投資の勉強をしていくと必ずアクティブファンドとインデックスファンドの違いに疑問を持つことになります。
運用責任者の手腕で市場平均を上回る成績を目指すアクティブ(積極運用)型投資信託。
少しでもリターンの大きい投資信託を選ぼうとアクティブファンドに惹かれる人は少なくありませんが、それは最善の選択なのでしょうか?
詳しく解説していきます。
アクティブファンドとインデックスファンドの違い
アクティブファンドの特徴
アクティブファンドとは、運用会社やファンドマネジャーが独自の見通しや投資判断に基づいて、市場平均以上の収益を目指すファンドのことです。
ファンドマネージャーは、企業取材等を通して様々な企業を調査・分析することで組入銘柄を決定しています。
銘柄の入れ替えや情報収集などにコストがかかるため、インデックス・ファンドに比べて信託報酬が高めに設定されています。
インデックスファンドの特徴
インデックスファンドは、比較的低コストで効率的に市場平均のリターンを目指すファンドのことです。
組入銘柄は、基本的には指数の構成銘柄と同一となり、銘柄の調査や分析といった手間がかからず低コストで運営することができるため、手数料(運用管理費用)などを低く抑えることができます。
アクティブファンドの勝率は18%
まず知っておきたいのが、実際に市場平均を上回るアクティブ型は少ないことです。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の調べでは、2022年までの10年間で各国の株価指数を上回ったアクティブ型の比率は日本で18%、米国9%、欧州10%、インド32%、ブラジル11%など国内外ともに1~3割にとどまっています。
アクティブファンドが勝てない要因はコストが高いから
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない大きな要因はコストです。
投信の基準価格は運用成績から信託報酬などのコストを引いた値です。
信託報酬は、日本のアクティブ型株式投信の平均で年1.6%。
指数に連動するインデックス型は年0.1%程度が目立つのに比べ高くなります。
コスト控除前の成績が長期で好調を維持し続けないと、こうした高いコストを吸収できません。
コストが低いほど長期的な成績も良い傾向
「アクティブ型は運用力がすべてでコストは関係ない」との声もあります。
しかし、分析するとコストが低いほど長期的な成績が良い傾向にあります。
同様の実証分析は海外でも多いです。
投資初心者なら運用実績もみながら低コストのものを積極的に選ぶべきでしょう。
好成績のアクティブファンドを選んでも将来はわからない
もちろん長期で好成績が続いたアクティブ型も一定数あります。
問題は事前予測が困難なことです。
運用期間の長い投信が多い米国の1856投信を対象に、先行する10年間と次の10年間の指数に対する超過リターンを調べた調査があります。
両方ともプラスだったのは少数で、前半と後半の成績はほぼ無関係でした。
過去に好成績の投信を選んでも将来はわからないことになります。
アクティブファンドの好成績は続かない
アクティブファンドの好成績は続かないのか。
一つは運用スタイルと市場の流れにずれが生じることです。
多くの投信はハイテク株などの成長株型、金融株などの割安株型など運用スタイルが異なります。
市場で成長株が優位の時期は成長株の組み入れが多い投信は好成績になりますが、市場の流れが転換すると成績は悪化しやすいです。
このほか資金の大幅な流入や流出で資産規模が大きく変化し、得意とする運用手法を続けづらくなることもあります。
運用責任者の交代も影響されるし、少数銘柄の極端な値動きに左右されることもあります。
好成績の投信を事前に選ぶのはプロでも難しい
それでは成績以外の情報も手掛かりにすれば投信を選べるのでしょうか。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用体制なども詳しく調べてアクティブ型を選別しています。
しかし選んだアクティブ型の2022年度までの10年間の平均の成績は、コスト控除前で国内株が対象株価指数に対して0.12%とわずかなプラス、海外株はマイナス0.53%でした。
もし個人の投信のコスト控除前の成績がGPIFと同じで、アクティブ型の平均コスト年1.6%を引けば大幅なマイナスになります。
GPIFは株式運用の9割強をインデックス型、アクティブ型は1割弱です。
好成績の投信を事前に選ぶのはプロでも難しいことが、アクティブ型の比率を安易に上げられない大きな要因です。