韓国の旅行収支赤字が拡大しています。
新型コロナウイルスによる自粛ムードが終わり、世界で人の往来が活発になり始めました。
韓国では訪韓した観光客数よりも、出国した韓国国民が3倍となっています。
貿易黒字が減ってきており、以前よりも旅行収支に注目が集まっています。
海外より価格競争力が落ちる韓国観光に活路はあるのでしょうか。
詳しく解説していきます。
1月~3月期の旅行収支赤字が4520億円の赤字
韓国の2023年1月~3月期の旅行収支赤字が32億3500万ドル(約4520億円)と、2019年7~9月期以来3年半ぶりの最大となりました。
一年に換算すると約1.8兆円になります。
旅行収支の赤字は、国境移動が自由でなかった新型コロナ期間に減少していましたが、国境が開かれると「報復性消費(リベンジ消費)」が生じて急増しました。
特に旅行収支から留学や研修などを除いて一般旅行者により発生する観光収支の赤字は昨年10~12月期の17億6100万ドルから25億8500万ドルへと47%増えました。
旅行収支の赤字の大部分が観光収支の赤字です。
1~3月期に海外に出た韓国国民は498万人
出入国防疫措置の緩和を受け、今年1~3月期に海外に出た韓国国民は498万人と、前年同期比で1100%以上増えました。
訪韓した観光客数も昨年1~3月期の28万人から今年1~3月期には171万人と500%以上増加しましたが、増加率に大きな差が表れました。
中国政府が韓国への団体観光を制限している影響もあります。
4月の外国人観光客数は90万人と、パンデミック以前の2019年4月の55%まで回復しましたが、中国人観光客は当時の24%です。
貿易黒字が減り、経常黒字も減少傾向
旅行収支の赤字に過度に怯える必要はありませんが、以前よりも注目度が高まっています。
対外健全性指標であり輸出韓国の経済体力を表す経常収支に及ぼす影響が大きくなったからです。
韓国は旅行収支を含むサービス収支では慢性赤字ですが、大幅な商品収支黒字のおかげで経常黒字基調が続いてきました。
しかし輸出減少で貿易黒字が減り、経常黒字も減少傾向にあります。
昨年、経常収支は11年ぶりの最低水準の298億ドルとなり、今年1~3月期には赤字になりました。
海外より価格競争力が落ちる韓国観光
政府は国内旅行を活性化させようと力を注いでいます。
6月を「旅行の月」として国内宿泊施設の利用が最大5万ウォン(約5300円)割引される「大韓民国宿泊セールフェスタ」を始めました。
国内観光と内需活性化にある程度のプラスになるでしょうが、単発性イベントで旅行収支の赤字基調を変えるのは難しそうです。
国内観光の魅力を高める根本的な対策が求められます。
国民・外国人を問わずソウル明洞(ミョンドン)の飲食があまりにも高いという不満の声が上がっています。
済州(チェジュ)旅行の費用も高くなっています。
全般的に海外より価格競争力が落ちるという指摘を重く受け止める必要がありそうです。
まとめ
韓国の旅行収支赤字が拡大しています。
新型コロナウイルスによる自粛ムードが終わり、世界で人の往来が活発になり始めました。
韓国の2023年1月~3月期の旅行収支赤字が32億3500万ドル(約4520億円)と、2019年7~9月期以来3年半ぶりの最大となりました。
一年に換算すると約1.8兆円になります。
出入国防疫措置の緩和を受け、今年1~3月期に海外に出た韓国国民は498万人と、前年同期比で1100%以上増えました。
訪韓した観光客数も昨年1~3月期の28万人から今年1~3月期には171万人と500%以上増加しましたが、増加率に大きな差が表れました。