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韓国がTPP加盟申請へ!中国・台湾の加盟方針で焦り

韓国がTPP加盟申請へ!中国・台湾の加盟方針で焦り

韓国政府は2021年12月13日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請に向けた手続きを開始すると表明しました。

当初、TPPに反対してきた中国が加盟方針に転換したことを受けた動きです。

実現すれば来年2月発効の15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に続く広域の自由貿易協定(FTA)となります。

ただRCEPより高いレベルの市場開放が求められるだけに、関税撤廃を警戒する産業界や農業団体を説得できるかが焦点となります。


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中国、台湾のTPP加盟申請が韓国政府を動かす

中国、台湾のTPP加盟申請が韓国政府を動かす

韓国政府は2013年からTPPへの加盟を検討してきました。

ただ、中国は米国が主導していたTPPへの韓国加盟の動きをけん制。当時の朴槿恵(パク・クネ)政権は中国との関係強化を優先し、中国とのFTAを妥結し中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも参加した経緯があります。


文在寅(ムン・ジェイン)政権はトランプ前政権時代にTPPから離脱した米国がバイデン政権になって復帰するか見極めようとしてきましたが、9月の中国、台湾のTPP加盟申請で状況は一変しました。

巨大経済圏から外されかねないとの危機感が韓国政府を突き動かしたのです。


TPPでは高いレベルでの市場開放が求められる

TPPでは高いレベルでの市場開放が求められる

韓国政府の表明に産業界は慎重な反応をみせています。

韓国貿易協会は13日「交渉を通じ、我が国の産業の被害を最小化するよう徹底した対策を講じる必要がある」と注文をつけました。


産業界の懸念はTPP加盟による日本や中国からの輸入拡大です。

RCEPは初の日韓が参加するFTAとなりますが、韓国は自動車、機械など主な敏感品目は関税撤廃から除外し、市場開放する品目も10~20年と長期の段階的撤廃を活用し、産業を保護したのです。

しかし、高いレベルでの市場開放が求められるTPPでは、現在8%の自動車関税の撤廃が俎上(そじょう)にのるのは必至です。


韓国は自国産業保護のため工業製品や農産物に課税しています。

加盟が実現すれば、自動車に8%、機械類は品目により13%ほどの関税が撤廃または段階的に引き下げられることになります。


対日経常収支は2兆6千億円悪化する

対日経常収支は2兆6千億円悪化する

韓国経済研究院が18年に発表したTPP加入の影響分析によれば、米国を除いたTPPに韓国が加盟する場合、対日輸出の伸びが11%にとどまる一方、日本からの輸入は32%増え、対日経常収支は226億ドル(約2兆6千億円)悪化します。


自動車業界は正面からの政府批判を避けていますが、関係者は「いきなり関税が撤廃されれば日本車と中国製の電気自動車(EV)の輸入が急増しかねない。政府には長期での段階的な関税率引き下げを要望している」と打ち明けます。


短期的には産業界が打撃を受ける可能性がある

短期的には産業界が打撃を受ける可能性がある

通商問題に詳しい安徳根(アン・ドクグン)ソウル大教授は「RCEPは開放水準が低く、交易拡大の効果は限定的だが、TPPは日本、オーストラリア、シンガポールなどが参加する最先端のFTAだ。中国、台湾が参加するのであればアジア・太平洋地域でのサプライチェーン(供給網)がさらに強化されることになり、韓国が加盟するのは当然だ」と肯定的に評価しています。


安氏は「製造業においては日本でほとんどの関税が撤廃されている一方、韓国には8%の基本税率が残る。韓国は自動車を含む重要な産業分野で一方的な市場開放をすることになり、短期的には産業界が打撃を受ける可能性がある」と指摘。「サプライチェーン強化など日韓の産業協力を通じ、中長期的に問題を克服する努力が必要になる」と指摘しています。


 

農業団体は反発

農業団体は反発

農産物の市場開放も争点です。

TPPではRCEPで先送りした農業分野の市場開放の積み増しが求められますが、韓国総合農業団体協議会は13日「価格競争力が高い輸入農産物の増加は長期的に国内の農業生産基盤を崩壊させる可能性がある」と強く反発。「TPP加盟を阻止するための大々的な闘争に乗り出す」と予告しました。


韓国では来年3月に次期大統領選が予定されています。

TPPへの反発が強まれば有権者の投票行動にも影響が出かねず、大統領候補の各陣営はTPPの争点化を避けている印象です。

韓国政府の思惑どおり、国内での合意形成が進むかは未知数です。


まとめ

まとめ

韓国政府は2021年12月13日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請に向けた手続きを開始すると表明しました。

当初、TPPに反対してきた中国が加盟方針に転換したことを受けた動きです。


高いレベルでの市場開放が求められるTPPでは、現在8%の自動車関税の撤廃が俎上(そじょう)にのるのは必至です。

TPPに韓国が加盟する場合、対日輸出の伸びが11%にとどまる一方、日本からの輸入は32%増え、対日経常収支は226億ドル(約2兆6千億円)悪化します。


韓国では来年3月に次期大統領選が予定されています。

TPPへの反発が強まれば有権者の投票行動にも影響が出かねず、大統領候補の各陣営はTPPの争点化を避けている印象です。

韓国政府の思惑どおり、国内での合意形成が進むかは未知数です。



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