日本経済研究センターは2022年12月14日、個人の豊かさを示す1人当たり名目国内総生産(GDP)が2022年に台湾、2023年に韓国をそれぞれ日本を上回るとの試算をまとめました。
デジタル化で台湾と韓国に後れを取り労働生産性が伸び悩むことに加え、円安・ドル高でドル換算の金額が目減りするためです。
詳しく解説していきます。
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台湾と韓国の国内総生産(GDP)が日本を超える
国際通貨基金(IMF)と国連によると、日本の1人当たりGDPは2021年時点で3万9583ドル(約536万円)でした。
韓国(3万4940ドル)を13%、台湾(3万2470ドル)を22%それぞれ上回っていました。
日本経済研究センターの予測は、労働生産性、平均労働時間、就業率、為替要因から算出されています。
2021年12月に公表した予測では、2027年に日韓、2028年に日台が逆転するとしていました。
逆転時期が前倒しとなった大きな要因は為替です。
2022年は米国の急速な利上げを受け、円、韓国ウォン、台湾ドルはいずれも米ドルに対して下落しています。
なかでも円の下落幅は大きく、2021年末から2022年11月末にかけて20%下がりました。
それに対して、ウォンと台湾ドルはともに10%程度で済んでいます。
日本の労働生産性は低い
逆転は一時(いっとき)だけではありません。
韓国と台湾が行政をはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)で先行し、労働生産性の伸びで日本に差を付けるとみられているからです。
韓国と台湾の労働生産性は2020年代、1人当たりGDPを約5ポイント押し上げています。
対照的に日本は2ポイントにとどまっています。
その結果、2020年代の1人当たりGDPの年平均増加率は台湾が6.2%、韓国が4.8%であるのに対し、日本は1.3%です。
日本の1人当たりGDPは2007年にシンガポール、2014年に香港にすでに抜かれています。
台湾、韓国とも逆転すると、この4カ国・地域を指す「新興工業経済群」(NIEs)すべてを下回ることになります。
日本の伸び悩みの原因は少子高齢化
日本の伸び悩みは、世界最高の高齢化率が重荷となっている面もあります。
15~64歳の生産年齢人口で割った1人当たりGDPでみると、日本はなお台湾と韓国を上回り続けます。
2031年に韓国と逆転しますが、台湾との比較では2035年まで日本が上回っています。
まとめ
日本経済研究センターは、個人の豊かさを示す1人当たり名目国内総生産(GDP)が2022年に台湾、2023年に韓国がそれぞれ日本を上回るとの試算をまとめました。
日本経済研究センターの予測は、労働生産性、平均労働時間、就業率、為替要因から算出されています。
2021年12月に公表した予測では、2027年に日韓、2028年に日台が逆転するとしていました。
逆転時期が前倒しとなった大きな要因は為替です。
逆転は一時(いっとき)だけではありません。
労働生産性の伸びで日本に差を付けるとみられているからです。
日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)の伸び悩みは、世界最高の高齢化率が重荷となっている面もあります。