【書評】7日でマスター　フリーランス・個人事業主の 確定申告がおもしろいくらいわかる本［2026年版］

フリーランスや個人事業主にとって、確定申告は毎年避けて通れない大仕事です。

「どこから手をつければいい？」「青色申告って難しそう…」そんな不安を抱えたまま、毎年の申告シーズンを迎えている方は少なくありません。

税金の仕組みや帳簿づけの基本、インボイス制度など、年々複雑化するルールに振り回されないためには、体系的で正しい知識が欠かせません。

合わせて読みたい記事

確定申告の書き方が分からない人におすすめの本 10選！人気ランキング【2026年：令和8年】

確定申告の季節になると、「どこから手をつければいいの？」「毎年なんとなく済ませているけれど、本当にこれで合っているのかな？」と不安になる方は多いものです。 特に初めての人にとっては、専門用語や計算が多 ...

続きを見る

書籍『7日でマスター　フリーランス・個人事業主の 確定申告がおもしろいくらいわかる本［2026年版］』の書評

この書籍は、フリーランス・個人事業主の確定申告に特化した実務書でありながら、入門者でも無理なく読み進められる構成になっています。とくに、複雑化する税制（青色申告制度、インボイス、電子帳簿保存法、消費税など）を、負担なく段階的に習得できる点が大きな魅力です。

以下の4つの観点で、より深く読み解いていきます。

それぞれがつながることで「この本が今、フリーランスの確定申告入門として最適な一冊である理由」が浮き彫りになります。

著者：伴洋太郎のプロフィール

伴洋太郎氏は、愛知県西尾市に拠点を置く「BANZAI税理士事務所」の代表として活動する税理士です。もともとは一般企業の社員としてキャリアをスタートしていますが、働くなかで「お金の流れを理解し、経営の根本を支えたい」という思いが芽生え、税理士を志したという背景があります。勤務税理士として幅広い相談に向き合いながら、個人事業主、小規模事業者、フリーランスといった“現場”に密着した領域で長く経験を積んできました。税務の世界は膨大な知識が求められますが、伴氏の場合は単なる知識提供ではなく、「どうすれば実務で迷わずにすむか」という視点を重視している点が大きな特徴です。

さらに、クラウド会計ソフト freee の「上級エキスパート／認定アドバイザー」としても活動しており、クラウド会計の導入、業務フローの効率化、バックオフィスの自動化に強い専門性を持っています。これは従来の紙ベースの経理・申告から、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した最新のデジタル環境へと移行していく現代において、非常に重要なスキルです。

また、1級ファイナンシャル・プランニング技能士としての知識も兼ね備えているため、税金に限らず、家計、保険、資産形成、相続など“生活と密接につながるお金の領域”まで総合的にアドバイスできる点も強みです。Webメディアでの監修、記事寄稿、講演なども積極的に行っており、「専門的な内容を初心者でも理解しやすく伝える」スキルにも定評があります。フリーランスと中小事業者の実務を熟知し、会計と税務の双方を俯瞰できる数少ない専門家といえるでしょう。

本書の要約

本書は、フリーランスや個人事業主が確定申告を理解し、自分の手で申告を完了できるようにするための「7日間の学習プログラム」として構成されています。1日目から7日目まで順を追って読み進めることで、税金の基本から始まり、青色申告の仕組み、経費の判断ルール、会計ソフトの操作、電子申告の方法、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応まで、現代の事業者が直面するすべての要素を体系的に学べます。

内容の特徴は、制度の説明と実務手順が密接にリンクしている点です。たとえば、青色申告のメリットを理解したあとに、会計ソフトでどのように帳簿を作るのか、作成された数字が申告書のどの行に反映されるのかといった“知識と操作の橋渡し”が丁寧に描かれています。これは、単に制度を説明するだけの本や、逆にソフトの操作だけを説明するマニュアルとは異なり、「理解と実践が同時に進む」構造になっていることを意味しています。

さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法といった最新制度にも対応しているため、「今年の申告のための本」で終わらず、「今後数年間の税務の変化にもついていける知識」が得られる内容です。確定申告が初めての人や、毎年なんとなく乗り切ってきた人にとって、知識が体系化されることで「自分の頭で判断できる」レベルにまで到達できるのが本書の大きな価値です。

