金融庁が2024年に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)で、投資枠の最大3分の2を占める「成長投資枠」を使って購入できる投資信託を2000本程度に絞り込む方針であることがわかりました。
公募投信は約6000本あるが、外国債券で運用するアクティブ運用の投信や毎月分配、運用期間20年未満の投信は対象外となります。
設計が複雑で長期運用に向かない商品を排除する狙いだが、個人の選択肢を狭めるとの指摘もあります。
詳しく解説していきます。
新生NISAの制度
NISAは投資で得る収益を非課税にする個人向けの税制優遇制度です。
2024年1月から既存制度より非課税枠が大きく、非課税の期間を無期限にした新NISAが始まります。
新NISAは投信や株を対象にした「成長投資枠」と、投信を積み立て購入する「つみたて投資枠」に分かれています。
投資可能額は1800万円、うち成長投資枠は1200万円までになります。
現在はつみたてが800万円、成長投資枠に相当する一般が600万円となっています。
成長投資枠の対象外になる条件3つ
つみたて投資枠は約220本の投信を購入対象にする既存制度を引き継ぎます。
成長投資枠は対象になる投信をどう線引きするかが焦点となっていました。
金融庁は高レバレッジ、毎月分配、運用期間20年未満という3つの条件のうち、いずれかに当てはまる投信を対象外にする方針です。
1.高レバレッジ商品
高レバレッジではデリバティブ(金融派生商品)を組み入れる商品の扱いを厳しくします。
デリバティブの活用は為替変動などのリスクをヘッジする目的だけに絞ります。
値動きが大きくなるデリバティブなどを活用して運用成果を高める戦略は、アクティブ型の外債投信の多くが採用しています。
米運用大手ピムコに運用を委託する外債投信などが対象外になる可能性があります。
国内外の株式や債券に投資する投信のうち、アクティブ型の外債投信は残高ベースで1割強を占めます。
2.毎月分配型
分配金を毎月受け取るタイプの投信も対象外になります。
元本を取り崩してまで分配金を出すのは長期投資にそぐわないという考えがあるからです。
最近では運用が振るわないときに分配金を出さない投信も出ているが、対象から外すことになります。
3.運用期間20年未満
利回りの高い米企業の社債などを組み入れる投信が人気を集めています。
運用期間をあらかじめ限定して債券を満期まで持ち切るタイプが多いです。
こうした投信は運用期間が5年程度のため対象外になります。
まとめ
新NISAは投信や株を対象にした「成長投資枠」と、投信を積み立て購入する「つみたて投資枠」に分かれています。
金融庁は高レバレッジ、毎月分配、運用期間20年未満という3つの条件のうち、いずれかに当てはまる投信を対象外にする方針です。
成長投資枠は既存制度の一般NISAを拡充する形になります。
一般NISAは購入対象の投信に制限を設けてきませんでした。
新NISAで投信を絞り込むことに運用会社からは「個人投資家の選択肢を狭める」と批判の声があがっています。