新しい少額投資非課税制度(NISA)口座経由の購入額が開始から1カ月間で1兆8431億円になりました。
旧NISAの3倍ペースです。
NISA口座からの買付の過半は投資信託が占め、米国など世界の株式に投資する商品に人気が集中しています。
若い世代や投資初心者を中心に投信の積み立てが広がりを見せています。
詳しく解説していきます。
新NISA口座を通じた購入額は計1兆8431億円
ネット証券と対面中心の大手証券計10社からの新NISA口座を通じた購入額は計1兆8431億円に膨らみました。
2023年1~3月期の購入額は1兆8625億円(旧NISAの「つみたて」と「一般」の合算)でしたので、新制度開始からわずか1カ月で旧制度3カ月分の購入額に匹敵しています。
個別銘柄よりも投資信託が人気
投信と個別銘柄(上場投資信託=ETF、不動産投資信託=REIT=を含む)の内訳は、投信の購入額が合計で9788億円と全体の53%を占めています。
個別銘柄の購入額は8643億円でした。
若い世代の利用が多いネット証券のみで集計すると、投信の購入比率は6割近くに達しています。
楽天証券の投信積み立て設定額は1773億円
新NISA開始で投信を毎月一定額積み立てる層が広がっています。
524万のNISA口座を抱える楽天証券では1月末時点の投信積み立て設定額が1773億円となり、前年同月末比75%増えました。
1人当たり平均積み立て設定額も同44%増の5万757円です。
若い世代や投資初心者ほど投信を選ぶ傾向が強いです。
楽天証券によると新NISA口座開設者のうち半数は30代以下が占めます。
女性の比率も5割を超えています。
NISA経由の投信購入には偏りがある
NISA経由の投信購入には偏りがあります。
購入額ランキング1位は三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の3142億円、2位は同じシリーズの「米国株式(S&P500)」の2464億円でした。
上位10本の購入総額は7929億円で全体の8割を達します。
投信購入ランキング上位10本のうち9本が全世界株や米国株で運用する指数連動型の商品でした。
つみたて投資枠で買える投信は約270本、成長投資枠で買える投信は約2000本ありますが、個人マネーの流入は一握りの低コスト投信に集中しています。
日本株ファンドや高い収益を狙うアクティブ投信は避けられています。
個別株では高配当銘柄が人気
銘柄集中の傾向は個別株にも表れています。
上位10銘柄の買い付け額は計2114億円で、個別株の買い付け額の25%を占めています。
上位にはJTやメガバンクなどの高配当銘柄が並び、新NISAを見据えて1株を25分割したNTTは4位でした。
NISA経由の購入では業績や株価の安定成長が見込める高配当銘柄が多いです。
NISA口座の新規開設ペースは衰えていない
年明け以降もNISA口座の新規開設ペースは衰えていません。
主要証券会社19社の1月末時点のNISA口座数は合計で約1530万口座と新NISA開始後の1カ月間で4%増えました。
開設ペースは直近3カ月間の平均の2倍に達し、増加分の9割をネット証券が占めています。