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2023年のデジタル赤字額は5兆3452億円

2023年のデジタル赤字額は5兆3452億円

政府は2024年6月21日、デジタル政策の指針をまとめた2024年度版の行動計画を決定しました。

デジタル関連のサービス収支が5兆円超の赤字であることを指摘し、富の流出や産業競争力の低下に警鐘を鳴らしています。


企業が抱える老朽化したシステムの問題解消や人材育成を進める方針を示しました。

老朽化や古いシステムを扱える人材の引退で損失が出る問題は「2025年の崖」と呼ばれています。


詳しく解説していきます。


2023年のデジタル赤字額は5兆3452億円

2023年のデジタル赤字額は5兆3452億円

アプリのライセンス料、データをネット上に保存するクラウドサービスやウェブ広告などの支払いが膨らんでいます。

日銀の国際収支統計によると、2023年の赤字額は5兆3452億円と15年から2倍以上に膨らみました。

インバウンド(訪日外国人)観光が回復するなかでも、サービス収支を悪化させる原因になっています。


生成AI(人工知能)の活用が本格化するなど、デジタルサービスの需要は拡大が続いています。

こうした事業の多くは、GAFAMと呼ばれる米テック大手などが手がけており、使えば使うほど日本の富が国外に流出する構図になっています。


GAFAMなどのサービスは競争力が高く、依存を減らすのは容易ではありません。


サービス収支とは

サービス収支とは、国際収支のなかで、国内居住者と非居住者との間のサービスの取引(輸出入)を計上する勘定で、経常収支の1項目です。

具体的には、①輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払、②旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払、③金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払、④知的財産権等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払、などが含まれます。


2023年のサービス収支は▲2兆4,504億円の赤字です。(前年度比+2兆9,397億円赤字幅縮小)

「旅行収支」が黒字幅を拡大したこと等から、「サービス収支」は赤字幅を縮小しました。


日本で使われているシステムやアプリは外国製が多い

日本で使われているシステムやアプリは外国製が多い

「皆さんが使っているシステム、アプリの中で日本製のものがどれだけあるかということだ」

デジタル大臣は記者会見で、現状のデジタル、IT(情報技術)産業の競争力向上は道半ばとの認識を示しました。


デジタル産業を生み出す基盤をつくるために、信頼性を確保しながらデータ連携を進める仕組みの構築やデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材の育成に取り組むとしました。


企業のシステムは古い

DXを進めるうえで、企業が抱える老朽化したシステムが足かせとなっています。

この問題解消に向けて、重点計画は省庁横断の協議会を2024年度にも新たに立ち上げます。

2025年6月をめどに現状の課題や対応策を整理します。

低コストでビジネス環境の変化にも適応しやすいクラウドの活用を進めます。


今の企業のシステムを扱える人材が引退していく

老朽化や古いシステムを扱える人材の引退で損失が出る問題は「2025年の崖」と呼ばれています。

経済産業省はIT人材の引退で既存システムが障害を起こすリスクが高まるなどして、2025年以降に経済損失が最大で年12兆円生じると試算しています。


重要性が高まるサイバーセキュリティー

重要性が高まるサイバーセキュリティー

サイバー攻撃が相次ぎ、重要性が高まるサイバーセキュリティーの知見を持つ人材育成の目標も盛りました。

国家資格の情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を30年度までに5万人に増やす予定です。

2023年4月1日時点では約2万人います。

地方のベンダーや中小企業向けにサイバーセキュリティーの基礎知識、スキルを得られる環境整備を進めます。


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