道路舗装大手が路面に太陽光パネルを敷き詰めて発電する事業に乗り出しています。
道路で発電できれば将来は電気自動車(EV)や街灯などの電力を賄うことができます。
また、太陽光パネルの設置場所不足の解消にもつながります。
普及には設置コストや耐久性などの課題解消が欠かせません。
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フランスではすでに商用化している
東亜道路工業は仏道路建設大手コラスと技術開発で協力します。
同社の太陽光発電舗装システムは、縦0・69メートル、横1・25メートル、厚さ6ミリのパネルを舗装面に貼り付けられるタイプのものです。車道と歩道で使えます。
コラスはカナダやアラブ首長国連邦(UAE)など世界約10カ国・地域で導入実績を持ちます。
フランスでは2019年に商用化して自転車道や駐車場など約30カ所に設け、街灯やスーパーなどに電力を供給しています。
日本では2023年から設置の本格化をめざす
東亜道路は日本でもこうしたシステムの導入を狙います。
一部の自治体とは協議に入っており、23年から駐車場や公園、遊歩道への設置の本格化をめざしています。
コラスとは高温多湿な環境でも路面に太陽光パネルを接着できる材料などを共同開発します。
国内最大手のNIPPOは省エネ機器製造のMIRAI―LABO(ミライラボ、東京都八王子市)とパネルの開発を進めています。
ミライラボは高い耐久性と柔軟性を併せ持ち、地震などで路面がたわんでも破損しないのが特徴です。
発電した電力は地下に置いた蓄電池を通じ、街灯や信号機、EV充電器などに供給します。
22年度に実用化する予定で、近隣施設への電力供給も検討しています。
日本の会社もパネル製造に取り組む
大林組子会社の大林道路(東京・千代田)も路面に埋め込むパネル製造に取り組んでいます。
表面を覆う強化ガラスに文字やQRコードを表示でき、道案内やイルミネーションのほか、周辺機器への給電装置としての使用を想定しています。
走行中のEVの電池に無線で自動給電する
道路各社が見据えるのはEVの普及です。
道路に埋め込んだ送電装置で走行中のEVの電池に無線で自動給電する技術開発も進んでいます。
国内の道路の総延長は約130万キロメートルあります。
路面型太陽光の導入が進めば、給電システムの電源として期待できます。
路面に太陽光パネルを設置するための課題
もっとも課題も多いです。
設置コストは屋根置き型の約4~5倍
パネルを路面に設置するにはアスファルトを削るといった工事が必要になります。
設置コストは一般的に屋根置き型の約4~5倍かかるとされます。
大林道路のパネルは20年に東京都の実証事業の一環で国際展示場「東京ビッグサイト」に設置されたが、高い初期費用が壁となり導入は進んでいません。
法改正が必要
道路法改正が必要となる可能性もあります。
私有地や公園とは異なり、現行法は路面での太陽光パネルの設置を想定していません。
道路各社は安全性などを確かめるために民間企業の駐車場などで実証実験を重ねており、車道設置に関する法整備を国土交通省に求めています。
発電効率・耐久性
技術面では発電効率が課題となります。
パネル表面を樹脂で加工することで太陽光の吸収効率が下がるからです。
トラックなどの重さへの耐久性の向上もかかせません。
森林を伐採して太陽光パネルを設置する時代が終わる
太陽光発電は二酸化炭素などを出さないため「地球にやさしい」ともてはやされています。
しかし、太陽光パネルを設置するために森林を伐採していることをご存じでしょうか?
それにより、光合成による大気中の二酸化炭素を吸収する能力の低下を招き、何のための太陽光発電なのか分からなくなっている状況です。
太陽光パネルを設置するには土地が必要になりますが、多くの電力を発電するには、それだけ広い面積を要します。
企業としては、利益を求めますから、できるだけ安い土地を探すことになります。
その行きつく先が木が沢山生えている山になるのです。
道路に太陽光パネルを設置することができれば、森林を伐採する必要がなくなるかもしれません。
道路に設置できれば、脱炭素社会の実現に弾みがつく
政府は次期エネルギー基本計画の原案で、30年度に総発電量の約15%を太陽光発電で賄う方針を示しています。
ただ空き地や山林での導入が進み、新規開発できる適地は減っています。
太陽光発電設備は12年の固定価格買い取り制度(FIT)開始後に急拡大したが、14年度以降は縮小が続いています。
一連の課題を解決して未開拓だった道路に設置できれば、脱炭素社会の実現に弾みがつきます。
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