東南アジアで韓国コンビニが攻勢をかけています。
ベトナムでは最大手GSリテールが進出からわずか4年で日本勢最大のファミリーマートの店舗数を抜き、新型コロナウイルス影響が和らいだ2022年にはさらに100店を増やす予定です。
2位のBGFリテールやイーマートも21年にマレーシアに初進出しました。
これまで先行していた日本勢は成長が頭打ちになっており、巨大市場で陣取り合戦が激化しています。
ベトナムでの出店数が日本を上回る
ベトナムでは韓国サムスン電子がスマートフォンの巨大工場を構えており、関連部品メーカーも集積しています。
在住する韓国人は、日本人の約10倍の20万人超に達しているとみられています。
K―POPや韓国ドラマを中心に韓国文化が若年層に浸透しつつあることも出店の追い風です。
GSリテールは18年にベトナムに進出し、一気に160店舗まで増やしました。
09年に進出した日本勢のファミリーマートが約150店舗を展開していますが、足元で上回りました。
GSリテールは韓国文化への親近感を追い風に、年内に260店舗まで増やす戦略を立てています。
韓国が国外でコンビニ事業を拡大する理由
韓国コンビニが東南アジアに活路を見いだすのは、国内市場の飽和に直面しているからです。
韓国では16年以降、店舗当たりの売上高が年平均0.9%減少しています。
小型店が多く、平均日販は15万円程度で日本勢の50万~65万円と開きがあります。
オーナー側と本部側双方の収益確保が年々難しくなっており、新たな市場を求めて若い人口を多く抱える東南アジアで事業拡大を急ぐ戦略です。
苦戦する日本のコンビニ業界
日本の小売り関係者からは「韓国勢は採算度外視でシェアを取りに来ているように見える」との声もあります。
ただ、日本勢も国内では大手3社の店舗数の増加ペースはピークの10分の1程度まで鈍化し、東南アジアの重要性は増しています。
先行者利得があるはずの日本勢は足元で苦戦が続いています。
ミニストップは22年、フィリピンの合弁企業に保有株を売却して撤退しました。
かつてはトップブランドだったが、現地のニーズに合致する店舗作りの遅れが響きました。
合弁相手のロビンソンズグループが見切りをつけ、ミニストップの看板を下ろして独自ブランドでテコ入れします。
ベトナムのファミリーマートは、ここ数年は人件費や店舗家賃の高騰などで新規出店を抑制していました。
マレーシアに進出したBGFリテールも、もともとは韓国でファミマを展開していたが合弁を解消し、独自ブランド「CU」での拡大を選びました。
日本勢は契約の甘さに加え、工場の制約などから独自ノウハウを十分に発揮できず、現地にあった店舗づくりも進まないことから現地合弁との関係がうまくいかない歴史が目立ちます。
反転攻勢をもくろむ日本企業
しかし、韓国勢の進出に対し、手をこまぬいていられない日本勢も反転攻勢をもくろんでいます。
ファミマはマレーシアで中食の新工場をつくり、26年までに店舗数を足元の280から1000に増やすことを目指しています。
更にベトナムでも出店拡大を検討しています。
ミニストップはベトナムで、配車と宅配を手掛けるシンガポールのグラブなどのデリバリーサービスに大半の店舗で対応しました。
今後はより地元の生活に寄り添うために、生鮮食品やローカルフードの取りそろえを強化したレイアウト変更の実験を進めています。
まとめ
東南アジアで韓国コンビニが攻勢をかけています。
ベトナムでは最大手GSリテールが進出からわずか4年で日本勢最大のファミリーマートの店舗数を抜き、新型コロナウイルス影響が和らいだ2022年にはさらに100店を増やす予定です。
韓国コンビニが東南アジアに活路を見いだすのは、国内市場の飽和に直面しているからです。
韓国では16年以降、店舗当たりの売上高が年平均0.9%減少しています。
製造業では中韓台勢の猛攻で、早くから東南アジアに進出してきた日本勢の地盤沈下が目立ち始めています。
成長の橋頭堡(きょうとうほ)をみすみす失わないか、コンビニ各社の競争の先行きは予断を許しません。