中国の風力発電機大手、明陽智慧能源集団(明陽智能)が日本市場に参入することを決めました。
富山県沖で計画する洋上風力発電事業について、清水建設から受注することで合意しました。
中国メーカーが日本で洋上風力発電機を納入するのは初めてです。
安価な製品は日本国内の洋上風力発電の普及を後押しする一方で、中国製の導入に慎重な声も上がります。
中国の企業が日本に洋上風力発電機を納入
受注で合意したのは富山県入善町沖のプロジェクトです。
3000キロワットの発電機3基で、受注金額は明らかにしていません。
関係者によると、近く契約する見通しで、機械の性能など第三者機関の認証の取得作業も進めています。
事業を手掛けるのは、再生可能エネルギーのウェンティ・ジャパン(秋田市)を中心とする企業連合です。
早ければ2023年の稼働を目指すとみられています。
今回のプロジェクトは陸地からの距離が数百メートルと近いため、風力発電機は洋上に浮く方式でなく、土台を海底に固定する方式を採用します。
中国製品は欧米大手に比べ安価
明陽智能は06年に設立した風力発電機メーカー。南部の広東省中山市に本拠を置き、上海証券取引所に上場する民営企業です。
前身の企業が電力機器を扱っていたことから、性能や価格面での評価が高く、中国政府による風力発電の普及促進策を追い風に成長しました。
世界風力会議(GWEC)によると、風力発電機の新設シェア(20年)で明陽智能は世界6位で、中国勢としては3位でした。
20年12月期の売上高は224億元(約4000億円)に達し、前の期の2倍以上に膨らんでいます。
純利益は13億元となり、2倍弱に伸びました。
台風対策などを得意とし、近年は洋上風力に力を入れています。
洋上に限ると世界4位で、中国勢では国有の上海電気風電集団に次ぐ2位です。
まだ海外売上高比率は小さく、品質に厳しいとされる日本で実績を得ることで、アジアなど海外での受注活動に弾みを付ける狙いがあるとみられています。
今回、導入を決めた日本側の企業などによると、明陽智能の風力発電機はシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)やヴェスタス(デンマーク)といった欧米大手に比べ安価なうえ、「中国は日本から距離が近いため、素早い保守サービスを受けられる利点がある」といいます。
日本には洋上の風力発電機を手掛ける有力メーカーが存在しない
富山県沖のプロジェクトは当初、日本の風力発電機メーカーの製品の採用を検討していたとみられていました。
ところが、日立製作所が19年に国内生産からの撤退を発表し、資源エネルギー庁によると、日本には洋上の風力発電機を手掛ける有力メーカーが存在しないのが現状です。
欧米大手が大型案件に注力していることも、今回の受注合意につながったもようです。
洋上風力発電機の発電能力は中国が国別で最も多い
世界で「脱炭素」の流れが加速しており、石炭への依存度が大きい中国では洋上風力発電の拡大を促しています。
GWECによると、20年に新たなに設置された洋上風力発電機の発電能力は中国が国別で最も多く、世界市場をけん引しています。
中国メディアによると、21年に新たに送電網に接続した洋上風力発電機の発電能力は17年の10倍以上に膨らんだそうです。
中国企業は国内で数多くの発電事業を手掛けながら、着実にノウハウを蓄積しており、世界市場でのシェア拡大を目指すとみられています。
ただ、米中対立が先鋭化するなか、世界では国家の安全保障や競争力を左右するデータ重視の動きが強まっています。
特に洋上風力発電では風力や風向のほか、海に囲まれた日本の防衛にとって重要な海流などのデータを集める可能性もあります。
明陽智能が受注で合意した富山県沖の風力発電機について、日中双方の企業は安全保障上の懸念にきめ細かく対応する姿勢を示しています。
具体的には、風力発電機の設置・運営で取得する風力や海流などの各種データについて「中国には持ち出さない」としています。
まとめ
中国の風力発電機大手、明陽智慧能源集団(明陽智能)が日本市場に参入することを決めました。
中国メーカーが日本で洋上風力発電機を納入するのは初めてです。
導入を決めた日本側の企業などによると、明陽智能の風力発電機はシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)やヴェスタス(デンマーク)といった欧米大手に比べ安価なうえ、「中国は日本から距離が近いため、素早い保守サービスを受けられる利点がある」といいます。
富山県沖のプロジェクトは当初、日本の風力発電機メーカーの製品の採用を検討していたとみられていました。
ところが、日立製作所が19年に国内生産からの撤退を発表し、資源エネルギー庁によると、日本には洋上の風力発電機を手掛ける有力メーカーが存在しないのが現状です。
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