金融広報中央委員会の2022年の調査で、「金融リテラシー」が最も高い都道府県は島根県と奈良県であることがわかりました。
勤勉な県民性や投資熱が背景にあるようです。
一方、金融教育を求める人の割合は全国平均で過去最高となりました。
今年は高校の授業で「金融教育」が必修になるなど、金融を学ぶ機運は高まっています。
正答率の高い都道府県 | ||
1位 | 島根・奈良 | 58.8% |
3位 | 香川 | 58.5% |
4位 | 千葉 | 58.3% |
5位 | 愛媛・長野 | 57.3% |
7位 | 栃木 | 57.1% |
8位 | 茨木 | 57.0% |
9位 | 東京 | 56.9% |
10位 | 滋賀・兵庫・神奈川 | 56.8% |
全国平均 | 55.7% |
金融リテラシー首位は島根と奈良
22年の金融リテラシー調査は2月下旬~3月中旬、全国3万人を対象にインターネットで実施しました。
調査は3年ぶり3回目。前回から調査対象を5000人増えています。
県別の正答率は首位が島根と奈良(58.8%)で、それぞれ前回の8位、23位から順位を上げました。
栃木(57.1%)は45位から7位に上昇。
背景には堅実な家計管理や資産形成への関心の高さがあるとみられています。
島根は期日に遅れず支払いする人の割合が9割を超え、金融トラブルの経験者は全国平均の7.3%に対し、4.5%と低水準でした。
奈良は1カ月の支出を把握している人が79.8%と全国平均より6ポイント上回りました。
金融知識に自信を持つ人の割合も全国3位でした。
個人型確定拠出年金(iDeCo)について1000人あたりの都道府県別加入者(21年3月末時点)をみると、奈良・島根は全国平均を超えていました。
正答率が高かった香川、長野、東京なども上回り関心が高いです。
栃木は金融教育の効果がみられました。
金融知識を問う項目の大半が前回より高い正答率でした。
学校などで金融教育を受けた人の割合は、前回は全国平均を下回る6.4%でしたが、今回は全国平均(7.1%)より高い7.5%に上昇しました。
金融リテラシー最下位は沖縄
一方、最下位は沖縄(51.0%)でした。
正答率の低い都道府県は病気など万が一に備えた資金確保をしている人の割合が低い傾向がみられます。
全国平均は16年から横ばいが続き、全体の底上げが必要です。
株式と投資信託の購入経験者は増加傾向
株式と投資信託の購入経験者は増え、それぞれ33%、31%でした。
株式では徳島が首位、三重が続きます。
一方、商品性を理解せず株式を購入した人は25%と前回に比べ約1ポイント上がりました。
金融教育を受けた人でも正答率が低い層は、金融トラブルの経験者の割合が高いです。
金融知識の過信が「トラブルに繋がりかねない」と注意を促しています。
海外と比べて日本の金融リテラシーは低水準
海外と比べて日本の金融リテラシーは低水準です。
米国に比べ年齢別で若年層~中年層、学歴で短大・専門学校等卒以上の正答率が見劣りします。
特に金利を計算する問題の正答率は43%と、米国(72%)に比べ低いです。
金融教育には一定の効果がある
今回の調査で「金融教育を行うべき」と答えた人は72%と過去最高でした。
金融教育を受けている人と受けていない人の正答率は学生(18~24歳)で14ポイント以上の差があり、一定の効果がありました。
高校の授業で今春から金融教育が必修となり、効果は高まるとみられています。
金融広報中央委はリテラシーの底上げのため、大学生や社会人向けに1回15分ほどの無料eラーニング「マネビタ」を用意しています。
金利や資産運用、住宅ローンなどテーマ別に解説します。
金融庁も職員が学校に出向き、学生や教員向けに無料の出張授業を提供しています。
もっとも、金融教育には課題もあります。
キャッシュレスの普及で現金のない世界が進むとお金を使う実感も薄れます。
学生は全員授業で学べますが、社会人は一斉に金融教育を受ける機会がありません。
いかに多くの人を金融教育に巻き込むか試行錯誤は続きます。
まとめ
金融広報中央委員会の2022年の調査で、「金融リテラシー」が最も高い都道府県は島根県と奈良県であることがわかりました。
最下位は沖縄(51.0%)でした。
株式と投資信託の購入経験者は増え、それぞれ33%、31%でした。
海外と比べて日本の金融リテラシーは低水準です。
米国に比べ年齢別で若年層~中年層、学歴で短大・専門学校等卒以上の正答率が見劣りします。
今回の調査で「金融教育を行うべき」と答えた人は72%と過去最高でした。
金融教育を受けている人と受けていない人の正答率は学生(18~24歳)で14ポイント以上の差があり、一定の効果がありました。