韓国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請に向けて動きだしました。
産業通商資源省の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は日本経済新聞とのインタビューで「韓国のTPP加盟で韓日の経済協力は活発になり、双方に利益になる」と強調。「TPPが求める高い水準を満たす準備はできている」と語りました。
韓国がTPP加盟申請に向けて始動
韓国がTPPに加盟すれば、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に続く日韓FTAとなります。
呂氏は「ここ数年は韓日関係が冷え込むが、日本企業の対韓投資は新型コロナウイルスが影響した2020年を除き増えている。企業や市場は韓日の経済・サプライチェーン協力の重要性を認識しており、TPPで協力はより活性化する」と述べました。
TPPはRCEPと比べて貿易・投資自由化の水準が高く、知的財産権の保護やデータ流通の透明性確保を巡るルールも厳格です。
日本には韓国がTPPの高い水準を満たせるか懐疑的な見方があります。
呂氏は「我々は57カ国との17のFTAを通じ、市場開放とルールの水準を高めてきた。TPPは8年かけて研究・準備してきており、高水準を受け入れる準備はできている」と強調します。
韓国で影響が懸念される品目は工業製品や農産物
韓国で国内産業への影響が懸念される敏感品目は自動車や機械などの工業製品や農産物です。
自動車はRCEP発効後も8%の関税で保護されています。
呂氏は「韓日は互いに自信のある分野と敏感な分野がある。交渉を通じて互いがウィンウィンになれる均衡点を見つけられると肯定的に考えている」と述べます。
韓国が関税を撤廃すれば日本の対韓輸出は増える見通しです。
韓国の慢性的な対日貿易赤字が拡大する恐れもあるが「経済協力の価値は貿易収支だけでは測れない。企業家と話すと、物流やデータなどデジタル分野で日本企業との協力強化を考えている企業も多い。全体的に見る必要がある」と語ります。
韓国の加盟がTPPの全体にもたらす効果については「参加国が多いほど各国が受ける恩恵も大きくなる。韓国は半導体や電気自動車(EV)用電池で高いシェアがあり、韓国がTPPに加盟すれば域内供給網はより強固になる」と強調ています。
農業団体の反対が予想される
12年に発効した米韓FTAを巡っては農業団体が激しく抵抗しました。
呂氏は「TPPにおいても最も困難で重要な部分だ。RCEPの発効が他国より1カ月遅れるのも、補完策を議論し利害関係者を説得するのに時間がかかったためだ。政府が農水産業の国際競争力強化を支援し、TPPの恩恵を受けられるよう知恵を絞っている」と語ります。
米中対立によって経済のデカップリング(分断)が進む現状については「米国か中国かの二者択一を迫られる状況は避けなければならない。それは日本も同じ思いだろうし、米国と中国のためにもならない。韓日が力を合わせて建設的な声を上げることで、肯定的な影響を与えられるだろう」と語ります。
まとめ
韓国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請に向けて動きだしました。
ただし、日本には韓国がTPPの高い水準を満たせるか懐疑的な見方があります。
韓国の有識者は「我々は57カ国との17のFTAを通じ、市場開放とルールの水準を高めてきた。TPPは8年かけて研究・準備してきており、高水準を受け入れる準備はできている」と強調します。
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