政府は2022年度内にも防衛装備品の輸出に関する規制を緩和します。
戦闘機やミサイルなど大型の装備品でも、個別に協定を結んだ国なら提供できる案を検討します。
現時点でオーストラリアとインド、欧州、東南アジアの12カ国が対象になります。
対中国を念頭に関係国と協力して抑止力を高めたい考えです。
防衛装備品の輸出規制を緩和
ロシアのウクライナ侵攻後、アジアでも安全保障環境は厳しさを増しています。
日本製の装備品が周辺国に広がれば、各国と日本との安保面の協力関係が一層深まる効果が期待できます。
政府は2014年に「防衛装備移転三原則」を定め、原則禁止していた輸出を一部緩和しました。
共同開発国以外への輸出は救難や輸送、警戒、監視、掃海向けに限ります。
この規定を変えて攻撃型の装備も輸出できるようにします。
6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に緩和の方針を盛り込む予定です。
今年末に予定する国家安全保障戦略の策定後、移転三原則を改定する見通しです。
輸出ができれば量産効果でコストを減らせる
日本は米英と次期戦闘機やミサイルの研究開発を計画中です。
国内で装備品を製造する企業にとっては生産量が少なければコスト高になり、政府の調達額も増えます。
輸出ができれば量産効果でコストを減らせます。
緩和する相手は装備品の輸出を規定する「防衛装備品・技術移転協定」を結んだ国に限ります。
現在は日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」の各国、英独仏伊、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンと締結しています。
従来型の戦闘機なども輸出対象になります。
東南アジア諸国には低価格帯の戦闘機へのニーズがあり、米欧も売り込んでいます。
中国製の戦闘機がアジアに広がり、中国の影響力が強まるのを防ぐため、日本は現役機の輸出も検討する見込みです。
移転三原則は紛争当事国への装備品の供与を禁じています。
ウクライナ侵攻では特例を設けて同国に防弾チョッキやヘルメットなど攻撃能力がない装備品を供与しました。
改定時にはこれを一般化し、侵略を受けた国には協定なしでこうした品目を供与できるようになります。
撤退が相次ぐ日本の防衛産業
政府が移転三原則を決定して輸出を緩和した14年以降、海外との完成品の輸出契約はフィリピンへの警戒管制レーダー1件だけです。
国内防衛産業は撤退が相次いでいます。
一層の輸出促進策をとらなければ装備品の部品調達すら困難になる懸念があります。
日本の装備品が海外の紛争に使われる懸念は残ります。
政府は憲法や安保関連法との整合性を十分に説明し輸出の条件を定める方針です。
まとめ
政府は2022年度内にも防衛装備品の輸出に関する規制を緩和します。
戦闘機やミサイルなど大型の装備品でも、個別に協定を結んだ国なら提供できる案を検討します。
日本は米英と次期戦闘機やミサイルの研究開発を計画中です。
国内で装備品を製造する企業にとっては生産量が少なければコスト高になり、政府の調達額も増えます。
輸出ができれば量産効果でコストを減らせます。
政府が移転三原則を決定して輸出を緩和した14年以降、海外との完成品の輸出契約はフィリピンへの警戒管制レーダー1件だけです。
国内防衛産業は撤退が相次いでいます。
防衛装備品の輸出規制を緩和することで、日本の防衛産業を活性化できるのか注目です。
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