中国が電気自動車(EV)の輸出国として存在感を高めています。
2021年の輸出台数は前年比約3倍の約50万台とドイツや米国を上回り世界最大となりました。
中国のEVは産業の集積が進み、コスト競争力を高めた新興企業が販売を伸ばしています。
世界生産でも6割を中国が占め、デジタル製品に続きEVでも「世界の工場」になりつつあります。
中国の電気自動車の輸出が世界最大
中国税関総署によると、21年のEVの輸出台数(乗用車のみ)は2・6倍の49万9573台でした。
ドイツ自動車工業会や日本貿易振興機構などによれば、ドイツは2倍の約23万台、米国は3割減の約11万台、日本は24%増の2万7400台でした。
中国から輸出が伸びたのは欧州向けです。
5倍の23万台となり輸出に占める比率は約5割に上ります。
欧州連合(EU)は35年にハイブリッド車やガソリン車などの新車販売を禁止する方針を示しました。
背景にあるのがEV産業の集積です。
基幹部品である車載電池では、正極材などの原材料調達から組み立てまで現地で一貫生産しています。
「中国では調達の効率化などで他地域より生産コストが半分ほどで済む」(中国系EV部品メーカー)
世界のEV生産台数の6割が中国
生産台数も右肩上がりです。
英調査会社のLMCオートモーティブのデータなどから日本経済新聞が推計したところ、21年の世界のEV生産台数は399万台でした。
中国が2・2倍の229万台と全体の57・4%を占めています。
欧州は22%、米国は12%、日本は0・9%でした。
世界各国に攻勢を強める中国の電気自動車
「当社のEVがノルウェーの顧客に歓迎され、世界市場に進出する十分な自信を得た」。「中国版テスラ」と呼ばれる上海蔚来汽車(NIO)の李斌・最高経営責任者(CEO)は21年末、江蘇省蘇州市でのイベントで強調しました。
21年9月にノルウェーで多目的スポーツ車(SUV)のEVを発売。22年はドイツやオランダに進出します。
攻勢は東南アジアにも及びます。
タイのEV市場では上海汽車集団が5割のシェアを握っています。
主力モデルの「MG・EP」は約100万バーツ(約340万円)と日産自動車のEV「リーフ」のキャンペーン価格より約3割安いです。
欧州勢もEV戦略で対抗します。
独フォルクスワーゲン(VW)は30年までに欧州に6つの電池工場を建設しています。
一方、日本勢は中国企業からの電池調達が多く、自前の調達網構築が遅れています。
地政学リスクも踏まえ、企業が中国戦略をどう位置づけるかが課題となっています。
まとめ
中国税関総署によると、21年のEVの輸出台数(乗用車のみ)は2・6倍の49万9573台でした。
ドイツ自動車工業会や日本貿易振興機構などによれば、ドイツは2倍の約23万台、米国は3割減の約11万台、日本は24%増の2万7400台でした。
21年の世界のEV生産台数は399万台でした。
中国が2・2倍の229万台と全体の57・4%を占めています。
欧州は22%、米国は12%、日本は0・9%でした。
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