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【半導体】TSMC熊本工場を認定、補助金最大4760億円

【半導体】TSMC熊本工場を認定、補助金最大4760億円

政府は2022年6月17日、台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループ、デンソーが熊本県で建設中の半導体工場の計画を認定しました。

補助金を最大4760億円支給することになります。


政府は経済安全保障の観点から半導体の国内生産の増強を急いでいます。

ただ、巨額の支援になるだけに、それに見合う国内産業への効果が得られるかの検証が欠かせず、丁寧な説明が求められます。


新工場の投資額は約86億ドルで、政府が半額近くを支援

新工場の投資額は約86億ドルで、政府が半額近くを支援

新工場は2024年12月の出荷開始を目指し、今年4月に着工しました。

回路線幅10~20ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の半導体を月に5万5000枚(300ミリウエハー換算)生産する計画です。

新工場の投資額は約86億ドル(約1兆1千億円)で、政府が半額近くを支援することになります。


認定を受け、TSMCの魏哲家最高経営責任者(CEO)は17日、「日本における新しい工場を通じ、世界的な半導体エコシステムと地域社会の発展に貢献できると確信している」とのコメントを発表しました。


ソニーグループ傘下で半導体事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズの清水照士社長も同日、「TSMCの進出を契機に官学の動きが活発になった」と記者団に語りました。


現在ソニーはTSMCが生産する演算用のロジック半導体の調達に「非常に苦労している」(清水氏)と明かします。

TSMCの新工場はソニーの工場に隣接するため「近くにあることは非常に心強い」とも述べます。


TSMC誘致は政府が主導してきた

TSMC誘致は政府が主導してきた

TSMC誘致は政府が主導してきました。

21年度補正予算で財源を確保し、生産拠点整備を後押しするため6170億円の基金を設けました。

今回はこの基金から支出する第1号案件となります。


海外企業への巨額補助は異例です。

背景には熊本工場で生産するロジック半導体の供給網の混乱があります。

各国は半導体の生産増強に向けて工場誘致などを進めています。

日本の半導体メーカーの競争力が落ちるなかで、半導体ファウンドリー(生産受託会社)世界最大手のTSMCに頼った側面が大きいです。


有事に国内企業に優先的に供給される確証がない

有事に国内企業に優先的に供給される確証がない

巨額の補助に見合う効果を巡っては、生産するのは回路線幅10~20ナノメートル台の汎用品で、自動車や産業機械、家電などの幅広い用途に使えるため供給網の安定につながるとの期待があります。

一方で最先端品を生産するわけではなく、半導体産業での日本の技術的な競争力を左右するものではないです。


有事に国内企業に優先的に供給される確証がないとの見方もあります。

政府が認定した計画では、日本の顧客を中心に供給するとしつつも、需給逼迫時のTSMCの責任として「日本政府からの要請に応じ、日本の顧客向けの供給拡大について誠実に協議に応じる」と記すにとどめました。


国内の産業基盤の底上げにつながるか課題

国内の産業基盤の底上げにつながるか課題

国内の産業基盤の底上げにつながるかも課題となります。

地域で1000人以上を雇用する計画で、政府は半導体関連の人材育成につなげたい考えだが、最先端の技術の蓄積にどこまで貢献するかは不透明です。


政府は今回の工場建設を呼び水に他の海外企業の投資が続くことを期待します。

誘致が単発で終われば効果が乏しく、国内の半導体産業の本格的な活性化にはつながりにくいです。

TSMCが継続的に熊本工場に投資し、競争力を維持していくのかも未知数です。


まとめ

まとめ

政府は2022年6月17日、台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループ、デンソーが熊本県で建設中の半導体工場の計画を認定しました。

補助金を最大4760億円支給することになります。


巨額の補助に見合う効果を巡っては、生産するのは回路線幅10~20ナノメートル台の汎用品で、自動車や産業機械、家電などの幅広い用途に使えるため供給網の安定につながるとの期待があります。

一方で最先端品を生産するわけではなく、半導体産業での日本の技術的な競争力を左右するものではないです。


米中対立や台湾有事といった地政学的なリスクに備え、巨額の補助金などを使い半導体の国内生産を強化する動きが世界で相次いでいます。

日本もこうした潮流に取り残されるわけにはいきませんが、国民の税金などから5000億円弱という国費を投じる以上、誘致の効果をできるだけ客観的に示していく姿勢が政府には求められています。



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