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モンテネグロも中国の債務の罠にはまった!欧州にもチャイナマネーが浸透

モンテネグロも中国の債務の罠にはまった!欧州にもチャイナマネーが浸透

旧ユーゴスラビアの小国モンテネグロが中国への債務の肩代わりを欧州連合(EU)に要請しました。

バルカン半島などで影響力を拡大したい中国と、加盟交渉を進めてきたEUによる対立の火種になることが予想されます。


モンテネグロってどんな国?

モンテネグロってどんな国?

モンテネグロ バルカン半島に位置する小国。面積は福島県とほぼ同じです。

人口は624,000人。GDPは91億ドル。通貨はユーロを使っており、EU加盟候補国です。


第2次世界大戦中はイタリアに占領されていましたが、その後、旧ユーゴスラビアの構成国の一つとなりました。

解体後は隣国のセルビアとともに国家連合を組み、2006年の国民投票で友好的に分離して独立。


モンテネグロ政府がEUに支援要請

モンテネグロ政府がEUに支援要請

以前からささやかれていましたが、EUの欧州委員会報道官は2021年4月12日、モンテネグロ政府から支援要請があったことを認めました。


債務の肩代わりは否定しつつ「モンテネグロに寄り添う」として資金支援の可能性に言及しました。

さらに、中国の投資によって「マクロ経済の不均衡や債務依存のリスクがある」と懸念を示しました。


欧州銀行は融資を拒否した過去がある

欧州銀行は融資を拒否した過去がある

モンテネグロがEUに支援を打診したのは、中国から受けた約10億ドル(約1100億円)の融資の借り換え返済です。

資金は2015年に本格着工した高速道路整備事業に使われました。


南部の港町バールと隣国セルビアを縦断する全長165キロメートルで、経済の活性化の起爆剤として期待を寄せていました。

しかし、人口62万人の小国による大規模事業の採算を疑問視する声は多く、欧州の銀行が融資を拒否した経緯があります。


欧州が断り中国が融資することに

欧州が断り中国が融資することに

代わりに手を差し伸べたのが中国です。最初の一部区間について、建設費用の大半を政府系の中国輸出入銀行が融資することになりました。


ロイター通信によると、この融資はドル建てで利率は2%、返済期間は20年。年内に返済を始めなければならない。

返済できなくなった場合は中国が土地や財産を取得できる契約内容ということです。また、法的な争いが起きた場合には契約上、中国の仲裁裁判所が裁判権を持つことになっています。


中国からの借金が膨張した結果、モンテネグロの20年の公的債務は国内総生産(GDP)比で90%を超えたました。

新型コロナウイルス感染拡大で、主力の観光業が打撃を受けており、返済は難しくなっています。


高速道路の工事も大幅に遅れ、完成の見通しも立っていません。


大国の思惑が絡み合うバルカン半島

大国の思惑が絡み合うバルカン半島

「欧州の火薬庫」とも呼ばれてきたバルカン半島は、民族や宗教が複雑に入り組んでいます。

それぞれの勢力の動きに加え、欧州や中国だけでなく、米国やロシアなどの大国の思惑も絡み合っているのです。


EUの思惑

EUはバルカン半島の北マケドニア、アルバニアといった国々と加盟交渉を進めています。

民主化や汚職撲滅といった法令整備などでの支援も進め、自陣営に引き寄せようとしているのです。


とりわけモンテネグロはEU加盟に最も近い位置にあり、通貨ユーロを事実上採用するなど、EUとの関係は深いです。

欧州の一部であるバルカン半島で、中国の「債務のワナ」にはまる国が出れば、拡大をめざすEUにとって大きな打撃となりかねません。


ロシアの思惑

モンテネグロは2017年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟したが、NATOの勢力圏の「東方拡大」を嫌うロシアは強く反発してきました。

