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独り身の人が終活を民間事業者に依頼する場合、100万円超

独り身の人が終活を民間事業者に依頼する場合、100万円超

高齢者の一人暮らしには、若い人とは異なるリスクへの注意が必要です。

怪我や病気への対応が難しくなる …
社会との関わりが減る …
認知症が発症・進行しやすくなる …
詐欺や犯罪に巻き込まれやすくなる …

身近に頼れる人がいればいいのですが、いない場合は「終活支援サービス」や「高齢者等終身サポート事業」などで備えることができます。


詳しく解説していきます。


2050年には65歳以上の単独世帯は全体の21%

2050年には65歳以上の単独世帯は全体の21%

ひとりで暮らす人は少なくありません。

国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した世帯数の将来推計によれば、2020年は2115万世帯で世帯総数の38%と最も多く、「夫婦のみ」「夫婦と子」などを上回っています。

2050年には2330万世帯で44%に増えます。

中でも際立っているのが65歳以上の単独世帯の増加です。

2020年は738万で総数に占める割合は13%でしたが、2050年には1084万で21%と初めて2割を超える見通しです。


高齢単身者の備えは大きく分けて3つ

高齢単身者の備えは大きく分けて3つ

ずっと独り身の可能性がある人が考えておきたいのが、体力や判断能力が低下したときの備えです。

心身の機能が低下すると一般的に日常生活が難しくなるほか医療、介護で手続きや支払いが増え、誰かの手助けが必要になりやすいです。


備えは大きく分けて

(1)掃除や買い物、通院の付き添いなどの生活支援
(2)入院や施設入所の際に支援をする身元保証
(3)葬儀や墓の手配、家財の処分といった死後事務

の3つです。

身元保証は保証人となる家族がいないと、入院できないケースもあります。


万一の際の支援を依頼している人は14%

しかし日本総研が2023年に50歳以上85歳未満の男女に実施した調査で一人暮らしをしている人に万一の際の支援を依頼しているかを聞いたところ、「日常生活に必要なこと」では「具体的に頼んである」と「おおまかに頼んである」が14%しかいませんでした。

「頼む相手は決めている」「相手がいない・決めていない」は計80%近くあり、準備は遅れています。


頼める人がいなければ終活支援サービスの利用が選択肢

頼める人がいなければ終活支援サービスの利用が選択肢

頼める人がいなければ終活支援サービスの利用がおすすめです。

窓口となるのは「自治体・社会福祉協議会」や民間のサービスである「高齢者等終身サポート事業者」などです。

自治体では地域の高齢者向け支援に力を入れるところが増えています。


神奈川県横須賀市では、低所得のおひとり様向けに低価格で葬儀社と葬儀・納骨の契約をする事業と、かかりつけ医、墓の所在地などの情報を無料で登録する事業を実施しています。


横須賀市以外の自治体では、東京都豊島区が21年に「終活あんしんセンター」を設けています。

相続や遺言、葬儀などの相談に応じ、情報を提供します。更に終活情報登録も始めました。


足立区社協では同区在住、頼れる親族がいない、住民税非課税などを条件に見守りや入院時の身元保証などをします。

契約時に預託金52万円に年会費、遺言の作成費用(5万~10万円)などを払う必要があります。

預託金は判断能力の低下などで入院・入所費用の精算ができなくなったときに使われます。

入院の付き添いや預貯金払い戻しなどのサービスは別料金。1回1000円や1時間1000円といった料金を払うことになります。


高齢者等終身サポート事業者は資金に余裕がある人向け

高齢者等終身サポート事業者は資金に余裕がある人向け

一方、高齢者等終身サポート事業者は資金に余裕がある人や高所得者向けです。

契約に基づいて生活支援や身元保証、死後事務などのサービスを提供します。

生活支援では買い物の付き添い、墓参りの同行や代行、緊急時のペットの世話をするなど社協に比べきめ細かなニーズに対応できます。


契約時に預託金など100万~200万円払う

高齢者等終身サポートは、契約時に預託金など100万~200万円払うケースが多いです。

例えばシニア総合サポートセンターは約140万円、OAGウェルビーRは186万円です。

両社とも預託金は死後事務に充てるので、生活支援を利用すればその都度料金が発生します。

シニア総合は平日昼間で1時間3500円程度、OAGは同5500円です。


司法書士ら専門家と早めに任意後見契約を結ぶのも対策

司法書士ら専門家と早めに任意後見契約を結ぶのも対策

司法書士ら専門家と早めに任意後見契約を結ぶのも対策の一つです。

契約を事前に交わしておけば、判断能力が低下しても任意後見人が様々な支援を受けることができます。

ひとりで暮らせなくなったら家を売って施設に入るなど、契約の内容は自由に決められます。

費用は契約時10万~30万円、認知症発症で後見開始時10万~15万円、後見人の報酬が月2万~3万円などです。

認知症になる前でも緊急連絡先となったり、駆け付けたりするので入院や入所を断られることはありません。

死後の手続きも不安なら、任意後見のほか死後事務委任などをセットで契約することもできます。

契約時に40万~60万円かかることが多いです。


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