この記事では、台湾産パイナップルの輸入増で起こった変化について解説していきます。
中国による台湾産パイナップルの輸入停止によって、日本に台湾産パイナップルが大量に入ってくるようになりました。
その結果、青果市場に変化が出てきました。
どのような変化なのでしょうか?
わかりやすく解説していきます。
パイナップルの流通価格が下落
パイナップルの流通価格がおよそ1年半ぶりに下落しました。
流通量の大多数を占めるフィリピン産は4月に比べ約6%下がり、6年ぶりの安値水準です。
中国が禁輸措置をとった台湾産パインが日本市場に流入し、輸入量は前年同期の5倍に急増しました。
あおりを受けたフィリピン産の流通が鈍ったかっこうです。
新型コロナウイルス禍で消費が低迷するなか、食品スーパーや外食店にとって新たな商材になっています。
前年同期と比べて6%減
2021年5月中旬に東京の青果仲卸が小売店向けに販売するフィリピン産パインの価格は1カートン(5~6個)2200円が中心です。
4月比で150円安く、前年同期と比べて6%安くなっています。
例年だと、国内パイナップルの97%がフィリピン産
日本で出回るパイナップルはほぼ全量が輸入品です。
主力は年間を通して調達できるフィリピン産で、20年の輸入量(約15万7000トン)の97%を占めます。
出回りが初夏までに限られる台湾産は2100トンほどです。
同地域は輸出のほとんどが中国向けでした。
中国が台湾産パイナップルの輸入停止
中国は今年3月、植物検疫上の問題を理由に台湾産の輸入を止めました。
そして、台湾産パインは中国に代わる市場として日本に流入することに。
貿易統計によると台湾産の3月の輸入量は約1130トンと前年同月のおよそ3倍に急増しました。
台湾産パイナップル、前年同期比5倍が日本に輸出
直近でも増加の勢いが続きます。
農林水産省植物防疫所の1~4月の検査数量は昨年同時期の5倍超に達し、例年3%程度の台湾産のシェアは1割ほどに伸びました。
台湾産品の貿易を振興する台湾貿易センター東京事務所(東京・千代田)によると1~4月までに前年同期比5倍の7300トンが日本に輸出されたといいます。
台湾産はフィリピン産より4割高い
台湾産パインの東京市場の5月上旬時点の卸値は1キロ258円です。
フィリピン産より4割高いものの、甘みが強くジューシーな味わいが特徴です。
芯まで食べられるなど、消費者に一定の訴求力があるとみた小売りや外食が拡販に取り組んでいます。
台湾産パイナップル、売れ行きは好調
大手スーパーのライフコーポレーションでの店頭価格は1個640~730円程度です。
320円程度のフィリピン産より高いが、客は食味を評価しており、売れ行きは好調です。
同社の今年のパイナップル取扱量は例年の2倍以上になる見込みです。
首都圏などで売り場も拡大しています。
中堅スーパーのいなげやも取り扱いを例年より増やしているようです。
ファミリーレストランでも台湾産パイナップルが使われる
外食大手のすかいらーくホールディングス(HD)はファミリーレストラン「ジョナサン」のメニューに今年初めて台湾産パイナップルを採用しました。
台湾産パイナップルによる、国産果実への影響は少ない
例年春から初夏は旬の国産果物が少ないです。
店頭に並ぶのはキウイやオレンジなど輸入果実が中心で、国産果実への影響は限定的とみられます。