2021年に日本の食品輸出額が1兆円の大台にようやく達しました。
政府が目標とした19年から2年遅れです。
輸出先で中国が初の首位になるなど和食人気の広がりが追い風ですが、30年までに5兆円という次の目標はなお遠いです。
11年に起きた原子力発電所事故で広がった日本産品の輸入規制がなお14カ国・地域で残っています。
日本政府は廃止の交渉を急いでいます。
2021年の農林水産物・食品の輸出額は1兆2385億円
農林水産省が2021年2月4日発表した21年の農林水産物・食品の輸出額は20年比25・6%増の1兆2385億円でした。
輸出先を国・地域別にみると中国が35・2%増の2224億円で初の首位になりました。
ウイスキーや日本酒、菓子などの人気が高いです。
長くトップだった香港が6%増の2190億円で続きます。
3位の米国は41・2%増の1683億円でした。
品目別ではホタテ貝が20年実績から倍以上増えて639億円となり、増加幅が最も大きいです。
主産地の北海道で生産量が増えたほか、米国での生産減も影響しています。
牛肉が次に好調で、85・9%増の536億円だった。米国を中心に外食需要が回復しました。
続くウイスキーは70・2%増の461億円です。
日本製の知名度が高まり、中国向けを中心に単価が上がりました。
欧米でも家庭内需要が増えています。
高級食材のナマコは会食での需要が減り、14・4%減の155億円でした。
鳥インフルエンザの発生で輸出できなくなった鶏肉は畜産物で唯一輸出額が減り、37・2%減の12億円となりました。
原発事故後の規制は14カ国・地域で残っている
農林水産業の活性化に向けて輸出拡大は重要な戦略です。
国内市場は人口減少や少子高齢化で縮小傾向にあり、海外需要を取り込めなければ成長は難しいです。
現状では農産物や食品製造業の国内生産額に占める輸出額の割合は2%しかなく、英国の18%や米国の12%に見劣りします。
今後の課題は日本産品の輸入規制の解除です。
11年の原発事故後の規制はなお14カ国・地域で残っています。
輸出先でトップの中国も東京や埼玉など9都県からの食品の輸入を禁止しています。
21年は米国やシンガポールなど3カ国が輸入停止措置を撤廃しました。
香港や欧州連合(EU)なども一部緩和し、交渉に進展がありました。
金子原二郎農相は4日の閣議後の記者会見で「輸出先国の輸入規制撤廃を政府一体となって働きかけていく」と述べました。
農水省は輸出拡大に向け、事業者を支援
農水省は輸出拡大に向けた事業者向け支援策などを拡充します。
牛肉やコメなど品目ごとに事業者を束ねる「品目団体」を国が認定し、海外で強みを持つ分野の市場開拓を促します。
輸出先国の規制に対応した設備投資を推進する税制面での支援も検討します。
これらを束ねた農産物輸出促進法の改正案を今国会に提出する方針です。
日中などが参加する東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は1月1日に発効しました。
関税撤廃・削減効果による輸出拡大や海外市場の取り込みに期待がかかります。
まとめ
農林水産省が2021年2月4日発表した21年の農林水産物・食品の輸出額は20年比25・6%増の1兆2385億円でした。
輸出先を国・地域別にみると中国が35・2%増の2224億円で初の首位になりました。
長くトップだった香港が6%増の2190億円で続きます。
3位の米国は41・2%増の1683億円でした。
今後の課題は日本産品の輸入規制の解除です。
11年の原発事故後の規制はなお14カ国・地域で残っています。
農水省は輸出拡大に向けた事業者向け支援策などを拡充します。
牛肉やコメなど品目ごとに事業者を束ねる「品目団体」を国が認定し、海外で強みを持つ分野の市場開拓を促します。
輸出先国の規制に対応した設備投資を推進する税制面での支援も検討します。
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