ロシアはエネルギー供給などで地域への影響力を死守しようとしています。

2020年には米国のトランプ前政権が対立を深めるセルビアとコソボの経済関係の正常化を仲介しました。


中国の思惑

中国は広域経済圏構想「一帯一路」のもと、経済協力でバルカン半島での影響力拡大を急いでいます。

セルビアの首都ベオグラードとハンガリーの首都ブダペストを結ぶ高速鉄道網の整備支援は目玉の一つです。


セルビアは中国製の新型コロナワクチンも積極的に採用し、ブチッチ大統領は中国を「不変の友人」と蜜月関係を強調しています。


中国の債務の罠にはまった国々

中国の債務の罠にはまった国々

債務の罠とは『借金漬け外交』のことです。

債権国側は過剰な債務を通じて債務国を実質的な支配下に置く狙いがあります。


中国は一帯一路構想を進めていく中で、インフラ投資を通じて途上国を政治的影響力下に置く「借金漬け外交」との批判も起きています。


スリランカ

中国の支援の下で進められたハンバントタ港建設時の費用約13億ドルの債務が返済できなくなり、2017年に後任のマイトリーパーラ・シリセーナ政権下で中国の国営企業が救済という形で99年間借り受ける契約を結んで実質的に中国が所有する港湾となってしまいました。


エチオピア

中国から受けたさまざまなインフラ投資は下記のとおりです。

  • 環状道路や高速道路といった全土の道路の7割
  • 初の風力・水力発電所
  • 初の工業団地
  • ダム
  • 新国立競技場アディスアベバ・ナショナル・スタジアム
  • 鉄道
  • アフリカ最大のスマートフォンメーカーとなった伝音科技の携帯電話工場
  • 全土の通信網の整備


大統領(ムラトゥ・テショメ)には中国留学歴があり、エチオピアはアフリカの中国とも呼ばれています。

一帯一路のモデル国家に位置付けられてる国であるが、債務額は国内総生産の59%にも及んでおり、その大半は中国からの融資とみられています。


トルクメニスタン

中国へのガスパイプライン建設で約40億ドルの債務を抱えて経済危機にもなっているために「債務の罠」にあたるとロシアのニェザヴィーシマヤ・ガゼータから評されています。


ベネズエラ

石油価格の暴落によってベネズエラの経済は崩壊し、ベネズエラ最大の債権国である中国は200億ドルの損失を出したことから「債務の罠」が諸刃の剣であることを示す例とウォール・ストリート・ジャーナルは評しています。


マレーシア

マレーシアは、政府に批判的なジャーナリストらの逮捕など強権的で腐敗していたとされるナジブ・ラザク政権は中国との関係を強めてインフラ投資を進めました。

しかし、2018年5月にマハティール・ビン・モハマドが首相に返り咲いた時点で1兆リンギ(約27兆2千億円)の巨額債務があったことが発覚しました。


モルディブ

中国から多額の資金供与を受けて港湾、人工島、島嶼の連絡橋の建設などインフラ整備を充実させました。

この結果、2020年には中国への借金返済額が7億5000万ドル(約825億円)に達しました。これは、国家歳入の半分にもなります。


バヌアツ

バヌアツに対する中国の投資額は、2011年~2018年にかけて12億6000万ドル(約1400億円)に上っており、バヌアツの首相官邸や巨大な会議場、スポーツ施設の建設、港湾の改修が進められました。


改修された港湾には、中国海軍の艦艇がたびたび立ち寄っています。


パキスタン

中国の融資によって、グワーダル港やカラコルム・ハイウェイなど一帯一路の要衝が開発された。

この結果、2015年に公的資金が投入されなければ継続不可能な莫大な借金をきたして国際通貨基金(IMF)やサウジアラビアなどにも財政支援を要請することとなりました。


タジキスタン

タジキスタンは、2006年にほぼゼロだった対中債務は2016年に11.6億ドルに達して二国間債務の9割を占めるまでになり、中国人民解放軍が駐留するようになりました。


世界開発センターは一帯一路関連の68カ国の中で最も「債務の罠」のリスクがある8カ国の1つに挙げています。


ジブチ

ジブチは、2016年時点で対外債務の82%は中国であり、アメリカのジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官は「債務の罠」の象徴的な国の一つとしてジブチを挙げています。



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