本書の目的

本書の中心にある目的は、「読者が税務に対する不安から解放され、確定申告を自力で完了できる状態になること」です。税金の世界は専門用語が多く、初めて取り組む人ほど“わからないことがわからない”状態に陥りがちです。特にフリーランスは、自分の取引がどの税金に影響するのか、経費にできる基準は何か、青色申告の控除を取る条件は何かを誤解したまま進めることで、毎年の税金を必要以上に多く払ってしまうことがあります。

そうした状況を根本から改善するために、本書は「知識」だけでなく「自分の頭で判断する力」を育てる方針を採っています。たとえば、経費の基準について単に“これが経費です”と列挙するのではなく、「なぜそれが経費になるのか」「税法上の考え方はどうなっているのか」を理解できるように説明されています。また、インボイス制度についても、「登録すべきか、免税のままでよいか」という二択ではなく、「自分の取引先構造や業種を踏まえて判断する方法」が示されています。

そしてもうひとつの大きな目的は、「電子申告に対応した現代的な申告フローを身につけること」です。紙の申告書に数字を書き込む時代から、今は会計ソフトを使ったデジタル申告が主流となり、青色申告の控除額にも影響を与えています。本書はその流れに完全に沿っているため、今後の税制環境でも継続して使える“未来志向の知識”が身につきます。

人気の理由と魅力

本書が多くのフリーランスから支持される理由は、単に内容がわかりやすいというだけではありません。実務への適応力、最新制度への対応、そして著者の現場感覚など、多数の要素が組み合わさって独自の価値を生み出しています。

最大の魅力は、会計ソフトと電子申告を前提にしている点です。フリーランスの多くがfreee会計ややよいを利用しているにもかかわらず、それを踏まえた書籍はほとんど存在しません。本書は画面操作を丁寧に追いながら説明する形式をとっており、「ソフトがわからない」という最大のつまずきが自然と解消されるよう設計されています。

また、経費の判断基準についての説明が非常に優れています。経費の可否は曖昧で悩みやすい領域ですが、本書では「なぜ経費になるのか」「どのように判断するのか」という考え方を重視しています。単なる一覧表ではなく、グレーゾーンの扱い方や、税務署の視点を踏まえた解説など、実務経験に裏付けられたリアルな判断基準が示されています。

さらに、インボイス制度・電子帳簿保存法・消費税の特例といった最新領域を網羅しているため、これ1冊で2026年以降の税務環境にキャッチアップできます。制度の変更に伴い、インターネット上の情報も混乱している中で、本書のように体系的に整理された解説は貴重な存在です。

そして最後に、著者の“伝える力”が魅力を大きく引き上げています。専門用語を避けつつ、必要な部分だけ丁寧に補足し、初心者でもストレスなく読み進められるよう工夫されています。読み手を置き去りにしない構成は、経験に裏付けられたものです。

本の内容（目次）

本書の中心は、7日間でフリーランスに必要な税務の全体像を体系的に理解できる点にあります。それぞれの日に明確なテーマが設定されており、基礎から実務、そして制度対応まで一貫して学べる構成です。

以下のテーマが順に扱われており、税務の知識が段階的に積み上がっていくように設計されています。

それぞれのテーマは、つまずきやすい部分を先回りして解説し、理論だけでなく実務操作までカバーする内容になっています。

この構成によって、途中で挫折することなく確定申告の全体像が自然と理解できる流れが整えられています。

1日目　税金と確定申告の基本を知ろう

フリーランスとして活動を始めると、まず向き合うことになるのが税金の基礎です。この章では、事業を営む人に掛かる代表的な税の種類、所得税がどのように算出されるのか、そして確定申告という手続きがそもそも何のために存在しているのかを、土台から理解できるように解説していきます。とくに確定申告は「1年間の収入と支出を整理し、最終的な税額を決める手続き」であるという本質を押さえることで、税制に対する漠然とした不安が軽くなります。

さらに「申告をしないとどうなるのか」「赤字でも必要な場合があるのか」といった、初心者が特に疑問を抱きやすいポイントについても触れています。これらは意外と誤解が多く、特に源泉徴収の仕組みは“引かれて損している”と勘違いしやすいため、正しい意味を知ることが重要です。この章では、フリーランスの税金に関する“よくある誤解”を解消しながら、次の章で学ぶ青色申告の理解にもつながる基礎固めができます。

