中国と聞くと、勝手に人工島を作って自分の領土と言ったり、返済不可能な貸し付けをして借金のかたに港をおさえたりと、あまり良いイメージがありませんが、
そんな中国の首脳部である共産党についてどれだけ理解しているでしょうか?
この記事では、中国共産党について知ることができるおすすめの本を紹介していきます。
評判の高い本ばかり集めましたので、きっと中国共産党についての理解が深まるはずです。
中国共産党 暗黒の百年史
中国共産党史の暗部を描き尽くした衝撃作!
2021年7月1日の結党百周年にあわせ、1年かけて書きおろした渾身作。
中国共産党による数々の大虐殺と民族浄化、驚異の裏工作と周恩来の恐ろしい正体など、日本ではよく知られていない衝撃事実を多数掘り起こして読みやすくまとめた、中国共産党史の決定版!
「本書の構成は、一般の歴史教科書のように、歴史的出来事を時系列で羅列(られつ)したものではない。
むしろ、今まで日本で刊行された「中国近代史・現代史」関連の書籍で、意図的に隠蔽(いんぺい)され、無視されてきた事実を一つ一つ拾いあげ、それを「中共の暗黒百年史」として再構成したものである」(本書「はじめに」より)
レビュー・口コミ
昨日届き、一気に読み終えました。
夜寝る前に読むには、「精神的に良くない本」でしたけど。
予想していたとは言え、それを遥かに超える「残酷な歴史」がまとめられています。
未だに中国に「幻想」を持っていたり、「暗黒面」に目を背け、ずぶずぶの関係にある政治家や官僚、財界人、マスコミ人、学者やコメンテーター、そして活動家たちは、こういった事実をどう考えるんでしょうか?
もし日本をはじめ世界が中国共産党の支配下に置かれたら(「自治区」や「世界統一政府」などを含む)、ここに書かれたことが間違いなく起こるでしょう。それこそ、世も末です。
私は人類は、これまで様々な「経験」や「歴史的出来事」等を通して学び、少しでも素晴らしい世の中になってきていたんだと信じていますが(もちろん「マルクス主義」や「階層史観」のことではない。私はそういった世代ではない)、中国共産党の侵略の手がさらに伸びれば、時代は大きく逆行するでしょう。
中国共産党や国民党により無残にも殺害されまくった数千万(数億人?)の人たちの尊い犠牲を繰り返さないためにも、何とかしないと大変なことになります。
パラパラとめくった時は、文献リストもなくただの煽り本かと思ったら、中国国内で出版された多数の資料を使っていた。例えば、1951年ごろに展開された反革命分子鎮圧運動は、『鎮圧運動実録』(金城出版社)や『中国共産党執政四十年(1949 ~1989)』(中央党史資料出版社)によると、71万人が銃殺されたと記録されている。これは、共産党にとっては「輝かしい成果」だが、石平氏から見れば「政権による自国民の大量虐殺」である。
確かに、反革命分子のでっち上げ方は、文化大革命からの生存者の自伝を読めば共産党の常套手段であることは想像に難くない。同じく、チベット人、モンゴル人、イ族などの弾圧も公式な記録としては「成功の記録」だが、弾圧された側の視点で読めばいかに暴力的だったかがわかる。また、天安門事件で石平氏が知人を殺された怒りや悲しみは、筆者もリアルタイムで見聞きしていたので大いに共感する。
ただ、結びに「西側の自由世界が連携して、邪悪な政党の歴史に終止符を!」という石平氏の主張があるが、その先にどんな中国をイメージしているのかが、まったくわからなかった。現実には、共産党が強力過ぎて変わるはずもないから、ただ声高に叫んでいるだけなのか。
皮肉なことに、本書を踏まえると、汚職対策ですら権力闘争の道具にされてしまうのだから、いくら自由選挙による民主主義を導入したところで、良い統治になる土壌は現在の中国に存在しないように思えてしまう。結局、金のある人が票を買って権力を手に入れて乱用するイメージしか持てない。(学校の成績だって金で買えるのだし。。)
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「はじめに」で、石平氏は、2021年7月1日の中国共産党結党百周年を「記念」して、1年以上の時間をかけ、渾身の力を振り絞って、「中共百周年の暗黒史」をテーマとする本書を書き上げたと述べている。
石平氏は1989年、日本の大学院に入り、中国近代史が日本でどのように書かれているか、日本の権威ある大手出版社から刊行された書籍を色々読んでみて、唖然としたという。日本の知識人たちが書いた中国近代史のほとんどは、中国共産党の「革命史観」に沿って書かれた、中共への賛美そのものだったからである。
中国共産党の外道ぶりと悪辣さを自分の目で見てきた石平氏は、日本の「中国近代史」の本を読んで、唖然としたり、憤ることがよくあるという。中共シンパの日本の知識人が書いた「中共史観の中国近代史」が広く読まれた結果、日本では中国共産党に親近感や甘い幻想を持つ財界人や政治家が数多くいるように思われる。石平氏は嘘と偽りで成り立つ「中国共産党革命史観」を日本から一掃するため、そして中共の歩んだ極悪の百年史を日本の読者に示すため、この書を書いたのである。
33万人の長春市民を餓死させた「兵糧攻め作戦」、数千万人の人々を餓死させた「大躍進政策」、1千万人以上が虐殺された「文化大革命」については、これまでに石平氏の著書等で読んできたが、それ以外にも数十万人単位の大量虐殺が絶えず繰り返されてきた。
中共が好む殺人法はいつも「公開処刑」であり、必ず大衆を集めてきて、大衆の目の前で殺戮を行った。民衆に恐怖心を徹底的に植えつけて、彼らが政権に反抗できないように仕向けたのである。
「党を守るために虐殺も辞さない」という態度は、毛沢東時代に限ったものではない。鄧小平の時代においても、このような虐殺が実行された。
1989年の天安門事件では、石平氏と面識のある数名の同志たちが虐殺された。この天安門事件で殺された若者や市民の数は、今でも「最高国家機密」として封印されたままである。数千人はいると思われる。
そして他民族へのジェノサイドである。総人口の約5分の1の120万人が殺されたと推定されるチベット人虐殺は、今なお続いている。次に規模が大きいのが内モンゴルに住むモンゴル人の虐殺である。
現在、習近平政権によるチベット人、ウイグル人などの民族浄化政策は、世紀の蛮行と言っていい。習近平政権は間違いなく21世紀のナチスと化していると、石氏は述べている。
人民を奴隷として支配し、苦しい生活を強いながら、中共政権の幹部たちは贅沢と淫乱を貪る生活を送ってきた。その一方で彼らは、結党当時から残酷な党内闘争を繰り返し、殺し合いの内ゲバを展開した。時には、自分たちの仲間に対してもお家芸の大量虐殺を辞さなかった。
