米ニューヨーク証券取引所(NYSE)が米国株の24時間取引に向けた議論を始めました。
背景にあるのがNYSE以外の売買が増えていることです。
私設の取引所は既にNYSEの取引時間外で取引がでます。
超高速取引業者(HFT)の自己勘定取引も広がり、場外取引の米国株の売買シェアはいまや全体の半分近くになっています。
詳しく解説していきます。
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米ニューヨーク証券取引所が24時間取引可能に
NYSEは今春、市場参加者を対象に24時間取引に関するアンケート調査を実施しました。
米国内外のユーザーとの対話を通じて、何を求めているのか把握します。
24時間化のメリットや人員確保の可能性といった項目が盛られ、市場参加者の意向聞き取りが主な目的です。
現時点で議論は初期段階ですが、実現に至れば主要国・地域の証取で初となります。
米国株の売買が成立する場所は多極化が進んでいる
米国における新規上場先としてNYSEはナスダックと市場を二分して寡占状態を保っています。
しかし、米国株の売買が成立する場所は多極化が進んでいます。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のデータによると、関連証取を含むNYSEグループの売買シェアは足元で約20%。
次いでナスダックが約15%、CBOEが約12%です。
一方、証取を経由しない取引所外売買の比率は約47%です。
2019年6月時点と比べて10ポイント程度上昇しました。
取引所外売買には、代替取引システム経由の売買や自己勘定取引が含まれる
取引所外売買には、代替取引システム(ATS)経由の売買やHFTの自己勘定取引が含まれます。
証券会社などが運営するATSは証取よりも規制が緩めで、気配値を配信する必要がないため「ダークプール」とも呼ばれています。
HFTはネット証券などから回送された個人投資家の売買注文に自己勘定で応じるほか、証取やATSでも売買します。
代替取引システム(ATS)とは
代替取引システム(Alternative Trading System, ATS)とは、証券取引のための電子取引プラットフォームの一種です。
通常、一般的な証券取引所とは異なり、ATSはより限定的で、特定の証券や取引手法に特化した取引を行うことができます。
主な特徴は以下の通りです。
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非公開市場: ATSは一般に公開された取引所ではなく、証券の取引が一部の参加者にのみ公開されます。これにより、一般の市場参加者からは見えにくい市場が形成されることがあります。
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取引規模の多様性: ATSは小口取引や大口取引など、様々な取引規模に対応した取引を可能にします。大口取引や特定の証券に特化した取引を行うことができるため、機関投資家や特定の市場ニーズに応じた取引が促進されます。
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取引手法の多様性: ATSは通常、公開市場よりも柔軟な取引手法を採用しています。例えば、匿名取引やリアルタイム取引の提供が可能です。
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規制と透明性: ATSは規制当局の監視下にあり、公開市場と同様に規制されます。透明性の確保や市場操作の防止が重要な課題です。
日本国内においても、ATSは特に大口の証券取引において重要な役割を果たしており、市場の流動性向上や効率化に寄与しています。
自己勘定取引とは
投資銀行や証券会社などが自己資金を元手に、市場取引を行うことです。
24時間取引できれば、アジアの投資家のニーズを取り込める
新型コロナウイルス禍の株式投資ブームで在米個人投資家の売買は急増し、取引所外売買も増加しました。
一方でNYSEなどへの恩恵は少なかったです。
暗号資産(仮想通貨)や外国為替取引と同じように米国株も24時間取引できる環境が整えば、アジアなど他の地域の投資家が現地の日中に売買するニーズを取り込める可能性があります。
現時点でも約4500銘柄の米国株を夜間売買できる
米国の夜間取引ではATSが先行しています。
米ブルーオーシャン・テクノロジーズは米東部時間の午後8時から翌日の午前4時まで取引をすることができます。
この時間帯はNYSEでは取引ができません。
約4500銘柄の米国株を取り扱い、1日平均の売買高は5000万株弱です。
最初の契約相手が韓国のサムスン証券だったこともあり、売買の4~5割は韓国からの注文です。
米国株をほぼ24時間取引できる証取の新設を目指す動き
米国株をほぼ24時間取引できる証取の新設を目指す動きもあります。
英領バミューダ諸島のフィンテック企業、24エクスチェンジは米証券取引委員会に対し、米国内での証取開設を申請しています。