2024年から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)に向け、ネット証券各社が1株単位で株式を売買できる「ミニ株」(単元未満株)のサービスに力をいれています。
楽天証券は4月17日から単元未満株の取り扱いを始めます。
SBI証券やマネックス証券もキャンペーンを通して顧客の獲得を狙っています。
初心者や若年層が少額で投資できる環境を整え「貯蓄から投資」を後押ししたい考えです。
詳しく解説していきます。
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日本株は「1単元=100株」での売買が基本
日本株は「1単元=100株」での売買が基本で、銘柄によっては最低投資額が数百万円になります。
単元未満株取引なら1株単位から売買でき、少額投資が可能です。
新NISAの成長投資枠は株式の売買ができますが、最低投資額の引き下げは進んでいません。
単元未満株取引が若年層を呼び込むきっかけとなる可能性があります。
楽天証券で単元未満株の売買できるようになる
楽天証券は、トヨタ自動車や京セラなど約100銘柄の単元未満株について、4月17日からリアルタイムで売買できるようにします。
約500銘柄についても前場の寄り付き時に取引できるようになります。
取扱銘柄は順次拡大する予定です。
SBI証券やマネックス証券の単元未満株取引は約定のタイミングが始値や終値など1日1~3回程度に限定されていますが、楽天証券ではリアルタイムで売買できます。
東京証券取引所の参考価格に0.22%のスプレッドを加減算した価格が約定単価で、売却時は1回の取引につき11円の手数料が発生します。
4月17日から当面の間は売却時の手数料も無料にし、新規顧客のサービス利用を促します。
楽天証券は新規口座開設者の半数以上が30代以下です。
グループの通販サイト「楽天市場」などでためたポイントを活用して国内株式などに投資する顧客も多く、単元未満株サービスとの親和性は高いとみられます。
楽天証券では若年層や初心者の多くが投資信託を購入して積み立て投資をしていますが、新NISAを前に現物株の顧客層を拡大したい考えです。
他のネット証券も顧客の囲い込みに必死
他社も顧客の囲い込みに必死です。
2000年代からミニ株取引を提供しているSBI証券は、単元未満株の売却手数料を実質的に最大約3カ月分無料にするキャンペーンを6月末まで実施しています。
マネックス証券も初めて単元未満株を買い付けした投資家に200円を贈るキャンペーンで個人の獲得を狙っています。
日本株の最低投資額の大きさは問題視されていた
「貯蓄から投資」を本格化する上で、日本株の最低投資額の大きさが課題としてかねて指摘されていました。
最低投資金額の大きい銘柄を見ると、キーエンスが約600万円、SMCが約700万円と新NISAの成長投資枠の購入可能額(年240万円)を大幅に上回ります。
若年層など資金力の乏しい投資家が購入できる銘柄は限られています。
米国株は1株から購入可能
一方、米国株は1株から購入可能で、投資金額はアップル株が2万円程度、マイクロソフト株で4万円程度です。
日本株に投資するよりも少ない資金で海外企業の株式に投資することができます。
単元未満株取引が「貯蓄から投資」の起爆剤となる
東証は一部の上場企業に対して最低投資金額の引き下げを呼びかけています。
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは3月に1株を3株に分割し投資額の引き下げに動きましたが、足元の株価で計算した最低投資額は約300万円といまだに高額です。
要請を受け株式を3分割した東京エレクトロンの最低投資金額も150万円を超えています。
投資金額が依然として高いなかで、単元未満株取引が「貯蓄から投資」の起爆剤となることが期待されています。