韓国財閥CJグループは海外M&A(合併・買収)を中心に今後3年間で1兆円を投じる予定です。
現在の主力である食品や物流事業は韓国内での需要の先細りが避けられず、事業構造を転換します。
成長分野としてエンターテインメントに注力し、米映画製作会社の買収も決めました。
海外で人気のK―POPと組み合わせ、世界展開や既存事業との相乗効果を狙います。
海外のエンタメ分野で本格的な海外M&Aは初めて
韓国財閥CJグループは、傘下のCJエンターテインメント(CJENM)を通じて米映画製作のエンデバー・コンテントの株式を7億7500万ドル(約880億円)で取得すると2021年11月19日に発表しました。
海外のエンタメ分野で本格的な海外M&Aは初めてです。
米アカデミー賞で計6部門を受賞した映画「ラ・ラ・ランド」などのコンテンツ資産を拡充し、ドラマや映画のコンテンツ制作力を獲得します。
CJENMは2020年の米アカデミー賞で作品賞を受賞した「パラサイト」の配給元です。
海外でも人気のK―POPアイドルの「東方神起」や「少女時代」らが所属する大手芸能事務所SMエンターテインメントについて、「音楽コンテンツ事業強化のために相乗効果を検証している」と、SMエンタ株の大規模な取得を検討していることを明らかにしました。
コンテンツの世界展開を加速させています。
食品などCJが持つ他の事業分野への波及効果も期待
エンタメ事業を強化するのは、食品などCJが持つ他の事業分野への波及効果も期待できるためです。
「音楽やドラマなどの韓流コンテンツを通して、世界で韓国文化への関心を高めて、食品の輸出拡大にもつなげる」と見込んでいます。
11月には食品事業を手掛けるCJ第一製糖を通じてオランダのバイオ医薬品受託開発・生産のバタビア・バイオサイエンシズを2677億ウォン(約260億円)で買収するとも発表しました。
18年には18億4000万ドルで米冷凍食品大手のシュワンズカンパニーを買収。
日本でもギョーザ専門店を運営する「餃子計画」の食品加工部門を買収し、「ビビゴ」ブランドの加工食品を大手スーパーに供給しています。
バタビアの買収で、成長市場の医薬品製造受託に参入するほか、健康食品の開発など既存の食品事業への相乗効果も見込んでいます。
海外展開を急ぐのは、国内の経営環境が厳しさを増しているため
11月に入ってからの買収発表額は2社合計で約1100億円。CJグループが海外展開を急ぐのは、国内の経営環境が厳しさを増しているためです。
「この3~4年間、成長事業発掘のための果敢な意思決定に尻込みし、未来への備えが足りなかった。私を含む経営陣の失策だ」――。3日に李在賢(イ・ジェヒョン、61)会長は従業員向けの経営戦略説明会で異例の「反省」に言及しました。
李会長が事業方針を直接説明するのは11年ぶりです。
7分ほどの方針説明を反省の弁から始めたことに関係者は「それだけ状況が切迫しており、強い危機感の表れだ」と解説しています。
李会長は「大改革に取り組む」と話し、新規事業開拓などに今後10兆ウォン(約9600億円)以上を投資すると表明しました。
人口約5200万人で少子高齢化が進む韓国市場だけでは成長余力が乏しい
CJはサムスン創業家出身者が設立し、食品と物流、エンタメの企業グループとして現在の資産規模は13位の中堅財閥に位置します。
ただ事業の多くは内需産業であり、人口約5200万人で少子高齢化が進む韓国市場だけでは成長余力が乏しいです。
18年のシュワンズ買収以降は大型の海外M&Aは実施してこなかったが、再び加速させる方針です。
もっとも、食品事業の買収などでグループ売上高は伸びたものの、CJ持ち株会社の20年12月期の純利益は10年前と比べて4分の1に減少しました。
シュワンズ買収による償却負担や原料高の影響などで17年以降は3期連続の減益が続いています。
買収を膨らませるほど、目先はこうした負担が重くのしかかります。
単純な足し算ではなく、M&Aの相乗効果をいかに収益に結びつけられるか。李会長が表明した「10兆ウォン投資」の使い道が厳しく問われることとなります。
まとめ
韓国財閥CJグループは、傘下のCJエンターテインメント(CJENM)を通じて米映画製作のエンデバー・コンテントの株式を7億7500万ドル(約880億円)で取得すると2021年11月19日に発表しました。
海外のエンタメ分野で本格的な海外M&Aは初めてです。
エンタメ事業を強化するのは、食品などCJが持つ他の事業分野への波及効果も期待できるためです。
「音楽やドラマなどの韓流コンテンツを通して、世界で韓国文化への関心を高めて、食品の輸出拡大にもつなげる」と見込んでいます。
11月に入ってからの買収発表額は2社合計で約1100億円。CJグループが海外展開を急ぐのは、国内の経営環境が厳しさを増しているためです。
人口約5200万人で少子高齢化が進む韓国市場だけでは成長余力が乏しいです。
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