消費者がスマホ決済アプリ「PayPay」などから別の決済アプリや銀行に来年にも直接送金ができる見通しとなりました。
全国銀行協会は電子マネーを提供するフィンテック企業が日銀に口座を開設することを条件に、銀行間の送金システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への加盟を解禁します。
消費者の買い物などでの決済や送金の利便性が高まりそうです。
PayPayなどの決済アプリから銀行に送金可能になる
対象となるのは「PayPay」、「LINE Pay」、NTTドコモ、楽天Edy、セブン・ペイメントサービスなど85の資金移動業を手がけるフィンテック企業です。
送金は同じアプリの利用者同士に限られていました。
銀行間の振り込みや決済は3メガバンクやゆうちょ銀行、信金・信組など1150機関が加盟する全銀システムで処理されています。
全銀システムの接続は預金取扱金融機関に限ることで安全性を保ってきました。
フィンテック企業は加盟を認められておらず、決済アプリの利用者は他人の銀行口座に直接送金できませんでした。
他人の銀行口座への送金がどうしても必要な場合には、フィンテック企業の取引銀行を経由して対応していますが、消費者は高額の手数料をとられます。
公正取引委員会は全銀システムの閉鎖性や高い手数料を問題視してきました。
事業者が日銀に口座を開設することが条件
今の全銀システムはフィンテック企業が接続するコスト負担が重いです。
全銀協は2021年度からAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と呼ぶ負担の軽い接続方法を実験し、問題なく処理できることを確認しました。
全銀協はフィンテック企業が全銀システムに接続できるよう業務方法書を改正し、金融庁は今秋にも認可する方針です。
システムへの接続には日銀に口座を開設することが条件となります。
一定の担保を差し入れ、健全な財務状況やリスク管理も求められます。
債務不履行を予防できるため信頼性は増すことになります。
PayPayなどに給与が支払われる「デジタル払い」も近い
政府は銀行を介さずフィンテック企業が提供する口座に給与を直接振り込む「デジタル払い」の解禁を検討しています。
給与の取り扱いの安全性に課題があると指摘されてきましたが、システム接続で安全性が担保されれば風穴を開けることになります。
まとめ
消費者がスマホ決済アプリ「PayPay」などから別の決済アプリや銀行に来年にも直接送金ができる見通しとなりました。
利用者は自分の決済アプリから他人の銀行の口座に送金が可能となります。
他人が銀行口座から送ったお金を自分のアプリで受け取ることもできます。
フィンテック企業、銀行いずれも手数料をとる可能性がありますが、各社・各行の判断に委ねられる見通しです。