ホンダは2021年9月30日、人工衛星を宇宙に運ぶ小型ロケット事業に参入すると発表しました。
2030年までに試験機を打ち上げる予定です。
ホンダは機体を再利用することを目指しており、そうなれば最大50億円程度かかる打ち上げコストを大幅に抑えることができます。
ロケットには米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が率いるスタートアップなどの参入が相次いでいます。
宇宙を次の成長市場と位置づける民間の競争が加速してきました。
参入する分野は小型ロケット
参入する分野は、重量1トン以下の衛星を搭載できる小型ロケットです。
エンジン噴射などに自動車のガソリンエンジンで培った燃焼技術などを生かすほか機体の制御や誘導にも自動運転の技術を応用します。
開発費に5兆円を投じる
ホンダは今後6年間に過去最大となる5兆円を研究開発に投じるとしています。
将来的には、ロケットは電気自動車(EV)などと並ぶ柱の一つとなる規模になります。
小型衛星の市場規模が拡大する見通し
ロケットは通信や地上観測などに使う小型の人工衛星を宇宙に運ぶのが目的です。
インドの調査会社マーケッツアンドマーケッツは小型衛星の市場規模が20年の28億ドルから25年に71億ドルに拡大すると予測しています。
「打ち上げ需要に対してロケットが不足している」(ホンダ幹部)として参入に踏み切ったのです。
ホンダが目指すのは「再利用できるロケット」
ロケットの受注競争を勝ち抜くには打ち上げ費用の引き下げが欠かせず、一度発射した機体を基地に帰還させ、再利用できるかがかぎを握ります。
ホンダは自動運転の技術を生かして機体を繰り返し使えるようにし、コスト引き下げを狙います。
空飛ぶ車にも参入
ホンダはロケット事業参入発表と同時に、「空飛ぶ車」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)に参入することも発表しました。
動力にはエンジンとモーターを併用し航続距離を400キロまで延ばします。
まず北米の都市間移動向けに30年代に事業化することを目指します。
また、遠隔操作で月面で稼働する「アバター(分身)ロボット」の実用化にも取り組みます。30年代以降に地球にいながら月面で作業できるようにします。
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