持ち家のリフォーム費用が大幅に上昇していることが分かりました。
屋根や外壁、水道などの修繕は2020年比で15%ほど高くなりました。
長寿化でリフォームを求める潜在需要は拡大していますが、人手不足や円安による輸入資材の高騰によって費用は増える一途です。
今後は費用上昇を前提にした計画的な備えが欠かせません。
詳しく解説していきます。
4年でリフォーム費用が15%も増加
総務省の消費者物価指数によると住居の外壁塗装、屋根修理、水道工事の足元の料金水準は20年に比べ軒並み15%程度上昇していることが分かりました。
リフォーム費用は住宅の規模などで差がでますが、標準的な戸建て住宅(延べ床面積116平方メートル程度、2階建て)の外壁塗装は値上がりの結果、120万~130万円程度です。
上昇幅は数十万円に上る例が多いです。
リフォーム費用増加の要因の一つが人手不足
国勢調査によると大工の人数は過去約20年間でほぼ半減し、慢性的な人手不足が人件費の上昇を招いています。
2024年4月から建設業も時間外労働規制が強化される「2024年問題」があり、その影響もありそうです。
リフォームは住宅新築以上に省人化が難しいく、今後も費用高騰は続きそうです。
新築では資材を事前に工場で加工するなどの新しい技術によってコストダウンが進んでいますが、住宅の劣化度や作業環境の個別差が大きいリフォームはこのような技術を導入しにくく、人手不足によるコストアップを吸収しきれていません。
円安による輸入資材の高騰も原因
要因は人手不足だけではありません。
2020年からの新型コロナ禍、2022年からのウクライナ危機など様々な要因で、建築資材の供給網は乱れ、コストアップを招きました。
また、円安による輸入資材の高騰も原因の一つです。
今後も下落要素はほとんど見当たらず、費用少なくなりそうもありません。
長寿化でリフォームの需要は底堅い
リフォーム費用は高騰していますが、需要は底堅いです。
住宅リホームの市場規模は最新の2022年で約6兆8600億円と、過去10年で約1兆4300億円も増えました。
需要増加の原因は長寿化です。
今や女性は2人に1人、男性も4人に1人は90歳まで生きる時代で、住宅で暮らす期間も長くなります。
結果、持ち家の老朽化に悩まされ、リフォームを求める人が増えているのです。
標準的な戸建て住宅の場合、雨漏り防止など基本的な機能維持のリフォームだけでも築30年で総費用は1100万円を超えます。
将来の予測をして、必要な貯蓄をしておくことが求められます。
リフォーム直後に病院や介護施設に入るケースも
高齢期に多額の費用をかけてリフォームしても、その直後に健康問題などで病院や介護施設に移らざるを得なくなるケースも少なくありません。
自らの年齢も考慮に入れ、リフォームをするべきか否かも冷静に考えるべきでしょう。
場合によっては本当に必要な部分に絞って修繕することも選択肢です。
マンションの大規模修繕費も10%増加
個別のリフォーム費用の高騰は主に戸建て住宅に影響しますが、マンションでも定期的に行う外壁や屋根など共用部の大規模修繕費が上昇しています。
2020年に比べ10%ほど増えています。
戸建ては所有者個人が費用負担するのが基本ですが、マンションは通常、大規模修繕に備えた積立金から捻出されます。
しかし、国の2018年度調査では修繕計画に対して積立金が不足するマンションは約35%に達しています。
リフォーム関連の公的補助金は、省エネ改修支援が目的
リフォーム関連の公的補助金は沢山ありますが、大半は省エネ改修支援など住宅の機能を現状よりも向上させる工事のために用意されています。
例えば、外壁塗装で補助金がもらえますが、これは、全国の自治体が地球温暖化防止やヒートアイランド対策に繋がるエコリフォームを推奨しているためです。
なので雨漏りやシロアリへの対応など、住宅の基本機能の維持の為のリフォーム費用は、自らの貯蓄や収入などで賄う必要があります。