海外との貿易や投資収益の状況を表す経常収支の黒字が低迷しています。
財務省が2022年6月8日発表した4月の速報値は前年同月比55.6%減の5011億円でした。
2021年夏以降は原油高などで黒字が減るか赤字の月がほとんどです。
10日に外国人観光客の受け入れを再開しても輸入コストの増加を打ち消すには力不足で、収支の大きな改善は見込みにくい状況です。
貿易収支は6884億円の赤字
経常収支のうち、貿易収支は6884億円の赤字でした。
前年同月では2822億円の黒字です。
輸入は32.8%増の8兆7017億円となり単月として過去最高でした。資源高と円安が響きました。
輸出は17.2%増の8兆133億円と3月に次ぐ過去2番目の高水準でした。
第1次所得収支は2兆3706億円の黒字
海外子会社からの配当金などの第1次所得収支は2兆3706億円の黒字でした。
日本企業の海外での稼ぎを貿易収支などの赤字が減殺する構図が続いています。
旅行収支は155億円の黒字
訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支も経常収支を構成しています。
4月は155億円の黒字でした。
訪日客が多かった新型コロナウイルス感染拡大前は2000億円を超える月が多く、経常黒字を押し上げていました。
訪日客が戻れば経常収支が年2.5兆円改善
政府の経済財政諮問会議の民間議員は訪日客が19年の水準に戻れば経常収支が年2.5兆円改善すると試算しています。
19年は訪日客だけで1日平均9万人近く。
10日に受け入れを再開するものの1日の入国者は日本人と合わせて2万人まで。完全回復はほど遠いです。
第一生命経済研究所は「入国者を絞ったままでは経常収支を改善する効果は限定的だ。感染状況をみながら受け入れを広げるべきだ」と話しています。
まとめ
海外との貿易や投資収益の状況を表す経常収支の黒字が低迷しています。
財務省が2022年6月8日発表した4月の速報値は前年同月比55.6%減の5011億円でした。
経常収支のうち、貿易収支は6884億円の赤字でした。
海外子会社からの配当金などの第1次所得収支は2兆3706億円の黒字でした。
旅行収支は155億円の黒字でした。
政府の経済財政諮問会議の民間議員は訪日客が19年の水準に戻れば経常収支が年2.5兆円改善すると試算しています。
-
2021年の経常収支は15兆4359億円の黒字!内訳を解説
財務省が2022年2月8日発表した国際収支統計(速報)で、2021年通年の経常黒字は15兆4359億円となり、20年に比べて2・8%減ったことがわかりました。新型コロナウイルス禍や原油高を背景に、貿易 ...
続きを見る