テクニカル分析は株やFXの売買タイミングを計るうえで抜群の効果を発揮しますが、けして万能ではありません。
利用するならば、その特性を理解する必要があります。
この記事では、テクニカル分析では分からない3つのことを解説していきます。
割安株
投資の基本は、割安のものを見つけ、これから上がりそうなときに買うことです。
あるいは、明らかに割高のものを見つけ、これから下がりそうなときに空売りすることです。
誰が見ても割安や割高なものは、いずれ他の投資家も気がついて、割安なものは買われ割高なものは売られて、妥当な価格水準に価格が修正される可能性が高いからです。
テクニカル分析が分析の対象としているのは、値動きですから、価格の下落期間が長すぎる、あるいは下落幅が大きすぎるといったことは分かります。
しかし、これは必ずしも割安だということにはなりません。
極端な例を挙げれば、倒産した会社の株価は1円になるまで下げることがあります。
しかし、1円になったからといって割安とはいえないでしょう。
また、推移の傾向が変化するシグナルは出ますが、変化がないとシグナルは異常値になります。
本質的な価値
投資対象の価格が割安か割高かを知るには、それが持つ本質的な価値を調べ、市場で取引されている価格と比較すればわかります。
しかし、投資対象が持つ価値は、いくらテクニカル分析を駆使してもわかりません。
これは、ファンダメンタル分析の分野です。
つまり、より良い投資を行うには、ファンダメンタル分析を用いて割安や割高な投資対象を抽出し、さらにテクニカル分析を使って投資タイミングが適切かどうかを調べることが必要なのです。
よく、テクニカル分析とファンダメンタル分析では、どちらが投資に有用なのか?という疑問がありますが、答えは両方です。
どちらか片方では、不必要なリスクを避け、よりよい投資収益を目指すことはできないのです。
株式投資で具体例を挙げれば、ファンダメンタル分析でPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどから見て割安で、増収増益予想の企業を抽出し、テクニカル分析で投資タイミングを探るというアプローチがよく用いられます。
長期見通し
テクニカル分析では、将来は過去の延長線上にあると考えます。
したがって、過去からかけ離れた突飛なことや、遠い未来のことは予想できません。
では、過去の推移を元にして、どのくらい先のことまで予想できるのでしょうか?
1つの目安として、過去と現在の相関を調べてみる方法があります。
たとえば、今日から遡る20日間というように、1日ずつずらして相関係数を計算してみるのです。
相関が高い間は連動性が強く、予想の信頼性も高いことが期待されます。
反対に、相関が低くなれば連動性はなく、予想の信頼性も怪しくなります。
その結果は、信頼性が高いのは3日程度でした。
これは、週足や月足でも同様で、日足を使った予想で信頼できるのはせいぜい1週間以内、週足なら1ヵ月以内、月足なら1四半期以内と考えた方がよさそうです。