また、税金のルールは複雑そうに見えますが、実際には「所得＝売上−経費」という非常にシンプルな原則があり、これをもとにすべてが形成されています。こうした本質をつかむことで、税務の全体像がつながり、後に扱う会計ソフトでの入力や申告書作成もスムーズに理解できるようになります。

2日目　フリーランスの青色申告の基礎知識

2日目の内容では、フリーランスにとって非常に重要な青色申告制度を基礎から整理します。会社員と個人事業主の税金の計算方法は大きく違い、特に事業所得として扱われるフリーランスの場合、税金の計算式そのものが変わります。この章では、まず収入・経費・所得の関係、そして事業所得がどのように計算されるのかを理解するための土台が築かれます。

開業後に必ず提出が必要な「開業届」と「青色申告承認申請書」についても丁寧に説明されます。申請書の提出期限を守らないと、その年の青色申告が利用できなくなるため、手続きの流れを正確に理解することが欠かせません。また、青色申告がどのような制度なのか、そして最大65万円控除を受けるための要件など、節税に直結する知識がこの章に凝縮されています。特に控除額が10万・55万・65万の3種類あり、条件が異なる点は初心者がつまずきやすいため、本書では非常に分かりやすく説明されています。

さらに、青色申告に必要な帳簿の種類や、青色申告決算書の構造、確定申告書の記載例にも触れます。会計ソフトを使えば自動で帳簿が作成されるとはいえ、その仕組みを理解しておくことで後の作業がスムーズになります。税務署が何をチェックしているのか、どの項目が事業の健全性を示すのかといった本質部分に気づけるようになるのも、この章の魅力です。

3日目　売上や経費を会計ソフトで入力・仕訳しよう

この章では、クラウド会計ソフトを使って実際に日々の取引を入力し、帳簿を作成する方法を具体的に学びます。青色申告の最大控除（65万円）を受けるには会計ソフトの活用がほぼ必須となっており、freee会計ややよいオンラインの初期設定から取引入力画面の使い方まで丁寧に解説が進みます。これにより、複式簿記の知識がない人でも、ソフトのサポートを受けながら正しい帳簿を作成できるようになります。

実務に近い部分では、売上の登録方法、請求書の作成、経費の入力、銀行やカードの連携など、日常業務で頻繁に触れる機能が紹介されています。また、消費税の設定を税込方式にするか税抜方式にするかといった“判断が必要な設定”についても説明されており、誤った設定が後の集計に影響することが理解できます。デジタル領収書の保存方法や、領収書を紛失した場合の対処も含まれているため、実務で困りやすいポイントまで把握できます。

さらに、会計ソフトで入力された取引がどの帳簿に反映されるのか、そして入力内容が最終的に申告書のどの項目へつながるのかを理解することで、「入力作業」と「申告」の関係が見えるようになります。この理解があることで、最終日の電子申告の章にもスムーズに入っていくことができます。

4日目　経費になるもの、ならないもの

4日目は、フリーランスが必ず迷う「経費の判断」を中心に解説します。経費とは“事業に必要だった費用”ですが、仕事とプライベートをどのように区別するかという点が特に難しい部分です。本章では、一般的に経費として認められるケース、認められにくいケース、それぞれの考え方が具体例とともに整理されています。また、高額な機材ほど即時に全額を経費にできない理由も明確に説明されています。

減価償却は特に初心者がつまずきやすい領域ですが、「長期的に使用する資産は、使う期間に応じて少しずつ費用化する」という考え方さえ理解すれば、複雑な制度ではありません。本書ではその原理から、償却期間の考え方まで丁寧に触れています。また開業前に支払った費用の扱いや、自宅兼事務所の光熱費や家賃などを仕事と私生活でどのように按分するか、といった“実務で頻出する疑問”もカバーされています。

さらに、領収書がない場合の処理や、証憑の保管方法も解説されているため、「知らないと危ないポイント」まで理解することができます。経費は節税に直結するため、この章の理解度によって年間の税負担が大きく変わる可能性があります。

