に,写真技術と化学腐食 (エッチング) を用いるフォトエッチングにおいて用いられる「液体」のことです。

ニュースなどで、半導体製造ラインの映像でたまに見かけますね。


【フォトレジスト】
Photo(光)とResist(耐える)の2単語から成る造語で、光に反応してエッチングに耐える性能を持つ、ポリマー・感光剤・溶剤を主成分とする液状の化学薬剤です。


EUVとは

半導体製造工程にシリコン表面に、光を使って凹凸を作り回路を描くことをします(エッチング )。

現在、この回路を作るのにArFレーザーを使っていて、回路幅は「193nm」となっています。


これがまもなくEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)を使ったシステムに変わります。

EUVの波長は「13.5nm」と非常に短いのでこれが実現したら、まさに究極の微細加工技術ということになり、EUV用のフォトレジストを使うEUV工程は、次世代の核心技術とされています。


EUV用フォトレジストは、 微細加工技術に必要なフォトレジストということです。

ライバルの台湾

EUV用フォトレジストを使った技術をいち早く実用化する企業はどこかというと、それは韓国のサムスンと、台湾のTSMCという会社です。

この2社は何をしているのかというと、他の「半導体企業が設計した電子回路を製造する」というビジネスを展開しています。


EUVプロセスの構築には数兆円規模の投資がかかるので、ほぼこの2社に集約されています。

世界中の最先端半導体チップを作っている会社はこの2社のいずれか、または双方のラインを利用しています。


日本からEUV用フォトレジストが輸入できなくなると台湾に競争で敗れ、数兆規模の投資が水の泡となります。

フォトレジスト 日本のシェア

フォトレジスト 日本のシェア

フォトレジスト市場はJSR、東京応化工業、信越化学工業、住友化学、富士フイルムの国内5社が主要供給メーカーと位置づけられています。

上記の5社だけで世界シェアの9割を握っています。

今後の展開は

日本政府は19年7月にEUV用感光材のほか、フッ化水素とフッ化ポリイミドという日本勢のシェアが高い半導体関連の材料3品目について、対韓輸出の管理を厳格化しました。


そして、韓国政府は激しく反発し国産化を進めてきました。

日韓対立の間隙を突く形で日本に競合する企業の韓国進出が続き、サムスンなど巨大な需要家の受注を奪われれば日本企業のシェアが低下する恐れもあります。


デュポンの韓国国内生産が実現すれば、受注競争が激しくなるのは避けられません。

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