この極悪な中国共産党が百年に渡って存続してきたこと、そして70数年間にわたって中国を支配してきたことは、中国人民および周辺民族の最大の不幸であり、悪夢でしかなかったが、これが終わる気配は残念ながら全くない。むしろ習近平政権の下、中共のもたらす災禍はますます激しくなり、中国大陸周辺の我々近隣国にも及んできている。
幸い、この数年間、自由世界の多くの国々では中共政権の邪悪さへの認識を深め、中共政権を封じ込める中国包囲網の構築に乗り出した。
ウイグル人・チベット人に対する民族浄化の人権侵害に対し、そして彼らが香港で行っている人権侵害に対して、自由世界は一斉に立ち上がり、習近平政権への「NO」を突き付け始めた。更に安全保障の領域においても、自由世界主要国は連携して、中国共産党政権に対する総力的な闘いを挑み始めた。
中国共産党という悪魔のような政党の歴史は、習近平政権の破滅によって終止符を打たれなければならないと、石氏は主張している。
本書は、中共百年の「悪のDNA」を受け継いで、世界の巨漢と化した今の習近平政権こそ、中共最後の政権となるべきである。中共という悪魔のような政党の邪悪な歴史は、習近平政権の破滅によって終止符を打たなければならない、として締め括られている。このことは、むしろ、「今後も百年は安泰」とも思える絶望的な嘆きの声とも聞こえてくる。
それだけに、その辛辣さは、上塗りの中共誕生の歴史を振り返る他ない―――、袁世凱の死後の無政府状態が続き軍閥の群雄割拠の中で抜きん出てきた蔣介石率いる国民革命軍と毛沢東率いる中共の対立構造をみても、中華民国の国軍とされる国民革命軍に楯突いた中共とは何者か。
無論、国民革命軍の中核は、蔣介石と国民党の独裁体制にこそある。国民革命軍を率いて「北伐」と呼ばれる戦争で統一政府となった。その裏で実力をつけた中共は国民革命軍に殲滅されそうにもなった。しかし、二度の国共合作で生き残り、終には、武力をもって国民革命軍を中華民国の大陸から追い出し、現在の中華人民共和国を樹立に至る経緯がある。
その成功――、闇の力の原動力は、「浸透工作」にある。権謀術数を弄し、自己の打算にのみ腐心し、自分や一族のためにいつも私計を謀ろうとする「支那流為政者」は、「軍閥のDNA」と言ってよい。「腐敗の普遍化」は中共内部にも起こるのだが、「粛清によるクリーニング」(選別的な摘発)に「浸透工作」が一役買っている。それによって、「権力構造をむしろ安泰」に導くスキームが内蔵されている。これが、百年の原動力なのだ。
共産党総書記に就任して早々、習近平は唯一の政治的盟友である王岐山(おうきざん)という中共幹部を、腐敗摘発専門機関の中央規律検査委員会の書紀に就任させた。以降の5年間、習近平と王岐山コンビは二人三脚で、中共内における凄まじい「腐敗撲滅運動」を展開し、累計25万人以上の中共「幹部」が摘発され失脚し、あるいは刑務所入りとなった。この規模から言って「浸透工作」がないと実現はできやしないだろう。
さらに、「浸透工作」の凄みが本書で指摘されている――、鄧小平(とうしょうへい)が改革開放路線をスタートさせて外国資本を中国に誘い入れようとした時、中共のスパイ工作の長老格である能向暉は、新設された国策会社「中国国際信託投資公司」の副董事長兼党書紀に任命された。つまり、中共からすれば、「国民党の内部に潜り込むのも外国の資本を中国に誘い込むのも、全く同じ性格の浸透工作でしかない」と述べている。このことからしても、普通の主権国家であれば、「外資に乗っ取られる」危険を感じるのだが、「外資を誘いこんで浸透工作を行う」という発想――、この辛辣さの凄みに驚愕するところでもあった。さらに、その一枚上を行く「コミンテルン」の視点で書かれていて、しかも随所にリアルを追求したエピソードが散りばめており、迫真に迫るものがあった。本書はお勧めできる。
中国共産党は侵略、虐殺、民族浄化、内ゲバの歴史がある。
絶対的権力は、腐敗する恰好の例である。
そして共産党独裁政権は、東アジア二国のみとなった。
二国は、「近代」に乗り遅れた国々である。
「近代」化に成功したのは東アジアでは、日本・台湾の二国のみであり韓国・北朝鮮は李氏朝鮮を引き摺っている。
日本の左翼も見る影もなくなった。デモの動員さえ苦労している。
経済成長の賜物であるが、共産陣営の魅力がなくなったのである。
中国共産党もこれから、胸突き八丁となる。
中所得国(一人一万ドル超え/GDP)の罠が待ち受けている。
圧倒的多数の農村戸籍の人達は、都市戸籍を手にす事が出来ない。
なので、出稼ぎ労働という形態でお茶を濁している。
つまり、中国の経済成長はその豊富な労働力と日・米・欧の資本の合作であった。それは、共犯であった。
だが、人口ボーナスは終わり、人口オーナスに入った。これ以上の成長には、イノベーションが必要である。
それはつまり、市場経済の導入であるがそれは、自己否定も意味する。
共産党政府にこれが出来るだろうか。それは、国家資本主義を意味するが、おいしいとこ取りは出来まい。
だが恐らく、豊かになった人民は声を挙げるだろう。それは即、大混乱を意味している。
目新しいものもいくつかあったが、中国関係を注意深くみていれば一般に知られていなくとも探せばどこかに出ている情報ですが過去の出来事を要領よくまとめてあるので、共産党の成立後の歴史を全体から俯瞰するには良い本と言える。
共産党のやり方については私は文革の後半から貿易で中国に出入りしていたのでネゴの方法や交渉の仕方というものをずいぶん学ばされた。私自身は共産党が共産主義を目指した党とは、はなからから考えていない。独裁主義でその独裁を維持できるものは論理的であろうとなかろうと利用できるものは利用しする。
恐れるのは自分以外に全国的な組織が出来上がり自分に歯向かってこられることである。自分より大衆の評価を得られることである。古来変わらない。現在の共産党は過去の歴史を学習し自分に対して好ましくない団体、個人をつぶしているに過ぎない。芽を摘むことである。
この広大な土地と様々な考えの人々は簡単に民主主義化出来ないと思える。権力を握ったものの易姓革命の繰り返しである。
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マンガで読む嘘つき中国共産党
習近平、激怒――! 亡命漫画家が命がけで描く独裁国家の真実。
2決死の習近平批判で亡命を余儀なくされた中国人漫画家が、一党独裁のまやかしを大暴露。
ネットで共産党の悪口を呟くとどうなるか?
