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2022年度の防衛予算が5.4兆円台!初の「GDP1%」突破の可能性

2022年度の防衛予算が5.4兆円台!初の「GDP1%」突破の可能性

防衛省は2022年度予算の概算要求で過去最高の5兆4000億円台を計上することになりました。

中国への抑止力向上を急ぐため南西諸島の防衛体制を強化ためです。


年末の予算案決定で21年度当初の5兆3422億円を上回る最高額となり、防衛費で目安としてきた国内総生産(GDP)の1%を突破する可能性が出てきました。


5兆4000億円台は上限ぎりぎりの水準

5兆4000億円台は上限ぎりぎりの水準

22年度の概算要求額は21年度の5兆4898億円とほぼ同水準となります。

要求額を一気に積みまさないのは財務省の概算要求基準のルールがあるためです。「シーリング(天井)」と言います。


各省庁で使い道を自由に決める「裁量的経費」を1割減らせば削減額の3倍を「特別枠」で上乗せ要求できます。

5兆4000億円台は上限ぎりぎりの水準です。
 

内閣府が7月に発表した22年度の名目GDPの見通しと比較すると、要求額のGDP比は0・95~0・97%となります。


協議次第ではさらに増額される可能性も

概算要求には米軍再編関係経費の一部などの金額は盛り込んでいません。

21年度予算で概算段階で積まず、20年12月の予算案決定の際に2000億円程度を盛りました。

年末に向けた協議次第では、全体の防衛費がさらに膨らむこともあり得えます。


中期防衛力整備計画を前倒しすればさらなる増額も

自民党には防衛費見積もりの根拠となる中期防衛力整備計画(中期防)を前倒し改定すべきだとの主張があります。

19~23年度の現計画の途中で年内に22年度からの計画をつくり直し、初年度の予算額をさらに増やす構想です。


防衛費は1%にこだわらず増額する方針

防衛費は1%にこだわらず増額する方針

新型コロナウイルスの感染拡大が長引けばGDPは下振れも予想されます。

20年度のGDP実績値と比べると、要求額は1・01~1・02%となり1%を超えます。


岸信夫防衛相は1%にこだわらず増額する方針を示しました。

菅義偉首相も今月、米誌のインタビューで目安にとらわれず必要な防衛費を確保すると語っています。


防衛費の1%枠は1976年に三木内閣が初めて定めた

防衛費の1%枠は1976年に三木内閣が初めて定めました。

国民総生産(GNP)比1%を「超えない」と閣議決定したのです。


中曽根康弘首相が撤廃をめざして指示し、87年度予算で突破したものの、その後も目安として残っています。


1%を超えたのは過去に一度だけ

90年度以降、1%を超えたのはリーマン・ショックの影響でGDPが落ち込んだ2010年度の一度だけです。


防衛費の拡大は中国への抑止力を高めるため

防衛費の拡大は中国への抑止力を高めるため

防衛費の拡大をめざすのは、米国と協力して中国への抑止力を高めるためです。

菅義偉首相は4月のバイデン米大統領との首脳会談で日本の防衛力強化を申し合わせました。


中国の国防費は2.3倍

中国は国防費を10年間で2・3倍に増やし、近代型の戦闘機や潜水艦などの保有数は既に自衛隊を大きく上回ります。


台湾を巡って米中両国が対立すれば、わずか170キロメートルの沖縄県・尖閣諸島周辺での緊張は高まります。

南西諸島を日本が自ら守るための装備増強が必要になります。


予算の使い道は戦闘機の購入

予算の使い道には戦闘機の購入

予算額として大規模なのは戦闘機の購入だ。最新鋭ステルス戦闘機「F35A」や、短い滑走で離陸できる「F35B」の追加取得を進めます。


現行の23年度までの中期防で合計45機の取得を盛り込みますが、21年度までに予算を確保したのは21機と半数以下にとどまります。

1機あたりの費用は100億円超です。


レーダーから探知されにくく、艦艇と一体運用できる戦闘機の取得は、長い滑走路が少ない南西諸島の防衛に不可欠です。


主力戦闘機「F15」の改修も進む

主力戦闘機「F15」に電子戦システムやミサイルを搭載する経費も発生します。

21年度予算では改修経費が見積もりを大幅に上回り、財務省が予算計上を止めた経緯があります。

米政府などと交渉して経費削減のめどが立ち、改修を再開します。


敵の攻撃圏外から発射できる長射程ミサイルの開発を進めています。

地上発射型に加え、艦艇や航空機に装備するための改良を始めます。



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