総務省は2021年11月30日に、2020年国勢調査の確定値を公表しました。
経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり、5年前の前回調査から226万6232人減りました。
ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13・9%も少ないことになります。
人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め、規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかっています。
生産年齢人口の減少は日本経済の足かせとなる
総人口は1億2614万6099人で5年前から94万8646人減です。総人口の減少は2調査連続となります。
生産年齢人口の減少は日本経済の再生を難しくします。
現在の生産年齢人口は7580万7317人だった1975年を下回る水準です。
総人口に占める割合も59・5%と1950年以来70年ぶりに6割の大台を割り込みました。
2010年代は景気回復などで女性や高齢者の就労は増え人口減を補うことができました。
労働力調査によると20年の就業者数は6676万人で10年前より6・0%増えました。
家電量販大手のノジマは10月、80歳としていた雇用制限を事実上撤廃しました。
1年単位の契約としベテラン社員の販売ノウハウを生かします。
YKKグループも65歳だった正社員の定年を廃止しました。
こうした女性や高齢者の就労拡大にも限界があります。
生産性を高めなければいずれ生産年齢人口の減少の影響を補いきれなくなります。
日本の労働生産性は主要7カ国(G7)で最も低い
日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率はアベノミクス下の12年から19年まで年平均1・1%と一定の改善がありました。
それでも20年時点で1時間あたりに生み出す付加価値は48・1ドルと主要7カ国(G7)で最も低いです。
経済協力開発機構(OECD)各国平均の54・0ドルも下回ります。
内閣府の試算によると、働く人や労働時間が増えたことによる2010年代の平均的な経済成長率(潜在成長率、年平均0・7%)の押し上げ効果はゼロポイントにとどまります。
1980年代には労働による押し上げは年平均で0・7ポイントでした。
人工知能(AI)など先端技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて生産性を上げなければ根本的な成長につながりません。
自動化・無人化が日本再生のカギ
海外では徹底した自動化で人手に頼らないオペレーションへの転換が進んでいます。
米小売り大手のウォルマートはロボットを活用した物流設備や無人トラックによる配送などを手掛けています。
日本では人口減に対応する無人技術にも制度の壁があります。
人手不足に悩むコンビニエンスストア業界はデジタル機器や遠隔で確認する技術の発達を踏まえ、無人店舗で酒やたばこの販売を円滑にできるよう規制緩和を求めています。
小規模な工事でも現場に管理者を置かねばならないといった規制も見直しを促す声があります。
生産性の高い業種に人材をシフトさせる政策も不可欠となります。
終身雇用を前提とした制度はなお多いです。
同じ企業に20年超勤めれば退職一時金をもらう際に税制優遇が受けられる税制などは見直しが急務といえます。
今回の国勢調査で少子高齢化もより鮮明になりました。
65歳以上人口は5年前の前回調査に比べ6・6%増で過去最多の3602万6632人、14歳以下の人口は5・8%減で過去最少の1503万1602人となりました。
高齢化率も2・0ポイント上昇の28・6%で過去最高を更新しました。
まとめ
経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり、5年前の前回調査から226万6232人減りました。
ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13・9%も少ないことになります。
2010年代は景気回復などで女性や高齢者の就労は増え人口減を補うことができました。
労働力調査によると20年の就業者数は6676万人で10年前より6・0%増えました。
しかし、生産性を高めなければいずれ生産年齢人口の減少の影響を補いきれなくなります。
日本の労働生産性(労働時間あたりベース)の伸び率はアベノミクス下の12年から19年まで年平均1・1%と一定の改善がありました。
それでも20年時点で1時間あたりに生み出す付加価値は48・1ドルと主要7カ国(G7)で最も低いです。