反日教育の驚くべき徹底ぶりとは?
抗日ドラマの意外すぎる舞台裏とは?
人民解放軍は尖閣諸島を奪いに来るのか?
安倍首相とSEALDsをどう評価しているのか?……中国人にしか描けない特ダネ満載!
レビュー・口コミ
漫画で内容も非常に読みやすいです
更にここに書かれてることは以前からネットやyahooのニュースで言われてる内容ともかなり一致しています
なので、誇張や偏向捏造などもないでしょう
なおかつ中国人が書いてるので知らない部分や個人で受けた共産党の悪逆非道な内容も書かれてる実話なのでリアリティがあります
中国について凶暴さを理解してない人間は是非とも読んでみてください
そして出来れば新品で買いこういう本を書ける方にお金が回るようにしていただけると次の本も出しやすくなるので良いと思います
小学生には難しいかもしれませんが中学生くらいなら割と簡単に読めると思います
基本ギャグ調で書かれてるので(ギャグでも書かれてる内容が現実なので恐ろしいが)読みやすいはずです
中国の内情、そこに居た人でなければ書けないような内容が、4コマ漫画風にさらっと読めます。
もちろん私のような中国に住んだ事の無い日本人が、一冊の本で中国に対する理解を持っていいのかと言う疑問もあります。
しかし、漏れ伝わってくる中国の実情と照らし合わせても、この本の内容はそれらの情報を補完するだけの内容を持っていると思います。
政府が情報統制を行い、ネットすら遮断し、さらに子供の頃から反日教育を行い、そしてTVは共産党の賛美か反日、反米。
こんな国家で生まれて育てば、自然とどんな思考の人間になるか想像がつきます。
この洗脳教育は本当に恐ろしいと思います。
韓国はネットこそ自由ですが、反日教育は北朝鮮や中国並みに行われています。
中国や韓国は、TVドラマや映画も反日か国家の歴史賛美、一方でそのような偏向教育の行われていない発展を続ける台湾を見れば、それらの偏向が実は国家の発展すら妨げている事に気づけるかと思います。
それは反日などと言うバイアスのある国とは、まともな国家間の付き合いが出来ないからです。
国と国の交流を妨げる因子を持った国は、国と国との交流による利点を得る事が少なくなります。
辣椒 さんのこの本を読めば、歴代中国共産党の主席の辿って来た悪業、そしてそれらと比較しても比べ物にならないほどの支配を務める習近平と言う男の恐ろしさが理解できます。
習近平が主席を務める間は、少なくとも日本は気を許して近づいてはいけませんし、ノーガードで近づくような党に政権を任せるような事があってもいけません。
辣椒さんがあまりご自身の感情を交えずに、4コマでさらっとまとめてあるので一気に読めてしまいます。
しかし、本当はこの行間には 辣椒さんの色んな感情や思いが込められています。
中国が本当の意味で自由になり、台湾、チベット、内モンゴルも解放され、反日と言うバイアスが消える日が来ることを祈ります。
そして 辣椒さんが大手を振って祖国に帰れる日が来る事を、心よりお祈り申し上げます。
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この作品を知らなかったのですが、アメリカのアマゾンで1位になったと知り購入しました。
先ず、絵が可愛くて丁寧で読みやすくてまんがとして良く出来ている。
日本の読者のために非常に配慮されている。私も様々なところで中国人と知り合ったが、基本的にはとても良い人が多い印象です。アラブの春みたいに民主化すれば良いという訳ではありませんが、中国人なら民主化しても良い国に出来るのではないかという希望が著者の作品を読むと感じます。
風刺画のレベルが高い
政権批判というより、共産党批判、
共産党の異常さと、それを容認している、せざるを得ない中国の特殊な国民性がよくわかる。
庶民はあくまで庶民であって、
中国人はよき隣人でありよき友人であるべき。
国家観があまりに未熟なのだと思う。
天安門の際に国家としてレベルアップできるチャンスを潰してしまったのが悔やまれる。
未熟者か強大な力を持ってしまった。
とてつもない価値のある長大な過去の歴史も壊して、
いったい中国という国家、民族はこの先どこに向かうのか?
著者が悲観的になるのはよく分かる。
希望を持てる要素が、共産党から一切見出せない。
米国アマゾンのKindleマーケットで1位になった、という話と、
著名な中国ウォッチャーの方が「本当の話」と勧めていたので買ってみましたが、面白い!!!
