金融業界でLGBTQ(性的少数者)の人が利用しやすいように商品の要件を緩和する動きが広がっています。
住宅ローンや保険、クレジットカードで同性パートナーを異性と同様に取り扱うようになってきています。
欧州を真似るように、日本では大手金融が対応で先行していました。
同性カップルを認める「パートナーシップ制度」の普及を背景に、地方銀行や中堅企業を後押ししています。
詳しく解説していきます。
金融業界でLGBTQ対応が進んでいる
JAバンク佐賀は2022年9月、住宅ローンの配偶者に同性のパートナーを含めるよう定義を見直しました。
自治体が発行する証明書を提出すれば、同性同士でもそれぞれの収入を合算して1本のローンを組むことができるようになるものです。
これまでは片方の名義で単身者としてローンを組むしかなかったため、借入額の上限が低かったです。
金融機関のLGBTQ対応はメガバンクや大手生保が先行していましたが、地方銀行にも広がっています。
肥後銀行(熊本市)は2022年1月に、住宅ローンで同性パートナーが2人でローンを組んで互いに連帯保証人になる「ペアローン」を組めるようにしました。
4月には百十四銀行(高松市)と徳島大正銀行(徳島市)、中国銀行(岡山市)も住宅ローンで同性パートナーを含めました。
損害保険でも対応が進んでいます。
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、傷害保険の補償対象の配偶者に同性パートナーを加えました。
これまでは同性パートナーがケガをしても補償を受けられませんでした。
自動車保険と火災保険でも東京海上日動火災保険や損害保険ジャパンなど大手4社が対応済みです。
クレジットカードでは三井住友カードやオリエントコーポレーションなどが同性パートナーでも家族カードを発行できるようになりました。
きっかけは「パートナーシップ制度」
LGBTQ対応が広がる背景に自治体が同性カップルが結婚に相当する関係と認める証明書を発行する「パートナーシップ制度」の普及があります。
日本では2015年に東京都の渋谷区と世田谷区が初めて導入しました。
2022年10月11日時点で同制度を導入する自治体数は約240あり、人口カバー率は約55%にのぼります。
国立社会保障・人口問題研究所が2019年に大阪市と共同で実施したアンケート調査によると、2.7%がLGBTと答えています。(自分の性が分からないQは含まない)
単純計算すると国内で300万人超が該当します。
同性婚が法的に認められていない日本は、商品やサービス、企業の就業規則などでLGBTQへの配慮が欧米に比べて遅れていました。
性の多様性を認める議論が活発になり、企業は対応を迫られています。
税制面ではLGBTQ対応が遅れている
金融サービスが身近になる一方で、税制面では対応が遅れています。
同性カップルは法的な親族ではないため、税制上のメリットに乏しいです。
例えば生命保険金を残された妻や夫が受け取る場合、「500万円×妻や子どもなど法定相続人の数」の非課税枠がある一方、同性パートナーは全額が相続税の課税対象になります。
まとめ
金融業界でLGBTQ(性的少数者)の人が利用しやすいように商品の要件を緩和する動きが広がっています。
JAバンク佐賀は2022年9月、住宅ローンの配偶者に同性のパートナーを含めるよう定義を見直しました。
金融機関のLGBTQ対応はメガバンクや大手生保が先行していましたが、地方銀行にも広がっています。
損害保険でも対応が進んでいます。
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、傷害保険の補償対象の配偶者に同性パートナーを加えました。
LGBTQ対応が広がる背景に自治体が同性カップルが結婚に相当する関係と認める証明書を発行する「パートナーシップ制度」の普及があります。