5日目　「所得控除」を最大限使って節税しよう！

この章は、税金の負担を軽減するための重要な制度である所得控除を徹底的に理解する内容です。所得控除は、医療費、扶養家族、保険料、地震保険、災害による損失、寄附金など、日常生活に関わるさまざまな支出を考慮して税金を軽くする仕組みです。これらの制度は知らなければ活用できないため、「知識が節税に直結する」という特徴があります。

特にフリーランスにとって大きな味方となるのが、小規模企業共済やiDeCoといった積立型の控除です。これらは将来への備えをしながら税負担を軽減できる制度であり、事業の継続性を高める観点でも有効です。どちらを選ぶべきかについても触れられており、将来の見通しに合わせた選択肢が整理されています。

さらに、執筆業や音楽活動など、収入が安定しにくいクリエイター向けの「平均課税」についても説明されています。これは特定の業種だけが使える特例であり、理解しておくことで税額を適切に軽減できる可能性があります。所得控除は思った以上に使える制度が多いため、この章を読むことで “見逃していた節税ポイント” を拾えるようになります。

6日目　会計ソフトで確定申告の書類を提出しよう

6日目では、会計ソフトを使って実際に申告書を作成し、電子申告まで完了させる流れを理解します。これまで入力してきた帳簿がどのように申告書へ反映されるか、どこを確認して不備を防ぐのかといった“実務の最終段階”がこの章の中心です。freee会計ではステップごとに案内が用意されており、初めてでも操作が進めやすくなっています。

収支情報の確認、決算書類の自動作成、申告書のチェック方法など、提出前に行うべき確認事項が丁寧にまとめられています。会計ソフトは便利ですが、設定や入力に誤りがあるとそのまま申告書に反映されてしまうため、「どの数字がどこにつながっているか」を知ることが非常に重要です。また、やよいオンラインでも同様に、自動で作成された書類を確認しながら申告まで進められる仕組みが説明されています。

電子申告（e-Tax）のメリットについても触れられており、控除の有利性、手続きのスムーズさ、デジタル化による効率化など、現代の申告において電子提出が必須に近い存在であることが理解できます。最後の手続きである申告と納税のステップを正しく理解することで、毎年の申告を自力で完結できるスキルが身につきます。

7日目　消費税とインボイスについて学ぼう

最終日は、フリーランスの働き方に大きな影響を与える消費税とインボイス制度を理解します。消費税は単なる税金ではなく、“預かっている税金”という性格があるため、売上に含まれる税額と経費で支払った税額の差額を調整する仕組みを理解する必要があります。消費税の基本的な構造を押さえることで、「免税事業者でも無関係ではない」という視点が生まれます。

インボイス制度については、「何のために導入されたのか」「登録しない場合の影響」「登録するかどうかの判断軸」の3点が特に重要です。適格請求書を発行できないと、取引先が仕入税額控除を受けられなくなるため、フリーランスの契約に大きく影響する可能性があります。本書では、この制度の“実務上の影響”を理解し、適切に判断できるように説明が進められています。

さらに、電子帳簿保存法についても触れられ、今後の帳簿管理がどのようにデジタル化されていくかを理解することができます。この章を読むことで、2026年以降の税務環境に適応するための基礎が養われ、将来の変化にも柔軟に対応できるようになります。

対象読者

本書は、フリーランスや個人事業主が直面する税務の疑問や不安を解消するために作られた実践的なガイドブックです。

読者の状況や悩みに応じて必要な知識を段階的に学べるよう構成されており、特に次のような立場の人にとって大きな助けとなる内容が揃っています。

これらの読者が抱えやすい「何をどう始めればいいのか」という迷いを解消し、確定申告の全体像をつかんだうえで実践できる状態へ導いてくれる一冊です。

それぞれの立場に応じて得られるメリットを、以下で詳しく紹介します。

フリーランスや個人事業主になったばかりの人

独立したばかりの時期は、税金の仕組みや確定申告の流れが分からず、不安を抱えやすいものです。本書は1日目から税金の基本構造を丁寧に解説しており、「なぜ確定申告が必要なのか」「何をどう準備すればよいのか」を順序立てて理解できるように設計されています。収入と経費の関係や源泉徴収の扱いなど、初年度に必ず混乱しやすいテーマが網羅されている点も、独立直後の心強い味方になります。