一気に読んでしまいました。
中国人の知人からなんとなく聞いていた話とぴったり符合し、「ああ〜、そういうことだったのか!」と納得しました。
本当の中国の姿が見える一冊。
「知る」ということが重要で、「知らない」とどうにもならないことが分かりました。
現在の中華人民共和国の共産党以外の人たちが「知らない」状況に置かれて、共産党に奴隷とされていることがとても理解できました。
とても現代においてもこのような奴隷制度が存続していることに恐怖を感じます。
私も、文化大革命 以前3回ほど訪中してますが、最近の訪中の訪中のほうが厳しいように思い読んでみました書いてある、以上に観光客に対しても、厳しい態度です 良く国民が我慢していると思います。思想、権力通信防除など、自由があるようでないそんな中国が分かります。
¥990
(2022/03/23 05:33:12時点 Amazon調べ-詳細)
中国共産党、その百年
結党100周年を迎える中国共産党は、いかにして超巨大政権党となったのか。わずか30年足らずで中華人民共和国を建国し、70年以上にわたって国を統治してきた中国共産党の歩みを世界史的な展開を視野に収めつつ描く。
創立百周年を迎える中国共産党。いかにして超巨大政権党となったのか、この組織の中核的属性はどのように形作られたのか、多角的に浮き彫りにした最良の通史!
レビュー・口コミ
著者は日本における中国共産党史の第一人者(数少ないという点でも貴重な研究者)である。中国共産党百周年に合わせてこうした一般書が出版されたことは非常に喜ばしい。
著者は現在の共産党にも受け継がれる「DNA」をその建党初期に求める。党に対する絶対服従とそれを守る鉄の規律、会議と文書による党運営、そして「個人トウ案」に代表される徹底した情報管理である。後述するようにその存在意義は大きく変化してはいるが、そもそも中国共産党は「マルクス=レーニン主義」に基づいて組織されている政党である。学生運動盛んなりし昭和の時代はすでに遠く、社会主義の本家ソ連も解体して30年、評者を含めた現代人はこのことををうっかり忘れがちであるが、中国の政治を論じる上では改めて認識をしておかなければならない。
さて、こうした組織の頂点にかつてなら党主席、現在なら党総書記という個人が乗っかっているのが毛沢東以後引き継がれてきた中国の政治体制(アメリカがいうところの専制国家)である。さらに、著者はかつての国民党とも比較しているが、この共産党による支配は都市から農村、職場から学校などありとあらゆる場所まで行きわたっている。評者はかつて政治学の本を読んだときに、現在ではイデオロギーの右左にかかわらず非民主的な政治体制を「権威主義」で一括りするのに驚いたが、支配政党の社会への浸透度という点では、中国と例えばミャンマーの軍事独裁はやはり区別するべきだろう。
著者によれば、現在の中国共産党は社会主義の前衛政党としてではなく(そもそも党員自体が社会主義の実現を信じていないという調査が示される)、中国を解放前の「半植民地」状態から近代国家にまで引き上げた「ナショナリズム」の担い手としてその支配を正当化している。ここからは評者の考えであるが、近代国家の担い手であるというのは単なるプロパガンダとも思えない。評者を含めこの本の読者は香港の民主家弾圧に憤り、ウイグル民族への圧迫に心を痛めているであろうが、では単純に現在の中国共産党による支配が無くなれば良いのであろうか?これも歴史を顧みる必要があろう。すなわち1990年代に社会主義体制が相次いで崩壊したソ連や東欧諸国では経済・社会が崩壊・混乱し、ユーゴスラビアやチェチェンのような長期にわたる民族紛争も起こった。かつて台湾や韓国では経済発展とともに成長した中産階級によって民主化が成し遂げられたが、沿岸部と内陸部・都市と農村・そして多様な民族と、大国中国がかかえる複雑さは台湾・韓国の比ではない。共産党支配が崩壊すれば中国そのものが崩壊するであろうーといったある種の強迫観念のようなものが、かつては天安門事件を引き起こした鄧小平、現在ならば独裁化を強める一方の習近平のに取り憑いている気がしてならない。
本書の内容に戻ると、中国ではグーグルやフェイスブックのような世界的なインターネットサービスは利用できず、百度(バイドゥ)や微信(ウィチャット)といった代替サービスの使用を強いられている。これによって中国が極度のネット監視社会であるとよく言われるが、著者によればインターネットツールによって信用を供与されたり、犯罪も取り締まれる利点から意外にも中国人に広く受け入れられているのだという。
欧米型の民主主義を寄せ付けないと公言して憚らない習近平の「中国モデル」は今後どうなるのであろうか?一党独裁の終焉とまではいかなくとも1980年代の胡耀邦や趙紫陽、あるいは2000年代の胡錦濤時代のような体制内変革ぐらいはできないものであろうかー本書は現代・将来の中国を考えるうえで不可欠な良書である。
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前期の28年間に重点を置いた中国共産党史。
中国共産党100年史である。中国史研究者による百周年本としては、トップバッターかな。
本書は、中華人民共和国史本ではなく、中国近現代史本でもない。
中華人民共和国は成立後まだ72年であって、中国共産党はそれより28年長い。また戦後の中国政治史はほとんどが中国共産党史と重なるが、戦前戦中の中国政治史では中国共産党が主役だったわけではない。
一、本書の方針と構成
〇方針
①中国共産党史をまんべんなく描く教科書とはしない。
②今日の共産党にも引き継がれることになる党のさまざまな属性ー共産党に特有の性質を取り上げ、具体的なモノやコトに託して見てみる。
③政権を取るまでの中国共産党史に重点を置く。
④その理由は、今日の共産党の「属性」は、党の前半期にさかのぼることが非常に多いためである。
⑤コラム「中国流行歌」
〇本書の構成は、第一章と第二章が、政権を取るまでの中国共産党史。約148頁。
第三章が毛沢東史とその同志史。約60頁。第四章と第五章が、政権を取ってからの中国共産党史。(第四章が林彪事件まで)。約122頁。
コラムは各章末に付いていて、計13個。
二、目次
第一章 革命の党の出発
1「中国共産党」の起源
2コミンテルンー中共DNAの来源
3党の結成ー国際共産主義の時代
4国共合作ー似たもの同士
5共産党の政治文化ー「新しい生き方」の衝撃
第二章 権力への道
1農村革命と中華ソヴィエト共和国
2長征ー党自立への転機
3統一戦線と西安事変ー党の内外
4抗日戦争と遊撃戦ー誰が誰と戦うのか
5毛沢東の党の確立ー整風運動の功罪
6政権党へー内戦の勝利と人民共和国建国
第三章 毛沢東とかれの同志たち
第四章 人民共和国の舵取り
1巨大政権党の今昔
2戦争の中の船出ー新生国家の原体験
