上場企業の2024年3月期の配当総額は約16兆円と過去最高となる見通しです。
9月末から約4000億円上振れし、家計には約3兆円の収入となります。
好業績を受けた株主還元が新しい少額投資非課税制度(NISA)の弾みになりそうです。
詳しく解説していきます。
2024年3月期の配当総額は約16兆円 家計に3兆円効果
1株配当に発行済み株式数をかけて求めた配当総額は、前期比4%増の約16兆円となる見通しです。
9月末時点から約4000億円上振れします。
上場企業の株式は約2割を個人が保有しています。
単純計算で約3兆円が家計に入ります。
2022年度の国内総生産(GDP)の約0.5%相当です。
全体の14%に当たる約330社が配当予想を引き上げ
全体の14%に当たる約330社が配当予想を引き上げました。
この時期として過去最多となります。
このうち4割の128社が減配・据え置き予想から増配に転じました。
値上げが浸透する食品や生産回復の進む自動車、新型コロナウイルス禍から需要が戻る鉄道などで目立ちます。
森永乳業は年間配当を株式分割考慮後で従来の45円から50円に引き上げ
森永乳業は年間配当を株式分割考慮後で従来の45円から50円に引き上げ、8年連続で実質増配となります。
好採算商品の販売が伸びています。
鉄道では配当予想を前期比で据え置きから増配に引き上げ
鉄道では阪急阪神ホールディングスや東急、東武鉄道が配当予想を前期比で据え置きから増配に引き上げました。
定期券やインバウンドの需要が戻りました。
キッコーマンは35円から59円に
キッコーマンは純利益に対する配当の目標(配当性向)を30%以上から35%に変え、期末配当も35円から59円(前年同期は記念配含め48円)にしました。
東京証券取引所の影響
東京証券取引所から株価純資産倍率(PBR)の1倍割れ解消を求められていることも影響しています。
一般に配当を増やすと株価のプラス材料とみなされます。
配当の支払い分だけ純資産が減り、PBRを高める効果があります。
青山商事は配当を増やす理由を「利益や財務の状況、PBR1倍割れの早期是正への対応などを勘案した」としています。
純利益、配当総額ともに3年連続で過去最高の見通し
上場企業の2024年3月期は純利益、配当総額ともに3年連続で過去最高の見通しです。
配当総額を純利益で割った配当性向は33%となります。
9月末の手元資金(金融、日本郵政などを除く)は101兆円と過去最高水準で、自己資本比率も43%と金融危機後で最も高いです。