また、売上や経費の入力方法、請求書の管理、レシートの保存方法といった“日常の実務”まで段階的に学べるため、基礎知識から実務運用まで迷うことなく習得できます。難しい専門用語を避け、図解や例え話を交えて噛み砕いているため、「何から始めればいいかわからない」という人に最適な入門書といえます。

これから開業を検討している人

開業前の段階では、知らなければ損をする制度や手続きが非常に多く存在します。本書では、青色申告の申請期限や開業届の提出方法など、開業準備の必須知識が明確に整理されているため、何をいつ行うべきか迷わずに準備できます。特に、青色申告の特典や控除額の違いを事前に理解しておけば、開業後すぐにメリットを最大化できるため、開業前に読んでおく価値が高い一冊です。

さらに、開業初年度に陥りやすい“経費の判断基準”や“帳簿付けの習慣づくり”についても、3日目・4日目の内容で実務的に学べるようになっています。開業後に慌てて調べながら対応するのではなく、事前に流れを理解してスタートできるため、税務のトラブルを未然に防ぎ、安心して事業を始められます。

青色申告に関心がある人・変更を検討している人

青色申告は強力な節税手段ですが、制度の複雑さから敬遠されがちです。本書では、控除額の違いや必要な手続き、帳簿作成の流れが体系的にまとめられており、「どの控除を選ぶべきか」「65万円控除を取るにはどんな条件が必要か」が直感的に理解できます。複式簿記に不安がある人でも、会計ソフトの操作に沿って学べるため、制度を使いこなすハードルが大きく下がります。

特に、青色申告決算書の構造や必要書類の意味まで説明されている点は、制度をしっかり理解したい人にとって大きな魅力です。これにより、「何がどう節税につながっているのか」を理解した上で青色申告を利用できるようになり、制度変更を検討している方にも最適な判断材料になります。

経費の計上・帳簿の付け方に迷っている人

経費の判断はフリーランスが最も迷いやすいポイントのひとつで、「どこまで認められるのか」「按分の基準は何か」といった悩みが尽きません。本書では、税法上の“必要経費”の定義をかみ砕いて解説しつつ、よくあるグレーゾーンの扱いまで丁寧に説明しているため、線引きを理解しながら判断できるようになります。特に、自宅兼事務所や車の共用など、現場で本当に悩むテーマを具体的に取り上げている点が実務的です。

また、領収書の管理、レシートの保存方法、紛失時の対処、デジタル証憑の管理など、日常的な経理作業までフォローされています。会計ソフトとの連携を踏まえた入力方法も学べるため、「入力の仕方が分からない」「科目の選び方に自信がない」という人でも、手順通りに作業すれば正しい帳簿が作れるようになります。

消費税・インボイス制度・電子申告に対応したい人

2026年以降、フリーランスの税務環境はインボイス制度・電子帳簿保存法・電子申告が標準となり、対応しないままでは事業運営に支障が生じる可能性があります。本書は、これらの制度を分かりやすく整理し、「登録しないとどうなるか」「登録すべき判断基準は何か」まで解説しているため、事業の方向性に合わせて最適な選択ができるようになります。特に、免税事業者が感じやすい不安に寄り添いながら説明されている点が本書の強みです。

さらに、会計ソフトを使った電子申告（e-Tax）の手順が、画面の流れに沿って具体的に示されているため、初めての人でも実践しやすい構造になっています。freee会計・やよいの青色申告オンラインの両方に対応しているため、どのソフトを使っていても問題なく理解できます。税務のデジタル化に確実に対応していきたい人にとって大変有益な内容です。

本の感想・レビュー

まとめ

本書を読み進めてきた方は、確定申告の全体像だけでなく、青色申告や経費、インボイス制度など、日々の実務に直結する知識が整理されてきたはずです。最後に、締めくくりとして本記事の結びとなる観点を確認しておくと、学んだ内容をさらに深く体系化できます。

ここでは、次のようなポイントを中心に振り返っていきましょう。

これらの視点を踏まえて振り返ることで、ただ知識を得るだけでなく、実際の申告作業や日々の経理にどう生かせるのかが明確になり、読書体験がより実務的な価値へと変わります。

