内閣府は2022年2月3日に公表した報告書「世界経済の潮流」で主要国と中国の貿易構造を分析しました。
日本は米国やドイツに比べて中国からの輸入に頼る品目がより多い姿が浮き彫りになりました。
特定の国に調達先を頼る構造が続けば、サプライチェーン(供給網)が滞った場合のリスクを抱えると警鐘を鳴らします。
日本は欧米に比べて中国依存が高い
国 | 依存率 |
日本 | 23・3% |
アメリカ | 18・1% |
ドイツ | 8・5% |
日米独の3カ国で輸入先が集中している品目数を調べました。
2019年の3カ国の輸入額に占める中国の比率は日本が23・3%と最も高く、米国は18・1%、ドイツは8・5%でした。
5000程度の輸入品目のうち、中国のシェアが金額ベースで50%以上の品目数をみると、日本は1133品目(23・0%)で米国の590品目(11・9%)、ドイツの250品目(5・0%)を上回りました。
米国は中国のほか、隣接するカナダやメキシコからの輸入に依存する品目が多いです。
欧州連合(EU)のドイツは欧州各国で分散する傾向にあります。
中国に依存する具体的な品目
日本が中国に頼る品目は携帯電話やノートパソコンのほか、発光ダイオード(LED)関連の製品、ゲーム機、おもちゃなど幅広いです。
なかでも携帯電話は輸入額のうち19年に85・7%が中国で10年前の09年の69・1%から増えました。
ノートパソコンとタブレット端末は19年に98・8%に上っています。
半導体などは増え、労働集約型の製品は減少
中国の経済成長に伴いIT(情報技術)機器や半導体などの輸入が増える一方、中国国内の人件費が上昇したため、労働集約型の製品はベトナムやインドネシアなど東南アジアを中心に調達先の切り替えが進んでいます。
靴は09年時点に中国からの輸入が91・7%を占めていましたが、19年は66・0%まで低下しました。
原材料よりも最終消費財の依存が高い
日本は製造業の原材料となる金属や化学工業製品よりも家電などの最終消費財で中国への輸入に頼る品目が多い傾向にあります。
中国からの供給が滞ると、製造業の生産活動よりも消費などへの影響が出やすい構図になっています。
まとめ
日米独の3カ国で輸入先が集中している品目数を調べました。
2019年の3カ国の輸入額に占める中国の比率は日本が23・3%と最も高く、米国は18・1%、ドイツは8・5%でした。
内閣府は「仮に中国で何らかの供給ショックや輸送の停滞が生じて輸入が滞った場合には日本では多くの品目で他の輸入先国への代替が難しく、金額の規模でも影響が大きい」と指摘しています。
新型コロナウイルス禍の教訓を踏まえ、米欧は半導体の製造企業への支援を強めるなど経済安全保障の観点から供給網の見直しを進めています。
日本政府も通常国会に経済安全保障推進法案を提出し供給網の強化を急いでいます。
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