ニュージーランド(NZ)が米国、英国とオーストラリアによる安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」と連携する方針を示しました。
豪紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」がNZ高官の話として報じました。
協力分野は、人工知能(AI)やサイバー防衛が軸となる見通しです。
オーカスは中国抑制が目的ですが、対中融和といわれたNZが立場を修正し始めたとの見方もあります。
AUKUS(オーカス)とは
AUKUS(オーカス)とは、「Australia・United Kingdom・United States」の頭文字を並べたもで、オーストラリア (AU)、イギリス (UK)、およびアメリカ合衆国 (US)の三国間の軍事同盟です。
アメリカ合衆国とイギリスは、オーストラリアによる原子力潜水艦の開発および配備を支援し、太平洋地域における西側諸国の軍事的プレゼンス(影響力)を強化することを目指しています。
オーストラリアのスコット・モリソン首相、イギリスのボリス・ジョンソン首相、アメリカのジョー・バイデン大統領による共同声明では、特定の国名は挙げていませんが、ホワイトハウスの情報筋は、インド太平洋地域において影響力を増す中華人民共和国 に対抗する意図があると述べており、多くのアナリストもこの見方をとっています。
オーカスはアンザスの後継とみられている
AUKUS(オーカス)は、オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ間で締結されているANZUS協定(オーストラリア・ニュージーランド・アメリカ合衆国安全保障条約、アンザス)の後継として位置づけとみられています。
ニュージーランドについては原子力エネルギーの利用を「1987年のニュージーランド非核地域・軍縮・軍備管理法」によって禁止しているために「オブザーバー」のようにみなされています。
ニュージーランド「技術分野でオーカスに参加する」
インタビューで、NZのアネット・キング駐豪高等弁務官(大使に相当)は、量子コンピューターや人工知能(AI)といった技術分野でオーカスに参加する意向があるかと問われました。
同氏は「米英豪の3カ国でなくても(原子力潜水艦の)ほかの分野で関与を歓迎すると明確に示されている」と返答。
「サイバー(防衛)は我々が関心を持つ領域の一つだ」と述べ、連携へ意欲を示しました。
ニュージーランドは非核政策を実施している
NZの外務貿易省は日本経済新聞に対し「NZはオーカスには招かれていない」と強調しました。
そのうえで「原潜を除く安保分野で相互の利益につながる協力に向け、今後も米英豪と緊密に連携していく」との見解を示しました。
NZは1980年代から非核政策を堅持しています。オーカスは豪州に対する原潜の供与が軸となっています。
アーダーン首相はこれを受け、「原子力を動力とする船舶が我が国の内水に入ることはできない」と指摘しています。
ニュージーランドが対中姿勢の修正を目指す
キング氏も豪州の原潜配備にNZが関与することはないと明言しましたが、「地域に平和と安定をもたらし、国際的なルールに基づく制度を維持するという共通の目的」を改めて主張し、インド太平洋地域への米英の関与強化を歓迎する姿勢をみせました。
NZは米英豪カナダとともに機密情報を共有する5カ国の枠組み「ファイブ・アイズ」に加わっています。
米豪などが中国との対立を深めるなか、これまでNZは最大の貿易相手国の中国に一定の配慮をみせてきました。
しかし、外交関係者の一人は、NZが対中姿勢の修正を目指していると指摘しています。
まとめ
ニュージーランド(NZ)が米国、英国とオーストラリアによる安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」と連携する方針を示しました。
アメリカ合衆国とイギリスは、オーストラリアによる原子力潜水艦の開発および配備を支援し、太平洋地域における西側諸国の軍事的プレゼンス(影響力)を強化することを目指しています。
米豪などが中国との対立を深めるなか、これまでNZは最大の貿易相手国の中国に一定の配慮をみせてきました。
しかし、外交関係者の一人は、NZが対中姿勢の修正を目指していると指摘しています。
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