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楽天グループが12%の社債発行 理由は赤字の携帯事業

楽天グループが12%の社債発行 理由は赤字の携帯事業

楽天グループが2022年11月30日に発行するドル建て社債の利回りは10%超と、2019年に起債したドル建て債(3%台)を大きく上回ります。

携帯事業の基地局整備などに投じた費用は総額1兆円を超え、今後も投資が必要ななか、資金の調達先を多様化する狙いなどがあるようです。


株式市場では「モバイルはあきらめて、電子商取引(EC)に集中すべきではないか」との声も少なくありません。

事業の成長にまい進すると同時に、収益化の道筋を明示することも求められています。


詳しく解説していきます。


動画でも解説しています




楽天グループが12%の社債発行

楽天グループが12%の社債発行

今回発行した債券は年限2年のディスカウント債で、発行額は5億ドル(約700億円)です。

利率は年10.250%で、割引分を加味した最終的な利回りは12%となります。

米格付け大手のS&Pグローバルから得た格付けは投機的水準を示す「ダブルBプラス」で、いわゆる低格付け債(ハイイールド債)です。

19年の5年物ドル建て債の格付けはトリプルBマイナスで、投資適格債でした。


高利回りの理由は米国の利上げ

高利回りの理由は米国の利上げ

利回りは大きく上昇しましたが、今回は米国の利上げに伴う影響度が大きいとの見方が少なくありません。

あるメガバンクの担当者は「(ドル建てという点と格付けを踏まえると)違和感ない金利水準。資金が必要だがマーケット環境が読めないなかで、通貨分散しながら調達できるタイミングで確保したのでは」とみています。


海外市場で資金を調達しやすかった事情もあるようです。

アジアのハイイールド市場は相場が不安定になっていることに加え、22年は過大な債務問題が浮上した中国の不動産開発業種が債券市場から締め出されています。

利回りを求める資金が集まりやすい環境にあります。


社債発行の理由は携帯電話事業

社債発行の理由は携帯電話事業

とはいえ、楽天Gが従来の社債に比べて高い利回りをつけてでも資金調達を急ぐのは、携帯電話事業の投資負担が高水準で続いているからです。


22年1~9月期連結最終損益(国際会計基準)は2580億円の赤字と、同期間として4年連続の赤字でした。

基地局の減価償却費の拡大が響いています。

これまでに投じた費用は主に借り入れや社債で対応し、9月末時点の有利子負債(金融事業を含む)は2兆7337億円にのぼります。


資金の調達へ、楽天銀行や楽天証券の上場準備

資金の調達へ、楽天銀行や楽天証券の上場準備

資本性資金の調達へ楽天銀行や楽天証券の上場準備も進めています。

S&Pは9月に楽天Gの長期発行体格付けを引き下げ方向の「クレジット・ウオッチ」に指定しており、年内に資本性資金の調達ができないと判断すれば、現在の「ダブルBプラス」から1段階下げる可能性もあります。


3大キャリアとの差は大きい

3大キャリアとの差は大きい

従来の通信規格や5G向けの投資にはメドがついてきたものの、今後「プラチナバンド」を巡ってさらなる投資が必要になる可能性があります。


一方でモバイルの稼ぐ力は成長途上です。

「ゼロ円プラン」を廃止して7月に最低料金が980円(税抜き)の新プランを導入しましたが、ARPU(1契約当たりの月間平均収入)は9月末時点で1472円と、NTTドコモ(4060円)やKDDI(3920円)、ソフトバンク(3880円)との差は大きいです。



収益化の道筋を明示することが求められる

収益化の道筋を明示することが求められる

「楽天市場も『ネットで買い物する人なんかいない』というところからスタートしてここまで来た。信じる未来にチャレンジするのみだ」。三木谷浩史会長兼社長はこのように語っています。

もっとも本格参入から2年半が過ぎ、株式市場では「モバイルはあきらめて、電子商取引(EC)に集中すべきではないか」との声も少なくありません。

事業の成長にまい進すると同時に、収益化の道筋を明示することも求められています。


まとめ

まとめ

楽天グループが2022年11月30日に発行するドル建て社債の利回りは年10.250%で、割引分を加味した最終的な利回りは12%となります。

今回発行した債券は年限2年のディスカウント債で、発行額は5億ドル(約700億円)です。


利回りは大きく上昇しましたが、今回は米国の利上げに伴う影響度が大きいとの見方が少なくありません。


楽天Gが従来の社債に比べて高い利回りをつけてでも資金調達を急ぐのは、携帯電話事業の投資負担が高水準で続いているからです。



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