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2021年の最低賃金は28円を目安に引き上げ、時給930円

2021年の最低賃金は28円を目安に引き上げ、時給930円

最低賃金は企業が労働者に支払わないといけない最低限の時給で、違反企業には罰則もあります。

2021年7月現在、全国平均は902円になっています。


国の審議会が目安を決め、これを基に各都道府県が実際の金額を決めることになります。

10月ごろに新たな最低賃金が適用されます。


28円を目安に引き上げ、時給930円

28円を目安に引き上げ、時給930円

中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は14日、2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすると決めました。

28円の引き上げ額は02年度に時給で示す現在の方式となってから過去最大で、上げ幅は3・1%でした。


上げ幅としてはまずまずですが、930円という金額は主要先進国ではなお低い水準にとどまります。

デジタル化などで生産性向上を進める必要があります。


全都道府県で800円を超える

第2次安倍政権は年3%の引き上げ目標を掲げ、実際に16~19年度は約3%ずつ引き上げました。

20年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮し、審議会がリーマン・ショックの影響を受けた09年度以来、11年ぶりに目安を示せませんでした。


結果的に各都道府県の引き上げは全国平均で0・1%(1円)増にとどまりました。

今回の引き上げ幅はコロナ前の水準に戻り、実現すれば全都道府県で800円を超えます。


最高額は東京・最低額は秋田や高知

審議会は都道府県を物価や経済状況に応じて4つのランクごとに目安を示してきたが、今回は全てを28円としました。

目安通りに上がれば最高額の東京は1013円から1041円、最低額の秋田や高知などは792円から820円になります。


一律に適用されるため、低水準の地域の上げ幅は高まります。


都道府県別、2020年の最低賃金

都道府県別、2020年の最低賃金
都道府県 最低賃金時間額
北海道 861
青  森 793
岩  手 793
宮  城 825
秋  田 792
山  形 793
福  島 800
茨  城 851
栃  木 854
群  馬 837
埼  玉 928
千  葉 925
東  京 1,013
神奈川 1,012
新  潟 831
富  山 849
石  川 833
福  井 830
山  梨 838
長  野 849
岐  阜 852
静  岡 885
愛  知 927
三  重 874
滋  賀 868
京  都 909
大  阪 964
兵  庫 900
奈  良 838
和歌山 831
鳥  取 792
島  根 792
岡  山 834
広  島 871
山  口 829
徳  島 796
香  川 820
愛  媛 793
高  知 792
福  岡 842
佐  賀 792
長  崎 793
熊  本 793
大  分 792
宮  崎 793
鹿児島 793
沖  縄 792
全国加重平均額 902





日本の最低賃金は各国と比較して低い

日本の最低賃金は各国と比較して低い

日本の最低賃金は、主要先進国の中では水準の低さが際立っています。

内閣府によると2021年の最低賃金はフランスと英国が1302円、ドイツが1206円、米国は州平均で1060円でした。


上げ幅も低い水準です。

日本は新型コロナウイルス下での企業業績の悪化もあり、20年10月からの引き上げ幅は0・1%でした。

英国は20年4月に6・2%、21年4月に2・2%引き上げ、ドイツも20年1月に1・7%、21年1月に1・6%上げました。

分配強化の観点から最低賃金引き上げに取り組む国は多いです。


賃金の低迷が続けば消費意欲が高まりにくい環境がつくられてしまいます。

欧米で消費者物価が上昇する中で、日本は低迷が続いてデフレ脱却は遠く、悪循環に陥っている可能性があります。


急激な賃金上昇の問題点

急激な賃金上昇の問題点

急激に最低賃金を上げると企業はコストがかさみ、雇用を減らすとの見解が経済学では伝統的にあります。

しかし、1990年代にデービッド・カード米カリフォルニア大バークレー校教授らが手掛けた実証研究で、必ずしも雇用は減らないと結論づけて注目を集めました。


研究で最低賃金を上げたニュージャージー州と、上げなかった隣のペンシルベニア州にある約400のファストフード店の雇用を電話調査しました。

ペンシルベニアは雇用が減ったが、ニュージャージー州は微増だった。引き上げても雇用悪化が回避できる可能性を示しました。

ドイツを対象とした近年の実証研究では最低賃金政策により、低賃金で働く労働者が高い賃金の企業へシフトする現象がみられました。

日本ではデータの制約もあり、実証は道半ばですが、蓄積が進めば、労働市場の改革に必要な具体策も見えてきます。


韓国で起きた急激な上昇の問題点

最低賃金は財政支出なく格差是正対策ができるメリットがあります。

世論の受けも良く、政治的に好まれるが、支払う賃金と労働者が生み出す付加価値のバランスが適切でないと持続的ではなくなります。

18年以降、急激に最低賃金を引き上げた韓国では自営業者の廃業が相次ぎ、雇用機会が大きく失われました。


日本で賃金上昇は上手くいくのか

日本で賃金上昇は上手くいくのか

相対的に低い日本の最低賃金は付加価値や生産性の高くない仕事の残存につながる懸念もあります。

ドイツのような企業の新陳代謝も進みにくいです。


コロナ下で、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上にカジを切りつつあります。

対応できる仕事は自動化し、より付加価値の高い作業にシフトする重要度は増します。


政府による企業の負担軽減策

政府による企業の負担軽減策

政府は最低賃金の3%引き上げに向け、企業の負担軽減策を講じます。

雇用調整助成金など複数の補助金について時給を上げる中小企業が受け取れるよう給付要件を見直します。

最低賃金は例年10月に切り替わることになっています。

政府は雇調金の要件を10月から緩和し、12月までの激変緩和措置として一時的に負担を肩代わりすることで、賃上げの前提になる生産性向上を企業に促します。


雇調金は景気悪化などで従業員を休ませる際に、企業が支払う休業手当の一部を国が助成する制度です。

新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ち込む企業に1人当たり最大1万5千円を支給しています。

従業員が休業する延べ日数が、所定労働日数の2・5%以上との給付要件があります。


政府は一定以上、時給を上げる中小企業を対象にこの休業要件をなくし、10月から3カ月間、助成金を出す方針です。

コロナの影響が大きい中小企業で最低賃金引き上げの負担が過大にならないようにします。

財源は政府の一般会計から出します。


業態転換を進める企業を支援する事業再構築補助金でも給与の引き上げ企業に配慮します。

売上高が大きく落ち込んでいることを条件に、給与を上げる中小企業を対象に特別枠を設けて補助率を高めます。



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