3改造される人々ーイデオロギーと運動に満ちた社会
4姿をあらわした社会主義ー中国型計画経済と反右派闘争
5大飢餓と大動乱ー大躍進と文化大革命の発生
第五章 革命を遠く離れて
三、私的感想
〇文化大革命史本はいろいろ読んだが、戦前中国共産党史の本、特に長征より前の中国共産党についての本はあまり読んだことはない。たいへん興味深く、勉強になった。
〇党の前半期に出現し、今日の共産党にも引き継がれることになる党のさまざまな属性ー共産党に特有の性質がやはり一番面白い。
いくつかあげると
☆今日まで繋がる中国共産党の「鉄の規律」「絶対服従(中央集権)」という組織原理(DNA)はコミンテルンに由来する。
☆共産党と国民党は似たもの同士である。その一つは会議重視、文書重視だが、共産党の会議重視は著しく、会議は上部へ下部へ文書によって伝えられ、膨大な文書が作成蓄積される。重要な路線転換はすべて会議でなされている。
☆初期の共産党には10%の女性党員がいて、男女平等が期待されていたが、女性の役割は協力者、パートナー、婦女部長に留められ、女性解放は革命が成就するまでの永遠のおあづけとなった。また初期の共産党には文化人や芸術家が多かったが、彼らに求められたのは政治に奉仕する芸術であった。
☆共産党の軍が国民党の大軍に勝った最大原因の一つが、組織力、上意下達のツリー構造だった。共産党の組織力は、戦中の整風運動によって、更に強くなった。また、中国社会における「組織」の効用と恐ろしさを知っている共産党は法輪功のような堅固な組織あるものは徹底的に弾圧する。
☆1931年に作られ、3年で潰れた中華ソヴィエト共和国のシステムのいくつかは現在の中国に引き継がれている。その一つは党代表が、軍司令官と共に軍を指導することである。
☆共産党、毛沢東について、当てにならない「機密資料本」「真相本」が世を騒がす一つの原因は、共産党が情報を公開しないことにある。
〇こうやって並べると、中国共産党に対する批判ばかり並んでいる本のようだが、そうではない。今や中国史上最大の王朝となり、最盛期を迎えた中華人民共和国を支配する中国共産党の青年時代を探究することによって、その興隆と発展の理由を探る本でもある。
〇冒頭に、劉少奇も、毛沢東も、周恩来も、鄧小平も、睡眠薬を手放せなかった話が出てくる。彼らは勤勉であり、夜の会議が重なって不眠であり、少数の幹部が国を支配する体制を作り上げてしまったため、指導者として、逃れられないプレッシャーにさらされていた。
〇第三章は毛沢東の話。中国共産党のDNAはコミンテルンと毛沢東であり、共産党の政治・政党文化のかなりの部分が毛時代のものを継承している。
〇第四章は人民共和国建国時の理念(初心)がどのようなものであったか、その後どう変わっていったかを検討する。
〇第五章はやはり天安門事件がハイライト。「社会主義の中華人民共和国」を守らねばならない理由は、その体制実現のために多くの血が流されたから、という共産党の論理を厳しく批判する。
〇コラムに出てくる流行歌、国歌には、一般日本人には知られていないものも多いが、歌の話なので楽しく読める。
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習近平の中国――百年の夢と現実
2017年秋の党大会で、折り返し点を迎える習近平政権。
経済成長が鈍化し、共産党がその支配の正統性を問われるなか就任した習は、外交・内政で豪腕をふるい、党の「核心」と称揚される存在にのぼりつめた。
だが、言論が統制され、ライバルも不在の一強体制には危うさも潜む。結党・建国百年に向け、習が見つめるものはなにか。
レビュー・口コミ
2011年3月から5年余り特派員として中国に滞在した記者が、習近平を中心とする中国の現状を記録しつつ、中国のこれからを読み解こうとする。
中国には詳しくないので、「ほうほう」と思いつつ読む。習近平が権力を掌握していくプロセスがよく分かる。
なるほどなと思った点を2つだけ。
「中国共産党の成立から百周年までに、小康社会の全面的な達成という目標を実現する」「新中国の成立から百周年までに……社会主義現代化国家をつくるという目標を実現(p.25)」という習の2012年の演説が引用されている。中国という国家のあり方を、中国共産党百周年の2021年や、新中国成立百周年の2049年を視野において考えると言うことだろう。
それが可能なのは、習が「皇帝化」しているからだとも言えるだろうが(果たして日本の政治家にこのような長期スパンで日本の将来を考えている人がいるだろうかということをチラッと思う)、著者の「中国はほかの国々とはまったく違うテンポを刻む、大きな振り子(p.214)」という中国評は胸に落ちる。
日中関係に関してでは、かつて「日中関係を支えてきた一つの柱(p.82)」であった「軍民二分論」の成り立ちや、その「説得力は急速に色あせている(p.87)」という現状を説明した箇所(pp.82-87)が興味深い。
中国が数年内に米国を抜いて世界一の経済大国になるだろうとはIMFを含めた世界的な通説となっている。
やっかみ半分の崩壊説は無視するとして、現実的な中国観、対中政策が求められる所以である。そのリーダーである習近平が何を目指しているのか、誰しも知りたがっているが、本書はそれなりに答えている。
すなわち、誰もが食え、文化的な生活を営める小康社会を目指して習が奮闘している事実を多くのデーターで裏付けている。問題はその先、習の口癖の中華民族の夢であるが、いまひとつハッキリしない。
多くの書が謎の解明に挑んでいるが、やはり秀逸なのが『二人のプリンスと中国共産党』である。同書は腐敗撲滅運動の本質はカネまみれになった党の純化路線とし、習はトウ小平理論を超え、毛沢東思想の復活、社会主義・共産主義社会建設を本格的に目指していると指摘するがが、最近の動きを見ると正鵠を射ているように思われる。
本書とあわせて読むと、いま北京奥深くで開催されている8中全会で討議されているであろう党主席制復活の動きがよく分かる。
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右傾化する習近平政権の実態を冷静に分析しており、最新中国政治事情レポートとして有用である。
しかし、最新の中国事情のレポートであるが、少数民族の部分の一部以外は、どこか、中国当局の意向および日本国内の朝日新聞社のほしい話題に沿って、書かれているような気がします。まるで、文革初期の日本の礼賛報道のようにみえます。
外国人記者の行動と報道内容が執筆者ごとに整理され、評価され、その結果が記者個人ごとにファイルに集積される中国においては、長期にわたってキャリアを積み上げなくてはならず、本社の意向(日本の読者の意向)に沿った記事を書かないと評価されない日本の記者にとってはやむを得ないことでしょうか??
