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東京オリンピック、大会経費が2倍の1兆4238億円に

東京オリンピック、大会経費が2倍の1兆4238億円に

2021年夏に開催された東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は2022年6月21日、最終的な大会経費の総額が1兆4238億円になったと発表しました。

うち東京都と国による公費負担は総額の55%を占め、計画段階から2倍近くの7834億円です。

経費が膨らむ五輪の構図が改めて鮮明になりました。

大会組織委員会は6月末に解散となり、東京五輪はすべて幕を下ろります。


東京オリンピック、大会経費が2倍の1兆4238億円に

東京オリンピック、大会経費が2倍の1兆4238億円に

「レガシー(遺産)を次世代へつなげていくことが大会に関わった全ての者に課せられた使命だ」。21日、都内で開催された組織委の最後の理事会の冒頭で、橋本聖子会長は述べました。


理事会には東京都の小池百合子知事も出席し「レガシーを磨き上げ、多様性と包摂性にあふれた未来の東京をつくり上げていく」とあいさつしました。


理事会で最終報告された経費は、スポンサーや国際オリンピック委員会(IOC)などからの出資を受ける組織委と、東京都、国の3者で負担します。


招致決定前の12年に示された経費は計7340億円。

それが最終決算では1兆4238億円と2倍になりました。

うち公費による負担は4327億円から7834億円と1・8倍。公費以外は組織委が拠出しています。


大会費用が膨らんだ要因

大会費用が膨らんだ要因

費用が膨らんだ要因は主に2つです。


競技会場の整備費が大幅に上振れした

1つは競技会場の整備費が大幅に上振れしたことです。

例えば、1569億円を投じた国立競技場は計画段階で実際の建設費より約270億円低く見積もられていました。

そのほかの新規施設も計画段階から建設費が増大しています。


組織委の元幹部は「IOCのルールに基づいて示した数字ではあるが、当初は甘い予算だった」と振り返っています。


資材価格の高騰や新型コロナウイルスの感染対策

2つ目は想定外の環境変化による負担の増加です。

資材価格の高騰や新型コロナウイルスの感染対策などの費用が生じました。

特に感染対策費は選手への検査など353億円にのぼったといいます。


新型コロナの感染拡大による大会の1年延期で、組織委は会場の賃貸料や人件費などが追加で発生すると予測し、20年12月時点で経費は1兆6440億円になるとの見通しを示しました。


大会で訪日する関係者の見直しなどを進めた結果、閉会後の21年12月時点の経費の見通しは1兆4530億円となり、最終経費はそこからさらに292億円が圧縮されました。

借りていた会場の原状回復工事が想定より安く済んだことが主な理由だそうです。


新型コロナの影響で900億円が得られなかった

新型コロナの影響で900億円が得られなかった

組織委の解散後、大会に関する資料などは東京都が引き継ぎます。

東京都立大の教授は「都は支出の妥当性を精査して、都民や国民への説明をしていくことが、今後必要になってくる」と指摘しています。


また、収入面では新型コロナの感染拡大の影響でほぼ無観客開催となり、見込んでいたチケット収入の900億円が得られませんでした。


大会経費の膨張はオリンピックの問題点

大会経費の膨張はオリンピックの問題点

経費が膨張する構図は東京大会だけではありません。

最も成功したといわれる12年のロンドン大会も招致段階で計8000億円とされていた経費は最終的に2兆円ほどに膨らみ、公費負担は1兆5000億円を占めました。


五輪の経費が膨らみ続けてきたのは、1984年のロサンゼルス大会以降です。

派手な演出などによる商業化が進んできたことが大きいです。


五輪の大会誘致を目指す都市は近年減っている

五輪の大会誘致を目指す都市は近年減っている

高コスト体質が続く五輪の大会誘致を目指す都市は近年、減っています。

IOCは「五輪離れ」を防ぐため、低予算による大会を開催都市に求めており、誘致を目指す都市も「コンパクト開催」を掲げるケースが目立ちます。


2030年の冬季五輪の招致に動く札幌市は、開催経費を21年11月に2800億~3000億円に削減すると公表。

最大600億円としていた市の負担分は、450億円に見直すなど低コスト化の取り組みをアピールしています。


だが、開催に向けた意向調査では一部住民らが開催経費の負担などを理由に招致に反対しています。

筑波大の教授は「東京五輪の経費を分析して、さらに札幌市は無駄を省いていくことが必要になる」と指摘しています。


まとめ

まとめ

2021年夏に開催された東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は2022年6月21日、最終的な大会経費の総額が1兆4238億円になったと発表しました。


大会費用が膨らんだ要因は主に2つで、「競技会場の整備費が大幅に上振れした」と「資材価格の高騰や新型コロナウイルスの感染対策」です。

また、収入面では新型コロナの感染拡大の影響でほぼ無観客開催となり、見込んでいたチケット収入の900億円が得られませんでした。


今後、24年のパリ大会、28年のロス大会、32年のオーストラリア・ブリスベン大会が開かれる。経費をいかに抑えこむかは開催都市にとって、共通の課題です。



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