積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を使ってコツコツ積み立て投資を始める20~30代が増えています。
その多くは投資を始めたばかりの初心者で、よりわかりやすい商品説明などを求めています。
証券会社や運用会社は初心者に配慮したサービスが求められる時代になりました。
楽天証券の口座数は1年で42%増
楽天証券の総合口座数は6月末で624万口座。1年前に比べ約42%増えました。
2021年1~3月に新規口座を開設した人は20代以下が38%、30代が30%と若年層が大半を占めました。
同社の新規口座開設数はつみたてNISAが始まった18年ごろから増加幅が拡大しています。
スマートフォンが普及し、口座開設手続きの利便性が増したことも背景にあります。
つみたてNISAの口座数は、30代が28%、20代が19%
金融庁によると、つみたてNISAの21年6月末時点の口座数は30代が28%、20代が19%を占めます。
3月末からの増加率は特に20代が高かったです。
若年層による活用が活発になっていることで、様々なサービスも変化しています。
例えば、楽天証券は今年5月につみたてNISAのスマホのサイトを大幅に改善。積み立てた月数などの実績をグラフで表すことで視覚的に実感できるようにしました。
6月には購入や売却といった操作がスマホで完結し、NISAやポイント投資にも対応するロボットアドバイザー「らくらく投資」のサービスを開始しました。
証券会社で顧客の奪い合い
運用会社も対応を急ぎます。
野村アセットマネジメントではつみたてNISAの制度開始の際、長期にわたってコツコツ投資をしてもらえる商品は何か議論しています。
14年に始まった一般NISAと大きく異なるのは、対象となる投資信託には金融庁が定めた一定の基準があることです。
同社がつみたてNISAの制度開始に向けて組成した投信は3本。日本を除く世界の株式に投資するインデックス投信の「野村つみたて外国株投信」など、足元の残高は合計約800億円になりました。
ファンド名を「つみたて」と目立つ平仮名表記にし、つみたてNISAで投資する投信を検索した際に表示されやすい工夫をしたといいます。
同ファンドの信託報酬率は年0・209%(税込み)。既存の商品に比べネットでの販売が増えると想定し、様々なコストを少なく見積もっています。
昨年販売を開始した「野村スリーゼロ先進国株式投信」は購入時の手数料が無料の他、運用中に販売会社や委託会社、受託会社が受け取る信託報酬を当初10年の間、無料としています。
つみたてNISAの非課税期間は最長20年。投資枠の再利用はできないため頻繁な売却は考えにくい。ならば「当初10年を無料としても、それまでに残高が積み上がれば、残りの10年で報酬は得られる」という算段です。
「貯蓄から投資へ」の芽が出始めたことで、投資を取り巻くサービスは変わっていきそうです。