この点は、中国報道キャリアの総決算として、渾身のレポートを書く欧米記者との相違点か?
面白かった!
13億人の指導者、習近平とその周辺を通じて、中国の現状と問題点と展望を鮮やかに切り取った良著です。
食い入るように読みふけりました。
2017年現在、中国の現状としてはかなり新しい内容が載っています。
北京政府は強権的で統制や弾圧も行いますが、それにはまず、13億の人民を食わせ、文化的な生活を送らせたいという、中国官僚のガチ強固な信念が内包されているのだと良く分かります。
そして、現在はある程度これが達成され、食わせる所までは行ったけれども、これからどうするか?という話しなんですね今は。
感情的になりすぎて大統領を失脚させる兄の国(それでも抗議するだけ偉い!)や、事大主義が過ぎて戦犯の孫を総理から降ろす事も出来ない我が国と比べ、やはり父の国は東洋の盟主たる器だと強く思いました。
自由である事は良いのかも知れないが、自由の極致のアメリカは今、トランプさんで大変なことになっているし、日本はといえば自由なのに?大したものも生み出せず、世襲代議士をあがめ、自由であるが故に非婚、少子高齢化が進み衰退しているのですから、明確な路線を打ち出し、それに向け前進、前進、前進進している中国のが
よほど活気があり未来もあり、うらやましく見えてしまいます。
前半中半では分析を多く述べ、終章できちんと著者の意見を表明する構成にも好感が持てました。
さすがマスコミの人なだけあるね。
図書館で借りましたが久々に買おうかと思った。本棚に残しておきたい。
¥902
(2024/12/04 05:19:14時点 Amazon調べ-詳細)
独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで
朝鮮戦争、ソ連との大躍進と飢餓による死、文化大革命、米中国交回復、天安門事件――。農村部で勢力を蓄えた共産党が中国全土を支配し、GDP第二位の「超大国」となるまで、この国の歴史はまさに巨大なトラブルの連続だったといえます。そして今でも、一党独裁体制、民族弾圧、さらには都市と農村の格差といった矛盾を抱えています。
その源はどこにあるのか? そこで鍵となるのは、やはり建国以来この国に君臨した毛沢東でしょう。独裁も不平等も国民監視システムも民族紛争も、毛沢東の作り上げてきたものの延長上にあるといえます。
では「中華人民共和国」というシステムはどのようなものなのか? それを理解するには中国内部だけではなく、世界史的な視点が必要になります。
習近平は、まさに文革世代。毛沢東的独裁の申し子ともいえる存在です。これから中国がどこに向かっていくのかを知るためにも、この70年の歴史を振り返り、その内在論理を解明する必要がある。
レビュー・口コミ
内モンゴル出身の著者ならでは、「中国共産党の少数民族弾圧」に詳しい。
中国ウォッチの第一人者・宮崎正弘のメルマガの書評によると、彼ですら知らないエピソードがいくつも本書にあったという。
中国ウォッチャーを自認する方なら必読だろう。
複雑な内容を良く整理している。本書を読んで各論にとりくむとよい。
共産党総書記イコール皇帝というのが何となく理解できました。
中国は歴史的に強権的な独裁以外に統治できない国だった。
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中国共産党独裁支配の暗黒面を具体的なデータを示しながら告発しています。
毛沢東はもちろんのこと鄧小平も習近平も共産党の一党支配の維持強化が最大の関心事で、多少なりとも民主化を試みたり少数民族の自治を認めようとした者が常に失脚させられるというのが中国共産党の歴史であることがよくわかりました。
また、その過程でいかにすさまじい人権の侵害が行われたかも衝撃でした。著書は公式発表のデータを基に説得的に論じており、その点が普通の反中国本とはレベルが異なります。
このさきAIなどで中国が覇権を握れば、まちがいなく史上最強最悪の例をみない規模の独裁国家が地球に生まれることになりますが、それは悪夢というほかありません。
今、読むべき本。
米中覇権争いが可視化された今、押さえておくべき一冊。
習近平の考え方の背景が確認できる。
中国共産党の設立から現在までの歩みを簡単に紹介。体制としてはそれまでの王朝と変わらないと説く。
著者は内モンゴル出身ということで、絶滅対象の「周辺民族」からの視点を提供していて、興味深い。共産党体制になっても、「中華中心主義は変わらない。」という著者のメッセージはこれからの日本の対中国外交の視座をを与えるものと思われる。
読んでおいて損はない一冊と思う。
何故、中国は日本に傲慢な態度を取るのか。どうして、中国に民族問題があるのか。その答えがこの本にある。最高の中国史!!
正に、簡にして要を得た名著である。中国共産党の思考パターンと行動パターンをその源流に遡って、理解することができ、今後の行動も予測可能となる。叙述に無駄がなく、分かりやすいところが素晴らしい。日本人の必読書の一つ。
¥935
(2022/08/02 13:54:31時点 Amazon調べ-詳細)
ラストエンペラー習近平
強硬な対外政策をエスカレートさせている、中国の習近平独裁体制。だが戦略面で中国は最悪の選択を行っています。
世界的戦略家が、中国の「本当の実力」、米中対立時代の世界、そして日本が生き残る道を鮮やかに分析します。
ますます緊張を高める米中関係。「習近平は、完全に全方位敵対路線に入った」と著者は語ります。「最後の皇帝」習近平は何を目指すのか?
