そもそも将来、高速道路が無料化することをご存じでしょうか?
無料・・・、なんとも嬉しくなる響きですが、うれしくない情報があります。
過去に、2050年から無料になるはずの高速料金は65年からと延長されましたが。しかし、その予定が再延期される可能性が出てきました。
一体どういうことなのでしょうか詳細を解説していきます。
高速道路の有料期間が再延長される見通し
国土交通省の社会資本整備審議会部会は2021年7月26日、2065年までを期限とする高速道路の有料期間を再延長すべきだとする中間答申案を示しました。
老朽化で維持更新費が膨らむため、料金徴収を継続し財源を確保するためです。
渋滞緩和にむけて交通量に応じ料金を変動させる仕組みの導入も盛り込みました。
部会が近く正式に答申することになります。国交省は関連法改正を視野に具体的な制度設計に入ります。
本来は2050年から無料に
日本道路公団が05年に民営化した際、50年までに建設費の借金を返済し、無料化すると法律で定めました。
12年の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を機に、巨額の更新費を確保する必要があるとして14年に返済期限を65年に延長していました。
再延長で無料化はさらに遠のくことになります。
原因は予想以上の劣化
当初、更新に必要な追加費用は約5・2兆円を見込んでいましたが、国交省が14年度以降に詳しく点検した結果、予想以上の劣化が判明しました。
結果、数兆円単位で上乗せされる公算が大きいことが分かりました。
自動運転車の普及が進めば専用レーン整備なども必要で整備費はさらに膨らむことになります。
答申案は財源確保策は利用者負担を基本とすることが妥当と明記しました。
料金引き上げも検討しましたが、現役世代の負担増につながり理解を得ることが困難として「料金徴収期間の延長について具体的な検討を進める必要がある」と結論づけました。
高速道路の債務残高は20年時点で約35兆円
全国の高速道路の債務残高は20年時点で約35兆円もあります。
老朽化対策費が膨らめば実質的に「永久有料化」となり利用者負担に跳ね返る可能性もあります。
対策費を正確に見積もり確実な借金返済計画を立てることが不可欠です。
国と自治体が整備し無料開放している区間の維持管理費も「利用者に負担を求めることを基本とすべき」と記しました。
有料化には地元の反発も予想され調整が難航する可能性もあります。
早ければ2021年にも料金変動制が導入される
料金変動制は交通量の多い曜日や時間帯は料金を高く、少ない時は安くします。
東京五輪開幕に合わせ首都高速道路で19日から試験実施しています。
次の段階では首都圏の混雑路線を指定し通年で料金差を設ける予定です。
東京湾アクアラインや中央自動車道小仏トンネルなど複数区間を想定し、早ければ21年度にも導入する見通しです。
料金変動制が導入されると、利用者負担が増すほか、貨物トラックなど企業物流にも影響します。
国交省は段階的に導入範囲を広げる方針ですが、利用者の理解を得るための丁寧な説明が欠かせません。