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日本酒や和牛が欧州に輸出できなくなる 2030年から

日本酒や和牛が欧州に輸出できなくなる 2030年から

欧州連合(EU)が食品包装への新たな規制を検討しています。

実行されれば日本酒や和牛を域内に輸出することが難しくなります。

日本政府は対象から外すよう働きかけを始めました。


EU加盟国からなる閣僚理事会と立法機関の欧州議会は食品包装の規則について詰めの協議をしています。

合意されれば、両機関の最終承認を経て2030年から施行されます。


詳しく解説していきます。


再利用か詰め替えが可能な容器を用いるよう義務付け

再利用か詰め替えが可能な容器を用いるよう義務付け

注目されているのが日本酒の扱いです。

執行機関の欧州委員会の提案では、EU域内で酒を製造・販売する事業者に、30年以降は製品の10%で再利用か詰め替えが可能な容器を用いるよう義務付けます。


加盟国や企業のロビー活動の結果、ウイスキーなどの蒸留酒やワインは除外される見通しです。

日本酒はワインと瓶の形状が異なり、欧州での再利用は難しい。紙パックやワイン瓶への変更といった対応は酒造会社などの負担増につながりかねません。


韓国の場合、伝統酒マッコリは紙パック包装が多く、EUへの輸出継続が可能です。焼酎も蒸留酒のため対象外です。

日本はEUの規制当局に対し、単独で適用除外を訴えるしかありません。


包装材にリサイクル可能な素材を使用するよう義務付け

包装材にリサイクル可能な素材を使用するよう義務付け

EU向け輸出で多いホタテや和牛といった食品も同規制の対象になります。

EUは包装材にリサイクル可能な素材を使用するよう義務付けます。


日本の食品は異なる樹脂を溶かして重ね合わせる「多層フィルム」を使うのが一般的です。

耐熱性や防湿性、耐久性に優れ、船便などでの輸出に適しています。

ただ現時点ではEUがこれから設ける規制の細則で「十分にリサイクルできない」とみなされる可能性が高いです。


多層フィルムはレトルト食品や豆腐など様々な食品包装に使われています。

和牛以外の日本製食品も欧州で流通しなくなる可能性があります。


EU向けの日本の食品・農林水産物の輸出は増えている

EU向けの日本の食品・農林水産物の輸出は増えている

EU向けの日本の食品・農林水産物の輸出は増加傾向です。

2023年の輸出額は2022年比約6%増の724億円でした。

2022年の輸出額を内訳でみると日本酒を含むアルコール飲料が132億円で最も多く、次いでホタテが73億円、牛肉が41億円でした。


欧州では足元で日本酒の知名度が向上しています。

EUは昨夏、東日本大震災後に課した日本産食品の輸入規制を撤廃しました。

日本政府はこれを機に欧州への輸出拡大を狙っていただけに、規制が直撃すれば影響は大きくなりそうです。


EUの環境規制の効力は欧州企業だけでなく、域外から製品を輸出する国や企業にも影響してきます。

欧州委員会の政策判断に加え、加盟国の利害なども絡み規制の策定を巡る交渉は難しくなります。


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