レビュー・口コミ
理路整然としていて平易な言葉遣いなのでとても分かりやすい。
全方位強行外交=戦狼外交を繰り広げる習近平「皇帝陛下」の中国が、なぜそういう方針を採っているのか、諸外国がそれに対抗するにはどうすればいいのかが簡潔に述べられています。
曰く、歴史的に周辺に対等の国が無かったので、「国力に差はあれど形式上は対等」という外交の基本そのものを理解できない。
国民から民主的な手続きを経て選出されているわけではないので、常に共産党は強く正しいと国民に見せ続ける必要があり、ゆえに諸外国を力と金で屈服させようとしている。
諸外国が中国に対抗するには、習近平・共産党の思い通りに行かない事を見せつけて恥をかかせてやればいい=中国の要求に対してNOを突きつけるだけでいい。
なるほど、と頷けることが多々あります。
強大な国が力で周辺国を押さえつけようとすれば、小国が団結して結果として大国が敗北する。
革新的な技術は革新的ゆえに使い方が分からず、保守的な組織(軍隊)によって排除される。
確かにその通りです。
ですが、唯一納得がいかないのが海軍戦略についてです。
要約すれば「現代において水上艦艇は全て潜水艦の標的でしかないのだから、観艦式などで並べて見せる外交用でしかなく実用的には全くの無駄」。
これはミサイル万能主義に通じる極論です。
例えば潜水艦だけではP-3、P-1、P-8、SH-60Kといった「空からの対潜戦」に対抗できません。
水中から対空監視レーダーを使う事も、可視光で監視する事も出来ず、浮上すればその時点で哨戒機や水上艦艇のレーダーに捕捉される可能性が極めて高い。潜水艦発射対空ミサイルはドイツで開発中だが、いずれにせよそれを発射すればその時点で潜水艦の所在地を暴露してしまう。
従って潜水艦が安全に行動するには敵哨戒機を排除する必要があり、その為には対空能力が高い水上艦艇が必要であり、更に水上艦艇を守るためには高いセンサー能力を持つ早期警戒機・哨戒機・また制空能力が高い固定翼戦闘機が必要になります。
水上艦艇、潜水艦、航空戦力は全て相互に補い合っています。
また空母不要論じみた事も書いていますが、空母の役目は洋上での制空権(航空支配)確保と、何よりも内陸への戦力投射です。
ルトワックが本書中で称揚している大まかな基地ではなく基地の中の特定の施設を狙った「精密爆撃」、そのプラットフォームが空母です。
空軍が進出するには近隣の国と協定を結び基地を借りる必要がありますが、公海上に浮かぶ空母ならそんな必要は無く、迅速に戦力を投射でき、それこそが空母保有国の国際社会に対するプレゼンスとなっているのです。
ルトワックの言うように潜水艦が最強だからと言って潜水艦だけで海軍を構築したとしましょう。
それはチョキしか出せないジャンケンであり、敵は安全な上空から潜水艦を探して対潜爆弾や航空魚雷をばら撒いていればいい。
1000メートル近い深海で息を潜めていれば見つかる可能性は低いでしょうが、それをやるのは核抑止を担うSSBNのみであり、核戦力はおいそれと使うわけにはいきません。また攻撃型潜水艦は誤射を防ぐために襲撃前に潜望鏡で標的を確認するのが基本ですから、必ず哨戒機が探知できる深度まで浮上する事になります。
ルトワックは確かに華々しい経歴を持ち、連邦政府機関に雇用されるほどの人物ではありますが、当の機関は中国を「外交というものをそもそも理解していない」とするルトワックと「100年の計で物事を進める凄まじい戦略家である」ピルズベリーの両名を雇用してもいます。
「権威ある学者がこう言っているから中国は脅威ではない」と鵜呑みにするのは間違いで、あくまで学者による分析の一つとして参考にすべきです。
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結論から言うと、とても素晴らしい本だなと思った。
「向かうところ敵なし」に見える習近平率いる中国共産党が、重大な戦略上の過ちをおかしていること、大きな脆弱性を内在的に抱えていることなど、よく理解できた。
中国は戦前の大日本帝国に近い過ちを近いうちに犯しそうだなぁ・・・
今の日本や世界に有益な一冊。
日本政府が本書の内容を国家戦略に反映させれば、明るい未来が待っていると思う。
ルトワック博士の著作にはいつも考えさせられることが多くある。素晴らしいの一言。夏の読書にお薦め。とりわけお花畑脳の方々には読んで欲しい一冊。
中国がどのように物事を捉え、国家戦略を構築し、また、その戦略を変化させていったかという点について、本書の説明は簡潔明瞭を極め、非常に読みやすいものとなっています。
ただ、これまでの同著者の書籍を既に読んでいる方が本書をお読みになると、やや物足りないと思われるかもしれません。
確かに、中国の戦略というものを、この2021年夏の時点で考察していく上では、本書はやはり有益と言えます。
しかし、内容の根底部分では、既に刊行されている同著者の書籍と同じですので(同じでなければ困りますが…)、そこから考えるなら、読み応えという点ではやや弱く感じます。
それでも、本書では中国というキーワードに加え、新たに「習近平」という視点を持ち込んでいるのは新味です。これに加え、日本の、国際社会での立ち位置が変化したという著者の指摘があるのも挙げておきます。
現状、中国は戦略の論理を理解できていない、と著者は述べています。また、エマニュエル・トッドは中国の未来を別の視点から悲観しています(※)。中国が今後どのような振る舞いをするにせよ、国際社会に多大な影響を与えることは否定できません。
ルトワックと奥村真司両氏による著作はいつ読んでも明瞭かつ痛快である。著者は持論である「戦略のパラドックス」論を用い、習近平の中国が大国意識に基づいて採るさまざまな強硬政策が、実は相手のリアクションが見えていない愚策であると指摘する。そしてアメリカのみならず、「小国」と見なされている世界の各国が「No」を突きつけることが、習近平を「つまずかせる」ために有効であると説く。
著者の説くところは明快だが、習近平の弱点だけを知って気分がせいせいするだけでは、本書の価値もそのへんの嫌中本と変わらないものになってしまうであろう。
果たして著者の言うように、日本がアメリカをはじめとした世界各国とどこまで対中国パートナーシップを築くことができるだろうか?本書を読んでいる最中に五輪外交で菅総理とフランスのマクロン大統領が会談したニュースを目にしたが、地政学もしくは地経学的にもっと近い韓国や台湾との関係はどうであろう?
