料理宅配業者がインターネット通販の配送に乗り出すことになりそうです。
出前館は2022年から化粧品や衣類などで始めます。
料理宅配国内最大手のウーバーイーツジャパンもネットスーパーなどの配送代行を検討しています。
人手不足の中、玄関先までの配送する担い手が増えます。
販売と配送を巡る新たな企業間連携が相次ぐ可能性があります。
地域や商品によっては注文から30分以内の配達ができる
倉庫間で大量の荷物を運ぶ基幹物流に比べ、ラストワンマイルと呼ばれる各戸までの配送は手間がかかります。
ネット通販の競争力は配達までの時間が左右します。
ネットを介して単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」を組織化した料理宅配事業者の参入で宅配業務のあり方も変わりそうです。
翌日配送が主流であるネット通販のサービスが大きく向上する面もあります。
大規模な倉庫ではなく街中に小規模拠点がある料理宅配事業者を活用することで、地域や商品によっては注文から30分以内の配達ができます。
自転車やオートバイを使うため小さい荷物が中心
出前館は衣料や化粧品などの即配代行を始めます。
配達員が商品を企業の小売店や物流倉庫などで引き取り、消費者にスピード配送することを想定しています。
自転車やオートバイを使うため小さい荷物が中心になりそうです。
出前館は親会社のZホールディングス(HD)がアスクルと展開する食品と日用品の配送も受け持ちます。
ZHDは配送する商品を保管する小規模倉庫を現在の3カ所から順次増やす。21年度中にサービスを都内23区に広げます。
「首都圏ならどこでも15~20分で届く物流網」を目指しています。
料理宅配事業者は機動力のある「ギグワーカー」を多く抱え、注文を受けると全地球測位システム(GPS)で近隣の配達員を探すシステムもあります。
蓄積したビッグデータを分析し、30分以内に配送できる地域を設定できるようにします。
物量業界の人手不足問題を解決できるか
10万人の配達員を抱えるウーバーイーツも、EC事業を手がける小売り向けの即配代行の参入を検討しています。
料理宅配「フードパンダ」を展開する独デリバリー・ヒーローは、料理以外の配送拠点を7都市9カ所から2年以内に100カ所に広げ、配送スピードを25分、20分と速めていく予定です。
宅配便全体の需要は伸びています。
国土交通省によると、20年度の宅配便の取扱個数(トラック)は47億8400万個で前年度から12%増えました。
ネット通販で買った商品を早く欲しいとの消費者ニーズも高まるものの、既存の物流事業者は人手不足で対応しきれていません。
アマゾンジャパンは17年、ヤマト運輸の人手不足が原因で当日配送を縮小しました。
一方、新型コロナ禍で需要が急拡大した料理宅配は、感染者の減少で利用者は頭打ち傾向です。
参入業者も相次いだこともあり、配達員1人あたりの報酬は少なくなっています。
料理以外の配達需要を作り出すことはギグワーカーの労働環境の安定にもつながります。
料理宅配はコロナ禍で急増、しかし足元では頭打ち
新型コロナウイルス禍によって「巣ごもり」消費で料理宅配市場は拡大しました。
飲食店からの配達だけでなく、店舗での飲食機能を持たない「ゴーストキッチン」という出前拠点もコロナを機に増えています。
料理宅配アプリの利用者は、データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると10月時点で約1316万人。前年同月に比べると2倍近くに増えました。
ただコロナ感染者の一巡を背景に、9月以降2カ月連続で減少し頭打ちになりつつあります。このため料理以外の配達も増やしています。
ウーバーイーツジャパンは11月中旬から一部地域で会員制量販店「コストコ」の商品の取り扱いを始めました。