厚生労働省は残業代を算定する基準から在宅手当を外す方向で調整に入りました。
これまでは月給に含めた扱いでしたが必要経費として切り離すことになります。
新型コロナウイルス下でテレワークが広がり、手当を導入した企業が払う残業代が膨らんだため見直すことになりました。
これにより社員の手取りが減る可能性があります。
厚労省の審議会で詳細を詰めることになります。
労働基準法施行規則を改正し、2024年度にも適用されます。
詳しく解説していきます。
在宅手当が残業代算定から除外される
労働基準法は1日8時間か、週40時間の法定労働時間を超える残業は割増賃金とするよう定めています。
企業は月給から計算した1時間あたりの賃金をベースとして残業時間に割増率を乗じて算出します。
現行ルールでは原則として企業が払った金額は月給とみなされますが、明らかに労働対価でないものや実費の補填分は除外されます。
通勤手当や家族手当、住居費補助など7項目が対象外となっており、これに在宅手当も加える方針です。
手当全額ではなく一定額を残業代の算定基準から除く案もある
在宅手当は自宅で作業するために購入した機材の費用や、光熱費、インターネット代の増額分などを補うために支給されています。
手当を払っている企業でも「実費の弁償」とみなせれば賃金には含めませんが、どこまでを業務費用とみなすか判断が難しい面があります。
そのため手当全額ではなく一定額を残業代の算定基準から除く案もあります。
コロナ後に在宅手当を受け取る人が増加
従来は在宅手当の支給対象者は少なく、残業代の計算でも重視されていませんでした。
しかし、コロナ後にテレワークが普及するとともに手当を受け取る人が増加しています。
企業にとっては手当に加えて高い残業代を払うことになり負担が重くなっています。
基礎賃金に含まれる手当
残業代の基礎賃金は、基本給だけではなく、それ以外に支払っている諸手当も基礎賃金に含まれます。
ただし、労働の対価というより、従業員の個人的事情により支給されるものであるものは、割増賃金の計算の基礎に含めないことになっています。
法律上の除外賃金は以下の通りです。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
残業代の正しい計算方法
「週40時間、1日8時間」の法定労働時間を超えて働くと、「残業」となります。
残業に対して発生する賃金は、1時間あたりの賃金の25%増となり、「1時間あたりの賃金(時給)×1・25(割増率)×残業時間」で算出します。
1時間当たりの賃金は、「月給÷所定労働時間÷所定労働日数」で求めます。