あとターゲットはあくまで独裁者である習近平であり、単純に反中であればよいというものでもない点にも留意したい。
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中国共産党を作った13人
1921年7月23日、上海の高級住宅街に13人の中国人青年が集まり、中国共産党第1回全国代表大会が行われた。
欧米列強に蹂躙された国土を取り戻すために命を懸け、過酷な運命に翻弄された彼らの青春群像をたどる。
レビュー・口コミ
1921年夏、中国各地からの共産党代表として上海の李漢俊の家に集まった13人が辿った運命の皮肉。
これが中国共産党第一回大会と言われるようになったのは後年のことであるが、組織を此処までにしてきたのが陳独秀であったことは間違いのない事実だろう。
上海(李漢俊・李達)、北京(張国壽・劉仁静)、広東(陳公博・包恵僧)、武漢(薫必武・陳潭秋)、済南(王尽美・トウ恩明)、日本(日本へ留学中の周佛海)、長沙(毛沢東・何叔衛)が、この会合に集まった面々である。
日本への留学経験者が、13人中で4人もいたから、著者は、彼ら4人の日本留学中のエピソードなども取材して詳しくしく書いている。
この第一回の会合では目立たない存在だった毛沢東が、1949年10月1日、天安門広場で、「ここに中華人民共和国の成立を宣言する!」と演説したとき、13人だった同志が毛沢東と薫必武のたった2人になっていたのである。
著者が、この13人にスポットを当てることを軸にして簡潔に書いているから、中国の共産党国家への道のりを知るうえでの良書だと思った。
毛沢東が演説した時に天安門にいなかった11人の同志達の、その後の運命を知りたい方は、ぜひ本書を一読されるようお勧めいたします。
中国共産党第1回全国代表大会(と後に呼ばれる会合)に参加した13名(上海・北京・済南・長沙・武漢・広東代表各2名+日本代表1名。毛沢東は長沙代表。)と不参加だった当時の指導者・陳独秀の足跡を追いつつ、20世紀前半の中国現代史、特に彼らと日本との関わりをまとめた本。
20世紀前半の中国現代史は知らないことが多いし、未だに謎とされている部分もあるが、上記切り口で眺めることにより、身近に感じられるようになった。
日本を通して西洋の技術・知識を得ようとした中国青年の志の高さに感心する。明治維新を経て強国になった日本は近代化モデルであり(西郷隆盛の人気の高さもわかる)、また西洋の知識を学べる最も近くの国であった。資本論や社会主義も日本を経由して中国に入ったのであり、上記13名には留学生者もいる。陳独秀は5回も来日している。
しかしながら、彼らを待っていた運命は過酷であり、それは国共対立、日本との戦争、党内の権力闘争等の激動の中国現代史の反映であった。彼らは精一杯生きたのであり、勝者だけによって歴史が記されることがないよう祈る。
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中国共産党第一回全国代表大会。
ここから、すべてが始まった。
この秘密会議に参加した13名は、奇しくも裏切り者ユダを含む、イエスキリスト13使徒と同数である。
当時の上海、フランス租界の私立女学校で開催されたこの大会がその後の中国の運命を決定した、
と言っても過言ではない。
私もこの記念すべき中国共産党第一回大会跡に出来た博物館に行ったことがある。
中国共産党が建党された時期、陳独秀という学者が党のリーダーであり、毛沢東などはほとんど知られていなかった。
党員数たった13名での、嵐の船出だった。
そんな初期党員の姿を描写した本書の価値は高いと思われる。
当時の中国共産党の花形であり、スターだったのは、「新青年」などの雑誌に文章を寄稿したり、
その熱血漢をもって自認する、名アジテーターだった陳独秀であった。
しかし、当時はじめて中国共産党が建党された時期に、
密かに「想像を絶する邪悪」がこの集団に潜んでいたことに、
陳独秀も、コミンテルン代表マーリンも気づいていなかった・・・
中国共産党の歴史は複雑だと思っていたが、初期にはこんなことがあったとは想像外だった。
日本の存在が強く影響を及ぼしていたと知り、ここまで深い関係にあったとは、驚きだ。まるで日本が中国共産党を作ったようだ。
西郷隆盛が中国でもよく知られた人物だったとは、知らなかった。日本と中国は密着した関係だと、あらためて感じた。今の中国の発展を知る上でも読む価値あり。
世界最大の政党であり、最大の権力を持つ中国共産党であるが、毛沢東の支配権確立以前のことをほとんど知らなかった。本書は毛以外はほとんど知られざる13人の結党集会メンバーの人物紹介を軸に、結党前後の中国共産党の姿を描く。日本留学組が4人もいて、大正デモクラシーで自由の気風が高揚する日本で盛り上がる最新の社会主義思想を持ち込むと、あっという間に中国全土に伝播し、続々と共産主義グループが生まれた。そのグループを全国組織として立ち上げた集会が第一回党全国代表大会だった。
メンバーの一人で東京帝大を出た李漢俊の自宅で開いたという。共産党というマグマが吹き出す直前、芥川龍之介がまさにその自宅で暢気に李と会見し、毛沢東が校長を務める学校などを見学している。
和書で簡便に共産党結党の経緯などを知る機会は少なく、興味深く読んだ。また、共産党創立について、深い日本の関わりを知り驚いた。ちなみに、結党集会に集った13人のその後は過酷だ。半数が国民党などに殺され、中国で天寿を全うできたのは毛を含め、わずかに3人。投獄されたり、獄死したり、亡命したり。「一将功成りて万骨枯れる」…中国の権力闘争の凄まじさを思わずにはいられない。
nanashisan the book reviewerさん
著者は中国人と日本人のハーフ。本書を読んで、中国共産党創立メンバーが何人も日本留学を経験していたと知った。
日本から学んだ点・日本に恨みを残した点・ソビエトからの資金援助・中国大陸内での血で血を洗う抗争など、創立にまつわる一連の出来事が収められている。中国共産党の源流を理解するのに最適な書。
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