政府の新しい資本主義実現会議は、岸田文雄首相が掲げる「資産所得倍増プラン」を含む実行計画案をまとめました。
個人マネーが現預金に滞留する現状を打開し、資産形成を後押ししたい考えです。
具体策の議論はこれからで、投資を促すための非課税措置の拡充が目玉になるとみられます。
貯蓄から投資へのシフトを実現するには制度の使い勝手を改めることも肝になります。
2022年5月31日に示した実行計画案では「個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせるべく少額投資非課税制度(NISA)の抜本的な改革を検討する」と記載するにとどまりました。
NISAについては「制度がわかりにくい」「使い勝手が悪い」などの課題を指摘する声が少なくありません。
NISA口座の開設数はポテンシャルから考えると少ない
NISA制度には主に「一般NISA」と長期投資に特化した「つみたてNISA」の2つがあります。
英国で運用されている個人貯蓄口座(ISA)を参考にそれぞれ2014年1月、18年1月に始まりました。
金融庁によるとNISA口座の開設数は21年12月時点で約1800万口座にのぼり、単純計算で成人人口の2割弱に達します。
最近は20代、30代を中心に口座開設が目立ちます。
稼働していない口座は少なくとも200万ほどあるとみられ、りそなアセットマネジメントは「ポテンシャルから考えれば物足りないのではないか」と指摘しています。
改善すべきNISAの3つのポイント
英国のISAは制度開始から15年程度で成人人口のほぼ半数に広がりました。
専門家の意見を踏まえると、日本の制度は、
(1)非課税の金額・期間の拡充
(2)制度の簡素化
(3)使い勝手の向上
――の3つが主に改善すべき点として挙げられています。
1.非課税の金額・期間の拡充
1つ目は非課税の金額・期間の拡充です。
非課税枠の上限はISAが年間2万ポンド(約320万円)なのに対して、一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円と見劣りしています。
日本は制度の存続期間、非課税期間ともに期限が決まっている点もネックです。
制度を恒久化し、たとえば年間60万円を上限に1200万円まで非課税とすると、老後に運用しながら取り崩すこともできます。
2.制度の明確化
2つ目は制度がわかりにくくなっていることです。
2つのNISAは投資できる商品が異なります。
さらに、一般から移行する形で24年以降に始まる新NISAは、年間上限20万円までの積み立てをすれば102万円まで一般と同様の投資もできる2階建て構造となります。
純粋に一本化し、それぞれの割合を決めた方がわかりやすいでしょう。
3.使い勝手が悪さ
3つ目は使い勝手が悪いことです。
現在は非課税の期間が終わると「移管(ロールオーバー)」と呼ぶ手続きが必要になる場合があり、複雑な印象を与えます。
恒久化すればこの作業も不要となります。
まとめ
NISA制度には主に「一般NISA」と長期投資に特化した「つみたてNISA」の2つがあります。
金融庁によるとNISA口座の開設数は21年12月時点で約1800万口座にのぼり、単純計算で成人人口の2割弱に達します。
NISA口座の開設数はポテンシャルから考えると少ないです。
改善すべきNISAの3つのポイント、
(1)非課税の金額・期間の拡充
(2)制度の簡素化
(3)使い勝手の向上
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