それでは、一つずつ確認していきましょう。

この本を読んで得られるメリット

ここでは、本書を手に取ることで得られる代表的な利点を整理してみましょう。

読後の次のステップ

本書を読み終えた後は、「理解したことをどう行動につなげるか」が何より重要です。確定申告は知識を得ただけでは身につかず、実際に手を動かすことで初めて自信につながります。

ここでは、本書を活かして実務力を磨くために取り組むべき次のアクションを、分かりやすく整理して紹介します。

step
1必要な手続きに早めに着手する

読み終えたら、まずは法律上の期限がある手続きから着手することが重要です。青色申告を利用したい場合は、申請書類を所轄の税務署へ提出する必要があり、その期限を逃すと翌年まで適用できなくなります。また、電子申告（e-Tax）を視野に入れるなら、利用者識別番号の取得やマイナンバーカードの準備が必要です。本書で学んだ内容を踏まえ、早めの対応を行うことで、事業をスムーズにスタートできます。知識を得た“今”が最も行動に移しやすいタイミングです。

step
2会計ソフトを実際に触りながら習慣を作る

freee会計ややよいの青色申告オンラインの操作手順は、本書の手順通りに実際に触ってみることで定着します。画面に沿って売上や経費を入力するうちに、仕訳の意味や帳簿の流れが自然と理解できるようになり、迷う場面が減っていきます。日々の取引をこまめに記録する習慣が身につくと、確定申告前にまとめて作業をする必要がなくなり、精神的な負担も軽くなります。会計ソフトの操作は“慣れがすべて”なので、読み終えた直後に始めるのが最も効果的です。

step
3経費や控除の判断を日常に落とし込む

経費の線引きや所得控除の判断は、一度理解しても日常で使わなければ曖昧になりがちです。本書で学んだ「必要経費の考え方」や「控除の種類」を、日々の支出や請求業務に照らし合わせながら判断することで精度が高まります。領収書の保管方法やデジタル証憑の扱いも、学んだ直後にルールを整備してしまうと管理が安定しやすく、後から困ることがなくなります。実務の仕組みを自分の生活に組み込むことで、税務の負担は大きく減少します。

step
4インボイス制度・電子帳簿保存法の対応を進める

インボイス制度の登録・非登録の判断は、事業の方針に影響する大きなテーマです。本書で示された判断基準に沿って、自分の業務形態や取引先を踏まえた選択を行うことが必要です。登録する場合は事業者番号の取得、登録しない場合は取引先への影響を確認し、必要であれば事前にコミュニケーションを取っておくと安心です。また、電子帳簿保存法への対応は早めに準備するほど負担が少なく、会計ソフトの設定を進めるだけでも大きな一歩になります。

総括

本書『7日でマスター フリーランス・個人事業主の確定申告がおもしろいくらいわかる本［2026年版］』は、確定申告の基礎から実務に至るまでを、7日間という明確なステップに分けて学べる構成が大きな特徴です。フリーランスや個人事業主が直面しやすい「税金の仕組みが複雑」「どこから取り掛かればいいのかわからない」といった不安に寄り添い、必要な知識を体系立てて整理してくれます。特に、税務の専門書にありがちな難解さを排除し、初心者でも理解しやすいよう工夫されている点が評価できます。

また、青色申告の特典や経費の判断基準、所得控除の仕組みなど、節税に直結する知識を丁寧に扱っている点も、本書が実務書として優れている理由の一つです。税務は知っているかどうかで結果が大きく変わる領域ですが、本書は“なぜそれが必要なのか”という背景まで理解できるように解説されており、単なる操作手順書にとどまらない深みがあります。読者が自分で判断できる力を身につけられるよう促す内容になっています。

さらに、電子申告（e-Tax）、インボイス制度、電子帳簿保存法といった現代フリーランスに必須のテーマも網羅されています。特に2026年版として最新の制度に対応しているため、これから事業を続けていくうえで必要となる知識を一冊で把握できるのは大きなメリットです。制度の変更に左右されやすい税務分野において、最新情報が整理されている本書は安心感のあるガイドといえるでしょう。