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無申告や過少申告などには厳しいペナルティー【確定申告/副業】

無申告や過少申告などには厳しいペナルティー【確定申告・副業】

会社員が独立して起業したり、副業をしたりするケースが増えています。

個人事業者は、事業の損失を他の所得と相殺(損益通算)することで節税することができます。

ただ、取引の記帳や帳簿書類の保存に不備があると、厳しいペナルティーが発生する恐れがあり、注意が必要です。


詳しく解説していきます。


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事業所得は他の所得と損益通算して節税できる

事業所得は他の所得と損益通算して節税できる

個人にかかる所得税は、年間の稼ぎ(所得)に応じて決まります。

個人が事業で得た所得は「事業所得」になります。

収入から、それを得るためにかかった必要経費などを差し引いて所得を計算します。

そのため日々の収入や必要経費などを記帳したり、その帳簿や請求書、領収書、契約書といった取引関連書類も作成・保存したりする必要があります。

その上で原則、毎年の所得額と税額を確定申告します。


そんな面倒をする個人事業者には利点もあります。

必要経費が収入を上回り、損失が発生した場合、その損失は給与所得など他の所得と損益通算して節税できます。


注意すべきなのは、税務当局が、所得額や税額の計算の前提である記帳や帳簿書類の保存についてチェックを強化していることです。

きちんと記帳し、帳簿書類も保存していなければ、思わぬ税負担が発生することになります。


2022年10月から「改正通達」

2022年10月から「改正通達」

注目したいのが、国税庁が2022年10月から適用を開始した「改正通達」です。


改正通達の中身は「事業所得」と「雑所得」を区分する基準です。

「雑所得」とは、給与所得や事業所得などのいずれにも当てはまらない所得で、会社員の副業などによる所得も雑所得になることが多いです。

事業所得と同様、収入から必要経費を差し引いて所得を計算しますが、「事業所得」と違い損失が出た場合も他の所得と相殺できません。


雑所得と事業所得の判断基準

雑所得と事業所得の判断基準

会社員の副業などによる所得が雑所得になるのか、事業所得なのか、従来は基準が曖昧でしたが、改正通達では基準として「記帳、帳簿書類の保存」を掲げました。


日々の取引などを記帳し、帳簿書類が保存されていれば収入金額に関わらず原則、事業所得になります。

ただし、本業収入の10分の1以下の場合は事業所得にならない場合があります。

一方で記帳や帳簿書類の保存ができていない場合は、収入300万円以下ならすべて雑所得、収入300万円超と比較的多い場合でも原則として雑所得として扱います。


2月16日に始まった2022年分の確定申告から適用されます。


記帳や帳簿書類の保存に求められる水準

記帳や帳簿書類の保存に求められる水準

記帳や帳簿書類の保存のハードルは高く、税務調査に耐え得る水準が必要です。

例えばノートに収入金額だけ記入して、相手先を書いていなかったり、請求書や領収書を箱に雑然と入れたりしておくだけでは税務署が求める記帳や保存の水準とされないでしょう。


記帳内容は、収入や必要経費が生じる取引について、取引年月日、取引金額だけでなく、相手方の氏名・名称なども必要です。

それを一定の帳簿に記入します。

その上で領収書、請求書など取引関連書類を、どの取引によるものかが分かるように整理しておきます。

帳簿は7年、その他の書類は5年または7年間保存しておく必要があります。


青色申告の場合はおカネの出入りと資産の増減を同時に記録する複式簿記の記帳が原則です。

青色申告は事業に従事する家族への給与を事前に認められた金額まで控除できるなど通常の申告(白色申告)にはない優遇措置があります。


無申告や過少申告などには厳しいペナルティー

無申告や過少申告などには厳しいペナルティー

今年の所得から2つの厳しい措置も導入されます。

1つ目は事業所得について、収入に関する記帳や帳簿書類の保存に不備があるとき、申告が過少な場合のペナルティーとして加算される過少申告加算税、無申告の場合の無申告加算税が従来よりも重くなります。


2つ目はさらに厳しい内容です。

申告に仮装・隠ぺいがある場合や、無申告の場合、帳簿や取引先の調査によっても必要経費の存在が証明できないときは所得計算の際、収入から必要経費を差し引くことが認められません。

仮装・隠ぺいとは意図的に記帳しなかったり、書類を隠したり廃棄したりすることです。

注意したいのは、無申告の場合と、会社員の副業を含む雑所得も対象になる点です。

無申告の場合は仮装・隠ぺいの有無に関わらず適用されます。

会社員の副業収入は無申告が少なくありません。


フリーランスの増加などを背景に個人事業者の申告件数は増え始めていますが、税務当局は「記帳などは依然として不十分な水準」と考えています。

本業にせよ副業にせよ「業」を営む以上は、会計ソフトの活用などデジタル化も含めて、最低限の記帳と書類の保存が求められます。


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