楽天グループは2022年5月13日、国内携帯電話サービスの目玉だった「0円」でも利用できる料金プランを7月から廃止すると発表しました。
収益改善を重視する戦略にかじを切るようです。
ポイント還元策を充実させるなどして競合他社への顧客流出を抑えるという方針です。
ただし、割安感が薄まるほか、通話品質に課題もあります。
契約者の反発も予想され、収益性を高められるかは不透明です。
楽天電話の0円プラン廃止!最低980円~
「980円は妥当。他社と比べてもアグレッシブだ」
楽天の三木谷浩史会長兼社長は強気の姿勢を崩していません。
月間1ギガバイト(ギガは10億、GB)までは0円で利用できるプランを廃止し、新たに最低料金が980円(税抜き)のプランを導入します。
20GB超は容量無制限で2980円という設定は据え置きました。
「月額0円」は21年4月に導入しました。
菅義偉前政権の携帯料金の引き下げ要請を受け、携帯大手3社が20GBで月額3000円未満(税抜き)の低価格プランを投入。
既に2980円で提供していた新規参入の楽天は見直しを迫られ、最低料金を0円としてデータ量に応じて料金が段階的に上がるプランに変更しました。
0円プランの廃止は収益改善を優先したから
ユーザー獲得の要ともいえるプランを廃止するのは収益改善を優先したからでしょう。
三木谷氏は「タダで提供してきたユーザーに980円を負担をしてもらうことで財務は改善するし、サービス品質の向上に再投資できる」と理解を求めました。
楽天の基地局数は4万局を超え、通信規格「4G」で人口カバー率96%という計画を4年前倒しして達成しました。
だが、設備投資の費用は重く、携帯事業は22年1~3月期に過去最大となる1350億円の赤字を計上。
楽天の連結最終損益も914億円の赤字(前年同期は367億円の赤字)と赤字幅は広がりました。
楽天は当初、最低980円の新料金プランと並行して新規契約の受け付けを停止したうえで0円の旧プランも当面は継続させたい考えでした。
ところが法律に抵触することがわかり、2つの料金プランを併存させることは難しくなったといいます。
ユーザーが失望し、離脱するリスクがある
有識者は、「0円を前提に契約したユーザーが失望し、離脱するリスクがある」とみています。
楽天の発表を受け、SNS(交流サイト)上では契約者とみられるユーザーから「楽天モバイルの契約をやめます」といった書き込みがあります。
楽天は通信回線の一部をKDDIから借りてきましたが、順次自社回線に切り替えています。
通話品質への不満を抱えるユーザーもおり、競合他社のなかには「楽天からユーザーが乗り換えてきている」との声もあります。
ユーザーが離脱するリスクを抑えるために、7月から4カ月間は移行期間として1GBまでの料金をゼロにするほか、ポイント還元率を高める施策も打ちます。
三木谷氏は影響は少ないとみています。
そもそも0円のサービスに無理があった
楽天の0円廃止に競合は冷静な目を向ける人もいます。
格安スマホを手掛けるインターネットイニシアティブ(IIJ)は「そもそも0円のサービスに無理があった」とみています。
各社は低価格プランを用意しており「以前は楽天は強敵だったが今は我々も競争力を回復してきている」と話します。
楽天の株価は収益性の改善期待から一時前日比79円(10%)高の868円まで上昇しました。
岡三証券は「プランの見直しがどこまで業績を押し上げるかが不透明で、株価低迷のトレンドが変わるかどうかは判断できない」と話します。
「官製値下げ」が始まってから格安プランを競ってきた携帯業界で、月額0円の廃止は初めての「値上げ」となります。
楽天は通信の専用機器をクラウド上のソフトウエアに置き換える独自の「仮想化」技術を海外展開するなどして携帯事業の収益性を高めていく方針です。
月額0円廃止からは収益改善への楽天の苦境が透けて見えます。
-
お金持ちになる方法が分かるおすすめの本9選【2024年版】
「お金に困らない生活を送りたい」「お金持ちになって自由に暮らしたい」と誰しもが思うはずです。この記事では、そんな方達のためになる本を紹介していきます。自分がお金持ちになるための実践的な本から、自分の子 ...
続きを見る
-
貯金が出来るようになるおすすめの本8選【2024年版】
貯金は重要と分かっていても、なかなか出来ない人も多いです。お金が入った時は「貯金しなくちゃ!」と思うのですが、ついつい使いすぎてしまうもの。この記事では、貯金が出来るようになるおすすめの本を紹介してい ...
続きを見る